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■2012年1月15日 第10回 〜 食べくらべ
◇ごぼうなどの食べくらべ
今回は、塩ゆでしただけのごぼうを5品、食べくらべた。
その他、ごぼうの煮物やれんこん、山形の「あさつき」、イチゴ各種を試食した。
ごぼうの食べくらべ
[感想など]
食べくらべた中では、北海道の有機ごぼうが味があり、若干甘みもあって食べやすかった。羽村市の「滝野川ごぼう」は、繊維が細かいというか、ほかのごぼうとはちょっと食感が違うと思いました。全体的には、やはり、味がないとコメントしにくい。煮てあるとまた違う感想になるかもしれません。
ゆでただけで味つけしないごぼうを食べくらべたのは初めてでしたが、それぞれこんなに違うんだ、とびっくりしました。うちの店では、普通のごぼうと、宮崎の「新ごぼう」の2種類しかおいていない。売るときは、自分のところで軽く洗う程度にしています。泥つきを買ってきて、ほしい人にはそのまま売っていますが、泥を落としてといわれたら、軽く落とすよう心がけています。
うちの店では、「新ごぼう」、「泥ごぼう」、「大浦ごぼう」などをおいています。お年寄りの方が多いと、どうしてもやわらかいごぼうがいいといわれます。単純に、やわらかいのがいいなら「新ごぼう」とおすすめしてきましたが、今日いろいろなごぼうを食べてみて、「大浦ごぼう」は本当にやわらかいことがわかりました。北海道の有機ごぼうは甘かった。同じ「泥ごぼう」というくくりだけで考えてはいけないんだな、と思いました。
ゆでただけでの印象は、北海道のごぼうが一番甘く、繊維も少なくておいしいと思いました。次が、「滝野川」と、熊本の「新ごぼう」。これが同じくらいやわらかい、という印象でした。ただ、ごぼうは、実際に調理する場合、ある程度、味をのせないとおいしくありません。茨城と青森のごぼうは、糖度はそれほど感じられませんが、食感がいい。なぜ、芹沢のごぼうが「駒形どぜう」で使われるかというと、どじょう鍋にささがきごぼうを入れるには、繊維がしっかりしていて歯ごたえがあるほうがおいしいんです。熊本の「新ごぼう」は、やわらかいのでサラダでこのまま、サッとお湯に通すぐらいで食べるとおいしいのではないか、と思います。北海道の有機ごぼうは、サッとゆでただけのものにかつお節をのせて、たたきごぼうのようにして食べてもおいしいのでは、というぐらい糖度がありますね。
今日食べたイチゴの中では、「あまおう」の味が濃くて一番はっきりしていた。
個人的な好みですが、イチゴは、熊本の「さちのか」と、「とちおとめ」がよかった。さちのか」は、バランスが非常にいい、と思いました。ただ、イチゴは時期によってその都度違うので、実際に食べてみないとわかりませんね。
「あさつき」は、資料に、甘みと辛みがあると書いてありましたが、今日のはあまり辛みがなかった。
今日の「あさつき」は、火が通り過ぎている、と感じました。軽く火を通すくらいで食べたほうが、シャキシャキ感や、甘みと辛みのバランスはいい、と思います。今回の試食では、甘みが前面に出ていた。
[荒井慶子先生より]
「あさつき」は再沸騰までにちょっと時間がかかってしまいました。辛みが感じられなかったのは、そのせいだと思います。
ごぼうは全部、10分だけ水にさらしました。講師の先生のお話では、アク抜きをしないほうがいい、とのことでしたが、ゆでてから食べくらべまでちょっと時間があったので、アク抜きをしてあります。
ごぼうの煮物は、いったん下ゆでをしてから、出汁と調味料で煮ています。懐石料理などでは、お米のとぎ汁で下ゆでをします。そうすると、色もきれいになるし、うま味も加わります。今日は、お米のとぎ汁がなかったので、お茶を入れる袋にお米を洗わずに大さじ1杯半くらいいれて、下ゆでしました。「堀川ごぼう」も同様です。
以前、江澤先生がお元気な頃、「堀川ごぼう」を送ってこられて、鴨のひき肉を詰めた煮物を生まれて初めて作りました。塩分2%、糖分8%くらいで煮たら、みなさんから味が薄い、といわれ、相当濃い味にしないといけないんだな、と痛感しました。
◇その他
群馬県東京園芸情報センターの町田安雄氏より、「群馬食彩フェア」のご案内がありました。
前回ご紹介した「グッドぐんまの産地交流会」に、多くのみなさまにお申込いただき、誠にありがとうございます。1月25日に実施されますので、よろしくお願いいたします。
群馬県では、主に首都圏における群馬県産農産物の販売促進事業として、「グッドぐんまの産地交流会」、知事等によるトップセールス、「群馬食彩フェア」を行っています。
町田安雄氏
今回の「群馬食彩フェア」では、「下仁田ネギ」、群馬で三姉妹として栽培に取り組んでいる「たらの芽」、「ふきのとう」、「うど」、イチゴ「やよいひめ」、その他、肉等も対象にしています。
群馬県産農畜産物販売協力店として、30数店舗を指定しました。2月1日〜10日の期間中、群馬県産食材を中心に使ったメニューを出すことになっています。なお、中心期間は2月1日〜10日ですが、中には10日過ぎにやるお店や、1日〜10日までの間の数日間というお店もあります。お配りした資料の裏に、対象のお店、期間、メニュー等が掲載されておりますので、機会がありましたらお寄りください。
講師の先生のお話に「新ごぼう」が出たこともあり、受講生の間で、「“新物”の定義とは何か?」との議論がありました。
「新じゃが」、「新ごぼう」、「新米」などとよくいいますが、何をもって「新」なのか、どういうときに使えばいいのか…。私は、その年にタネを植えて、初めて収穫したものが「新」ではないか、と思っています。(司会 西澤)
その土地から初めて出荷する場合に、「新」という名前をつけているのだと思います。「新」をつけることにより、出始めだ、勢いがあるよ、イコール、おいしいよ、というイメージが作れる。あとは、「新」をつけることにより、価値を上げる。そういう意味合いがあると思います。(東京青果 野原氏)
「新」のイメージが一番強い時期は、春。冬に出てきたものは、あまり、「新」とはいわない気がします。春の新しい息吹が感じられるもの。ちょうどその頃、品種も切り替わってきますし…。ただ、はっきりとした定義が確立されていないので、あいまいな部分が多い。(果菜里屋 高橋)
山菜に関して、われわれは、販売上、「新」は使いません。あくまでも、促成栽培であって、新だとか旧だとかはちょっと違う。ただ、ものによって違うのではないでしょうか。貯蔵物などは、たとえば、年内は「新」という表現を使い、年を越したら「新」は使わないとか…。人間の感覚や、季節感との絡みがあると思います。(全農山形 ヤマキ氏)
「新」とつくのは、あくまで、売り手側、販売する側のブランドにすぎない、と思ったほうがいいのでは? 「新」がつくだけで、なんとなくおいしそうに感じたりする。栽培上、「新」をつけるような方法はないんです。「新じゃが」にしても、一番最初に掘って出てくるものがそう呼ばれているだけで、別に「新じゃが」というものを栽培しているわけではありません。菊池の「新ごぼう」も、農協さんがやわらかくておいしそうだから「新」とつけているだけ。それから、日本人の勘違いが関係している、という話もあります。もともと日本は、中国などと同じように旧暦で生活していました。暦が太陽暦に替わったとき、1ヶ月のずれが生じたんです。じつは、旬が1ヶ月前倒しになっているから、ものを早く持ってこないと暦に対応できないという部分があり、ハウス栽培などが普及した関係でやわらかくておいしいものができるようになったので、「新」という言葉がそこに生まれてきてしまったのでは…。もうひとつは、江戸っ子の縁起担ぎではありませんが、早く上がってきたものをなるべく早く食べたい、というせっかちな性格の人が多いから、「新」という言葉に敏感に反応するのかもしれません。(講師 塚田氏)
日本人はもともと「初物」が大好きで、象徴的なのが、「初鰹」でした。初夢の「一富士二鷹三茄子」は、全部、徳川家康の駿河に由来するものなのですが、なぜ3つ目に「茄子」が入っているのかというと、茄子は江戸時代からハウス栽培されていて(ここでハウスというのは、いわゆる油紙、障子紙を使った江戸時代仕様のハウスですが…)、非常に価格が高かったそうです。初物はお金持ちのステータス、という意識が日本人の根本にあって、新しいものを食べたい、新物はいい、ということに繋がっているのではないか、と思います。
【八百屋塾2011 第10回】
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