しかし、「三重苦」の大根ですから、やわらかくて歯触りのいい大根が出てきたり、いつでも食物がある時代になって、作る人がいなくなり、すたれかけていました。今から30年ほど前に、復活の動きがあったのですが、それも5年くらいでなくなりました。ただ、昔からのものですから、やはり残しておきたいと思い、平成15年から、「花作大根物語」というパンフレットなどを作り、タネをみなさんにお配りして作ってもらっています。売っても儲かるわけではないので、自家用です。昔から、できたものを漬物にするというような形で細々と伝えられてきたものです。
パンフレットの裏面には、「花作大根」を使ったさまざまな漬物の写真が載っています。タネを配って大根を作ってもらった人が漬けたものを持ち寄ったんです。いろいろな人のアイデアがあると、また違う方向性が出てきます。今日は、「花作大根」の漬物も持ってきましたので、後ほど食べてみてください。塩や醤油で漬けると、最初はおいしいのですが、2〜3日すると苦みが出て食べられないほどになります。そこで、酢で漬けてみたところ、苦みが出なくなりました。酢漬けにして、紅花で色を着け、「花色大根」と名づけました。ぜひ試食してみてください。
地元の料理の先生は、スライスしてステーキのように焼き、塩、こしょうで食べるとおいしい、といっています。普通の大根ではやわらかくなりすぎるのが、「花作大根」はかたいので、歯ごたえが残って好評だそうです。
いろいろな方のお知恵を借りながら、少しずつ増えつつあり、現在3名ぐらいで作っています。収穫は全て終わりました。形のいいものは、最近、地元のスーパーでも少しずつ扱ってもらえるようになりました。形の悪いものは自分たちで加工場を持って漬物にしています。ただ、10本の形のいい大根をとるのに、20本くらいとらないといけません。昔ながらの在来の大根なので、条件の悪い点は多々ありますが、今までしぶとく生き残ってきたということは、生命力が強いに違いない、と感じながら作っています。山形に「花作大根」というものがある、とみなさんに知っていただければありがたく思います。
なお、2012年1月23日(月)〜26日(木)の4日間に渡り、銀座にある山形のアンテナショップに、仲間と一緒に漬物や加工品を持っていきます。お時間があれば、ぜひお越しください。
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