タネなしのぶどうは、まだ粒が小豆大のときに、ジベレリン処理をします。ホルモン剤のジベレリンを房につけて、大きいものをとってしまう。そうすると、小粒のものだけになります。それが大きく膨らんできて、見た目は揃った感じになり、中にはタネができません。でも、元は子どもだったものを無理矢理大きくするわけですから、私はタネありのほうがおいしいと思っています。
見た目は変わらなくても、タネがあるものとないものでは、味が全然違います。私の理想は、すべての房がタネありで、大きく立派に育つこと。しかし、最近は天候不順などで実りが悪い年が続き、量がとれないと農家も経営的に辛いので、栽培が楽なタネなしにして安定的に収穫しよう、というのもひとつの方策だったのだろうとは思います。私は、タネなしぶどうの味があまり好きではないので、タネありの栽培にこだわっています。
タネありぶどうの栽培にはいろいろと苦労もありますが、まず第一に、土作りが大事だと考えており、15年くらい前から、仲間と自家生産した堆肥を導入しています。また、除草剤は極力控え、草刈りをしています。
収穫したら、なるべく早く新鮮なものを出したい、と思っているので、朝とって、できるだけ早いうちに荷造りをして出荷しています。軸が青い状態で出荷し、そのまま店に並べてもらうのが理想です。時間が経つと枯れて茶色くなってしまう場合もありますが、とってから3〜4日はずっと青い。1週間か10日すると軸が茶色くなり、粒もとれやすくなってしまいます。
今の時期、ぶどう畑に行くと、だいたい白い袋がかかっているので、外から見ただけでは、どんなぶどうがなっているかわからないと思います。ぶどうの粒がある程度の大きさになったとき、消毒をかけると、表面に消毒液がついてとれなくなってしまうので、必ず袋をかけています。
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