■2011年9月18日〜19日 出張八百屋塾in山ノ内町 〜 果樹説明 ぶどう生産者 小坂博章氏

 私は、山ノ内の夜間瀬地区で、1.2ヘクタールくらいの果樹園と、田んぼを持っています。

 ここは昔、「スターキング」が盛んに作られていました。その後、「つがる」に変わりましたが、値段が暴落してしまい、うちとしては面積を増やし過ぎて作業的に追いつかないということもあり、20年くらい前にぶどうも植えました。

 今日は、机の上に2種類の「巨峰」を並べました。ひとつは大きな房のぶどうです。私は、有核で房の大きなぶどうを栽培することを目標にしています。

小坂博章氏

 すべての枝に、大きくて立派な房がなれば最高ですが、気象条件などによって、なかなか揃いません。きれいな房にならなかったものは、350グラムくらいのパック詰めにして出荷しています。

 小さい粒の間に、大きい粒がついているのは、通称、「親子ぶどう」。大きいのが親で、小さいのが子どもです。これも主にパック詰めで出荷しています。これは、花が咲いたときうまく受粉ができないので、タネが入らず、熟したときに小粒になってしまったものです。小さい粒が少なければ、それを抜いて大きいものだけに揃えます。でも、小粒が多いと、抜いたら何もなくなってしまいます。収量が少ないのも困るので、子どももつけて売ろう、ということで、まばらで格好悪いですが、親子をつけて売るわけです。値段的には下がってしまいます。親子ぶどうの小粒のところはタネが入っていません。大きいものにはタネが入っています。

小坂氏のぶどう
 タネなしのぶどうは、まだ粒が小豆大のときに、ジベレリン処理をします。ホルモン剤のジベレリンを房につけて、大きいものをとってしまう。そうすると、小粒のものだけになります。それが大きく膨らんできて、見た目は揃った感じになり、中にはタネができません。でも、元は子どもだったものを無理矢理大きくするわけですから、私はタネありのほうがおいしいと思っています。

 見た目は変わらなくても、タネがあるものとないものでは、味が全然違います。私の理想は、すべての房がタネありで、大きく立派に育つこと。しかし、最近は天候不順などで実りが悪い年が続き、量がとれないと農家も経営的に辛いので、栽培が楽なタネなしにして安定的に収穫しよう、というのもひとつの方策だったのだろうとは思います。私は、タネなしぶどうの味があまり好きではないので、タネありの栽培にこだわっています。

 タネありぶどうの栽培にはいろいろと苦労もありますが、まず第一に、土作りが大事だと考えており、15年くらい前から、仲間と自家生産した堆肥を導入しています。また、除草剤は極力控え、草刈りをしています。

 収穫したら、なるべく早く新鮮なものを出したい、と思っているので、朝とって、できるだけ早いうちに荷造りをして出荷しています。軸が青い状態で出荷し、そのまま店に並べてもらうのが理想です。時間が経つと枯れて茶色くなってしまう場合もありますが、とってから3〜4日はずっと青い。1週間か10日すると軸が茶色くなり、粒もとれやすくなってしまいます。

 今の時期、ぶどう畑に行くと、だいたい白い袋がかかっているので、外から見ただけでは、どんなぶどうがなっているかわからないと思います。ぶどうの粒がある程度の大きさになったとき、消毒をかけると、表面に消毒液がついてとれなくなってしまうので、必ず袋をかけています。

 
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 このあと山ノ内町の農産物等を使って作った昼食をいただき、共撰所や圃場の見学に移りました。
 

【八百屋塾2011 出張八百屋塾in山ノ内町】
はじめに町長ご挨拶JA志賀高原常務理事ご挨拶講演「管内の果樹農業について」
りんご生産者よりぶどう生産者より共撰所りんご園ぶどう園畜産謝辞