栗の栽培が 大々的に始まり、部会が形成されたのは昭和40年代初頭で、46年ほど経ちました。私は5代目の部会長です。5〜6人若者もいますが、栗栽培の労働力は老人が多いのが現状です。
販売している栗のキロ単価は、500〜600円のものから1000円くらいのものまで。本年は原発事故の影響か、9月上旬は値動きが悪かった。栗の放射能検査はしており、笠間では43ベクレル、基準の1/10以下の数値でした。9月後半、台風12号、15号の頃よりはだいぶ回復してきました。
当部会では、現在、12〜13種類の栗を生産しています。市場で知られているのは「利平」だけですが、品種ごとに、それぞれ味に特徴があります。ただ、栗の落ちる時期は、だいたい2〜3週間、短い品種だと10日間くらいで出荷が終わるので、同じものを要望されても難しい。品種が変わり、次々と違った味の栗が楽しめる、と思っていただければ幸いです。
品種別の出荷に取り組んで、今年で6年目になりました。近頃、ようやく認識されてきました。今は、「石槌」と「岸根(がんね)」という品種。「石槌」は、今日明日で90%以上収穫が終わると思います。その後が「岸根」で、いちばん遅い品種です。
現在、メインとなっているのは貯蔵栗。今月下旬から、貯蔵栗「極み」の出荷が始まります。栗を0℃で貯蔵し、甘みを3倍にして売る取り組みで、今年で3年目になります。昨年は「極み」を2.4トン販売しました。今日、試食用にお持ちしたのは、「丹沢」という最初に落ちる品種の貯蔵栗です。風味があって色がいいので、栗きんとんやペーストなど、お菓子屋さんに加工用としてよく使われます。農協では、貯蔵栗の焼き栗をインターネットで販売しています。
栽培についてですが、1月〜3月の間は栗の木の枝を1本1本剪定し、その後、施肥と防除。無農薬栽培の生産者もいますが、2回ほど消毒をする人もいます。茨城では平坦地で栗を栽培しているので、ほとんどの人がトラクターで除草作業をしています。年3回〜5回、多い人は月1回くらいのペースで草刈りをしています。
生産者部会に入っているのは、270名です。茨城県の場合、栗を買って歩く業者の方がいて、軒先で結構売れてしまい、農協に集まってくるのが、生産量の1/3くらい。出荷する栗をいかによくするか、部落座談会や講習会を行っています。年金生活の糧に栗栽培に取り組んでいる高齢者の方も多いので、選果場で栗を見て勉強してもらうほか、栗の品種や、病気になった栗がわかるようなカラー刷りの見本帳も作りました。
笠間市と一緒に、おいしい栗の食べ方を広める取り組みもしています。笠間の栗の生産者と、消費者のみなさんとの料理講習会を行い、そのようすは県内のテレビで放送されました。私の一番のおすすめは、揚げ栗です。渋皮をむいただけの栗を、油で揚げる。ゆで栗は50分くらいかかりますが、揚げると10分くらい。むき栗にして揚げる方法もありますが、渋皮つきは大人の味。塩をふって、熱いうちに食べていただくと、ほっくりしていて、ビールのおつまみやお子さまのおやつにもいいとご提案しています。
今年は、9月の台風12号の後、栗の品質について、各市場さんからお叱りを受けました。その後、台風15号までの間に改善したつもりですが、一時期はご迷惑をおかけしてしまいました。栗の木の寿命は30年くらいで、普通は20年くらい植え替えません。ただ、今年と来年は市と県の補助事業として、品質の悪い栗の改植に取り組みます。同時に、あまり品質の良くない栗の苗木は販売をストップするなど、おいしい栗をみなさんにご提供するために、これからも努力を続けたいと思っています。笠間の栗を品質のいい栗として覚えていただければ幸いです。
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