■2011年10月16日 第7回 〜 商品情報 茨城産「笠間の栗」

【JA茨城中央 タカギ氏のご挨拶】 

 茨城県の中央にある笠間市を中心に栗を生産しています。

 農業技術の普及、指導をしている笠間地域農業改良普及センターと、笠間市、私ども茨城中央農協では、パンフレットの作成や生栗、貯蔵栗の販売など、三位一体となって栗の事業をすすめています。

 今日は、茨城中央農協の栗の取り組みについて、部会長のカネコさんからお話をさせていただきます。

茨城の栗

【栗部会 部会長 カネコ氏のお話】 

 栗は秋の味覚の代表格です。栗の収穫は1年に1回だけ。早いものでは8月のお盆あたり、通常は9月頃から落ちる品種を中心に作っています。

 市町村合併で笠間市になり、行政は「笠間の栗」で売りたいようですが、まだ、市場では、昔の農協の名前、「友部の栗」のほうが通りがいいようです。

栗部会 部会長 カネコ氏
 栗の栽培が 大々的に始まり、部会が形成されたのは昭和40年代初頭で、46年ほど経ちました。私は5代目の部会長です。5〜6人若者もいますが、栗栽培の労働力は老人が多いのが現状です。

 販売している栗のキロ単価は、500〜600円のものから1000円くらいのものまで。本年は原発事故の影響か、9月上旬は値動きが悪かった。栗の放射能検査はしており、笠間では43ベクレル、基準の1/10以下の数値でした。9月後半、台風12号、15号の頃よりはだいぶ回復してきました。

 当部会では、現在、12〜13種類の栗を生産しています。市場で知られているのは「利平」だけですが、品種ごとに、それぞれ味に特徴があります。ただ、栗の落ちる時期は、だいたい2〜3週間、短い品種だと10日間くらいで出荷が終わるので、同じものを要望されても難しい。品種が変わり、次々と違った味の栗が楽しめる、と思っていただければ幸いです。

 品種別の出荷に取り組んで、今年で6年目になりました。近頃、ようやく認識されてきました。今は、「石槌」と「岸根(がんね)」という品種。「石槌」は、今日明日で90%以上収穫が終わると思います。その後が「岸根」で、いちばん遅い品種です。

 現在、メインとなっているのは貯蔵栗。今月下旬から、貯蔵栗「極み」の出荷が始まります。栗を0℃で貯蔵し、甘みを3倍にして売る取り組みで、今年で3年目になります。昨年は「極み」を2.4トン販売しました。今日、試食用にお持ちしたのは、「丹沢」という最初に落ちる品種の貯蔵栗です。風味があって色がいいので、栗きんとんやペーストなど、お菓子屋さんに加工用としてよく使われます。農協では、貯蔵栗の焼き栗をインターネットで販売しています。

 栽培についてですが、1月〜3月の間は栗の木の枝を1本1本剪定し、その後、施肥と防除。無農薬栽培の生産者もいますが、2回ほど消毒をする人もいます。茨城では平坦地で栗を栽培しているので、ほとんどの人がトラクターで除草作業をしています。年3回〜5回、多い人は月1回くらいのペースで草刈りをしています。

 生産者部会に入っているのは、270名です。茨城県の場合、栗を買って歩く業者の方がいて、軒先で結構売れてしまい、農協に集まってくるのが、生産量の1/3くらい。出荷する栗をいかによくするか、部落座談会や講習会を行っています。年金生活の糧に栗栽培に取り組んでいる高齢者の方も多いので、選果場で栗を見て勉強してもらうほか、栗の品種や、病気になった栗がわかるようなカラー刷りの見本帳も作りました。

 笠間市と一緒に、おいしい栗の食べ方を広める取り組みもしています。笠間の栗の生産者と、消費者のみなさんとの料理講習会を行い、そのようすは県内のテレビで放送されました。私の一番のおすすめは、揚げ栗です。渋皮をむいただけの栗を、油で揚げる。ゆで栗は50分くらいかかりますが、揚げると10分くらい。むき栗にして揚げる方法もありますが、渋皮つきは大人の味。塩をふって、熱いうちに食べていただくと、ほっくりしていて、ビールのおつまみやお子さまのおやつにもいいとご提案しています。

 今年は、9月の台風12号の後、栗の品質について、各市場さんからお叱りを受けました。その後、台風15号までの間に改善したつもりですが、一時期はご迷惑をおかけしてしまいました。栗の木の寿命は30年くらいで、普通は20年くらい植え替えません。ただ、今年と来年は市と県の補助事業として、品質の悪い栗の改植に取り組みます。同時に、あまり品質の良くない栗の苗木は販売をストップするなど、おいしい栗をみなさんにご提供するために、これからも努力を続けたいと思っています。笠間の栗を品質のいい栗として覚えていただければ幸いです。

 
■2011年10月16日 第7回 〜 商品情報 山形産「甚五右ヱ門芋」
 「森の家」は、山形県の一番北に位置する真室川町にあります。もともと、家の屋号が森の家なので、その名前をとって会社名にしました。

 今日ご紹介するのは、甚五右ヱ門芋という里芋です。とろみとやわらかさが究極の里芋で、個人のお客さまに販売する際のデザインにもこだわっており、高級なイメージで売り出しています。今日は一番やわらかいところを試食用にお持ちしましたので、後ほどぜひゆでたものを試食してみてください。

森の家 佐藤春樹氏

 名前の由来は、佐藤家の初代の名前が甚五右ヱ門だったことにちなんでいます。今、私で20代目。室町後期から続く家、といわれています。

 山形県には、昔から、芋煮の文化があります。佐藤家1軒にしか残っていなかったこの里芋を、3〜4年前に大学の先生に食べてもらったところ、こんなにやわらかくて粘りのある芋はない、という評価をいただいたので、ブランド化して売ることになりました。

 栽培方法は、毎年秋にタネ芋をとり、その小さな芋を籾殻の中に入れます。雪が降ってもタネ芋が腐らないように、ムロのようなものを作って保存しておくわけです。翌年の5月くらいにタネ芋を掘り出し、一度、芽出しをします。トンネルを作って、葉っぱが1〜2枚出るくらいにして、6月の初めから畑に植え付けをします。

 セシウムの検査も受けました。山形県は問題ないはずですが、個人のお客さまが不安がられる部分もあるので独自で検査し、検出されませんでした。

 甚五右ヱ門芋は、一子相伝なので、私の家にしか伝わっておらず、あまり量はありませんが、おいしいといって食べていただけるお客さまにこれからも繋げていきたい、と考えています。

 また、最上地方には、芋のほか、豆、かぶなど、30〜40種類もの伝承野菜があります。その土地にしかないもの、その土地でしか味が出ないものを使っていただきたいという思いから、「森の家」が窓口となり、伝承野菜を販売するための活動もしています。

 

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