昨年は、東日本大震災とそれにともなう原発事故で、農作物も甚大な被害を受けました。震災が起きて約1ヶ月後の昨年4月17日に第1回目の八百屋塾があり、冒頭の挨拶の中で、私から2点、申し上げました。
まず1点は、震災による影響は非常に長引くであろう、ということ。ですから、われわれも、長いスパンで被災産地等を応援していかなくてはいけません。被災産地の支援等に関しては、北足立さんが最初に立ち上がってくださり、各市場で復興支援活動を行ってまいりました。秋の各市場まつりの中でもキャンペーンを展開し、1年を通じて努力した結果、非常に成果を上げたと思います。産地の方にも喜んでいただくことができました。昨年、10月26日、われわれの組合の全国組織である全青連の理事会がありました。そのとき、東北地区の地区長さんから、「義捐金等をいただき、ありがとうございました。みなさんによろしくお伝えください」と、丁重なお礼をいただきました。私どもとしても、非常に意義のある活動ができた、と感じています。
そして、第2点は、そのようなときこそ、八百屋塾に来て勉強している方にとってはチャンスである、ということです。お客様と正面から向き合って、きちんと対応することが大事だと思っています。お客様が心配しつつお店に来られたとき、いかに安心していただける商品を売ることができるか。対面販売の強さが発揮できるところだと思います。ただし、それを生かすためには、それだけの知識がないといけません。この八百屋塾は、そうした知識を得るための場だと、私は常に思っています。
八百屋であるみなさんがお客様にどのように対応できたか。これは、みなさんが生涯でどのように生きたか、ということに繋がりますので、がんばっていただきたいと思います。
八百屋塾を立ち上げた江澤正平先生は、「嘘をつくな」、「わからないならわからないといいなさい」と、よくおっしゃっていました。この精神を今までの知識の中に取り入れ、お客様と向き合って対応していただきたい。放射能問題についてはまだ収束しないと思うので、これからもお客様にいろいろ聞かれることがあると思います。それに背を向けてはいけません。「これは、ここから来て、こういうものですから安全ですよ」と、訴えながら、安心でおいしい野菜を売ることが、われわれ八百屋の使命ではないでしょうか。
今年もまた1年、がんばって勉強して、商売の繁栄に繋げていただきたいと思います。簡単ですが、新年にあたり、私の思いの一端をお話しさせていただきました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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