昔は「吉川なす」がたくさん作られていて、関西方面に出していたのですが、非常に手間ひまがかかるので、栽培農家がだんだん少なくなってきて、一昨年、たった1軒になってしまいました。そのたった1軒残った農家のご主人もお亡くなりになりまして、これではいけない、と…。伝統野菜を守り伝えていかなければ、ということで、
鯖江市内の有志農家13軒が集まって、現在、伝統野菜等の栽培研究会を作っています。
最後の1軒の農家に3つだけタネなすが残っていたので、そのなすからタネを採って、13軒の農家に分けて栽培を始めました。昨年から、復興に向けての取り組みを始めたばかりなので、現在はまだ600株、1年間で7,000個くらいしかとれません。
伝統野菜とは、F1(一代交配)ではなくて、農家がタネを採って守り育ていく野菜です。福井県にも伝統の福井野菜推進協議会ができ、「吉川なす」やその他のなす、「勝山水菜」などをどんどん世に出していこう、と働きかけているところです。
「吉川なす」の特徴は、ヘタに鋭いトゲがあること。葉っぱにもトゲが生えています。露地栽培が非常に難しいので、現在は、ハウス栽培も奨励しています。
現在は、試行的に、栽培研究会が栽培をしており、今年から、東京のレストラン10〜20軒に卸しています。
鯖江市の特産づくり応援室では、農業公社も抱えています。本日は、販路拡大、販売力の強化にご協力いただければ、と思い、東京にやって来ました。ご相談いただければ、農業公社からお送りしますので、よろしくお願いします。ご注文がたくさんあれば、来年の販売計画にも有利に働くのではないか、と思っています。
ただ、値段は一般的ななすに比べるとやや高めです。大きさにもよりますが、1個200円くらいで、送料は別になります。
「吉川なす」は、7月〜8月上旬くらいに1回目のピークを迎えます。8月に入ると、やや樹勢が落ちてくるので、農家はいったん枝を切り、また9月に入ってから樹勢が復活して2回目のピークを迎え、10月中旬くらいまでは収穫できるはずです。
京都の「賀茂なす」に似ており、味が濃いので、若い人にも喜ばれるのではないでしょうか。焼いて田楽にするのが一番向いていると思いますが、煮ても形が崩れないので煮物にもおすすめです。昔は漬物にもしていたようです。
鯖江市の伝統野菜を守っていこう、ということで、今、ロゴマークを全国公募しています。8月いっぱいで締め切り、来月、選定委員会を開いて、市役所が商標登録をする予定です。市も一丸となって、伝統野菜を守り、農家には安心して「吉川なす」を作っていただけるようなシステムを作っていきたい、と思っています。
「吉川なす」以外にも、いくつか鯖江市の野菜をご紹介します。鯖江市では、JAや商工会議所が一体となり、県の協力も得て、地場野菜をどんどん売り込んでいこう、という動きがあります。
まずひとつは、「さばえ菜花」。ようやく栽培態勢に入ったところで、まだ量は少ないのですが、青森県産の「ククタチ」という菜花と、三重県の「極早生菜の花」を掛け合わせた新しい交雑種で、5〜6年前から作っています。鯖江市では、農作物による景観づくりということで、「さばえ菜花」を堤防、農地、街路樹の下などに播いています。そうした中から、いいものをセレクトして、食用としても売り出していこうとしています。
ブロッコリーも、20年くらい前から、鯖江市で特産化をすすめています。鯖江市は小さな町で、12校の小学校がありますが、そのすべてに学校給食畑という畑を設けて、農家さんと小学生が一緒に自分の学校の給食で使う野菜を作っています。
「越のルビー」は、福井県で開発されたミディトマト。非常に糖度が高く、おいしいトマトです。
「さばえ夢てまり」は、マルセイユメロンです。すべて糖度を測り、14度以上あるものに「夢てまり」というシールを貼って出荷しています。数はそれほど多くありませんが、現在推進しています。
都会の方や若い方に、職人さんの技や農業に触れて、おいしいものを食べ、田舎暮らしを体験してもらおうと、グリーンツーリズムもすすめています。また、福井県はコシヒカリ発祥の地です。水のおいしいところなので、非常においしいお米ができます。今年から、鯖江市独自に、菜の花をすき込んだお米作りも始めました。まだ量は少ないですが、多角的にいろいろな仕掛けをしていますので、ご興味があれば、ぜひお問い合わせください。私どもに対応できる範囲で、お応えしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
|