■2011年11月20日 第8回 〜 食べくらべ
◇さつまいもなどの食べくらべ
  • 食べくらべのメインは、蒸かしいも。「なると金時」、「五郎島金時」、「隼人芋」、「コガネセンガン」、「京都オレンジ」、「シマムラサキ(紫安納イモ)」の6種類を食べくらべた。

  • 料理は、むかごごはん、大学芋、紅はるかとりんごの重ね煮、肘折かぶの漬物、赤根ほうれん草のごま和えを試食。
[荒井慶子先生より]
  • むかごごはんは大変面白い感じに仕上がりますので、ぜひお試しください。

  • さつまいもとリンゴの重ね煮は、レーズンの代わりにプラムを刻んで加えました。口当たりがちょっと違います。どちらかというと、レーズンのほうが適していると思います。
さつまいもとりんごの重ね煮
  • 重ね煮のレシピには「紅玉りんご」と指定してあります。紅玉を使うと煮崩れせず、透き通ってきれいに仕上がります。酸味と甘みのバランスもいいので紅玉としましたが、ほかのりんごでも大丈夫です。酸味が足りなければレモンで補ってください。

  • 重ね煮はフランスなどの家庭料理で、煮立ったら鍋ごとオーブンに入れます。そのまま1時間くらいほったらかしでいいので、まったく手がかからない料理です。みなさんが作るときは、段々にせず、混ぜてもいいと思います。こういうお料理をお客さまにご提案していただければ、もっとさつまいもやりんごの消費が広がるのではないかと思います。
[感想など]
  • 今のさつまいもはどの品種を食べてもかなりおいしくなっているので、大学芋にするのはもったいない。砂糖に負けてしまっている。昔はまずかったから、甘みを足して料理したんだと思う。今の時代、大学芋なんて必要ないのかな、と思いました。

  • さつまいもはねっとりしたほうが好きなので、今日はほとんどのいもがおいしく感じました。安納いもは結構価格が高く、普段自分では手が出ないので、今日は八百屋塾で食べられてよかったです。

  • 私は、7〜8年前から茨城の農家さんと契約しており、最初の2ヶ月くらいは、キュアリングしていないいもを焼きいもにしています。農家さんに焼きいもに一番適した状態のいもを出していただいています。それをお客さまに常においしい状態でご提供できるよう心がけています。りんごも信州の農家さんと契約しているので、両方とも出たときに、今日試食したさつまいもとリンゴの重ね煮をお店でやってみたいと思います。

  • 毎年、「赤根ほうれんそう」を売っています。普通のほうれんそうの倍くらいの価格でも、一度食べてもらえれば、そのおいしさはわかってもらえます。葉より、軸と根っこが断然甘みがあっておいしい。ごま和えも、今日のように味を薄くすればいいと思いますが、お浸しが一番おいしいと思います。
◇その他
  • 杉本晃章氏より、9月18日(日)〜19日(祝)に開催した「出張八百屋塾in山ノ内町」のご報告がありました。

    • 9月中旬、志賀高原の山ノ内町に、バス1台18人でりんごを見に行ってきました。9軒の農家を、3斑にわかれて別々に見学。認定農業者のみなさんが、自分たちの作ったりんごを市場を通さないで八百屋塾のみなさんに売ってもらいたい、というのが当初の目的でしたので、どういう取引が始まったかをご報告します。
    • 取引を開始した農家は3軒、われわれ青果店は9軒です。つまり、3軒の農家が9軒の八百屋に送った、ということになります。内容は、「サンつがる」、「シナノスイート」、これから始まってくる「サンふじ」、種ありの巨峰、給食用のちょっと傷のあるB級のりんご、「ぐんま名月」。また、来年度の予約として、ブルーベリーを頼んだ人もいるそうです。うちの店でも、今年の7〜8月に、山ノ内町のブルーベリーを売ったのですが、50円玉くらいと非常に大きくて、非常に乾燥した地帯で作っているので、品物がよかった。時期が3週間くらいしかありませんが、来年のかなり有望な商品になると思います。

    • 12月、山ノ内町のみなさんが、また試食用のりんごをもって八百屋塾にプレゼンに来ますので、ぜひ試食してみてください。なお、そのとき、前日の土曜日に、どこかの店頭でりんごの販促をしたいそうです。昨年はうちの店で金曜と土曜の2日間行って、りんごを約40ケース売りました。今年はうちのほかにもあと2店舗探しています。名乗りを上げる方は、お知らせください。
  • 澤田勇治氏より、茨城の「食彩フェア」についてご案内がありました。

    • 11月22日(火)、築地本願寺構内で、白菜やレタスなどを栽培している茨城の県西地区の農産物フェアを実施します。食べて応援しましょう、というイベントの一貫です。10時から開催しておりますので、ぜひ、お時間があればご来場ください。

    • 11月28日(月)には、銀座の東武ホテルで「茨城食彩フェア2011」を開催します。こちらは青果物以外にも肉、米、お酒など、この時期に出ているすべての食材をみなさんに見て食べていただく、というフェアです。商談コーナーもあるようなので、みなさんお誘い合わせの上、お越しください。東武ホテルの2階で11時半から受付しています。よろしくお願いします。
澤田勇治氏
  • 高橋芳江氏より、「野菜と文化のフォーラム」主催、「中国山東省野菜産地視察研修会」の報告がありました。

    • 10月23日(日)〜26日(水)、私が所属している「野菜と文化のフォーラム」で、地方野菜研修会があり、中国に行ってきました。山東省の青島で、中国一の市場を見学。町中にある市場や、長ネギとむきタマネギの加工場も見学し、驚きの連続でした。みなさんにもぜひ見ていただきたいと思い、写真をスライドにしてきましたので、ぜひご覧ください。

    • 青島にある中原種苗さんの工場も見学しました。今、タネは90%が外国産だそうです。日本は高齢化で人手が足りず人件費も高いこと、湿気が多い風土がタネとりには適さないこと、耕作地が狭いため雑交配してしまう、などの理由があると聞きました。タネ屋さんは全世界にタネの圃場を持っているそうです。中原種苗さんは青島の工場で、300種類くらいのタネを採種しているそうです。

    • 長ネギの加工場では、皮をむいたり根っこをとったり拭いたり…。1本1本すべて手で作業していました。ほぼ100%日本に輸出する長ネギだそうです。

    • むきタマネギ工場は冷房がしてあって寒いし、アリシンが充満していて涙がボロボロ出て、私たちは1分たりともいられないくらいでした。でも、作業員のみなさんは慣れているのか、そんな環境の中で、ひとつひとつ皮をむいて、大きさを分けて…。これもほとんど全部日本向け、とのことでした。

    • カトキチの検査場では、農薬検査、細菌検査、放射能検査、遺伝子組換検査といったブースがあって、すべて検査して、認証されないと出荷できない、というようになっていました。冷凍餃子事件以来、すごくシビアになっているそうです。

    • 寿光市の青果市場は130haもあって、ものすごい広さでした。白菜の需要が多く、中国全土の1/4がここに集まってくるそうです。

    • 野菜はどれも大きくて驚きました。ただ、全体的にかたい印象だったので、日本人の好みに合うかどうか…。私はナツメ(生でそのままカリカリと)、みどり大根(生でも炒め物でも)、ヒラマメ(炒め物で)などがすごくおいしいと思いました。
  • 大野武男氏と杉本晃章氏より、干し柿についてのお話がありました。

    • 今の時期、「甲州百目」という渋柿が出てきます。今、あまり売れないので、渋のまま東京へ出てきます。産地でも人手がないので、干せないんですね。また、今年は福島県が全然干し柿を作っていないので、価格が高い。生の「甲州百目」を見かけたら、自分で干し柿を作るといいですよ。

    • 干し柿にするときは、首の部分の皮を少し残します。皮を全部むいてしまうと、柿の重さで、乾かないうちに落っこちてしまいます。最初の5日間くらいが問題で、乾燥した空気に当てなければいけない。北風が吹いていれば大丈夫です。低気圧が近づいているときは干してはいけません。また、吊しっぱなしだと外がかたくなるので、ときどきもむといいと思います。
大野武男氏
 

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