■2011年11月20日 第8回 〜 勉強品目「さつまいも」 東京青果(株)個性園芸事業部 副部長 野原秀司氏
◇勉強品目「さつまいも」

さつまいもの入荷量

 (全体) 
6,873 トン 
 1位:千葉県 
4,045 トン 
 2位:茨城県
1,749 トン 
 3位:徳島県
502 トン 
 4位:石川県
175 トン 
 5位:香川県
  133 トン 

 ※2010年4月〜2011年3月、東京青果への入荷量

東京青果(株) 個性園芸事業部
副部長 野原秀司氏
  • JAなめがたは、さつまいもに関して非常に研究熱心です。どういういもを作ったら、おいしい焼きいもになるかを研究しており、大きなパネルも作って量販店さんに送ったりもしているそうです。そのJAなめがたのさつまいもが、「紅こがね」と「べにまさり」。「紅こがね」は、品種は「紅あずま」で、JAなめがたの登録商標です。「べにまさり」は、「紅あずま」との甘さの違いを強調して売っていただきたいと思います。「紅あずま」は麦芽糖とショ糖が中心ですが、「べにまさり」は、麦芽糖、ショ糖のほかに、果糖とブドウ糖が入っています。甘さの質が違うことをお客さまにご説明していただくといいと思います。茨城県からいただいたパンフレットに、簡単な焼きいもの作り方も載っています。こうしたことを説明しながら販売するのも面白いのではないでしょうか。

  • 「紅はるか」は、「春こがね」と「九州121号」という品種を掛け合わせて作ったものです。丸いものが多いといった形状の乱れや、早堀りするとおいしくないといった問題点を改良したもの。昨年の「紅はるか」は非常においしかったので、今年も期待できると思います。

  • 加賀野菜のひとつ、「五郎島金時」は非常に有名ないもです。ある一時だけなくなりますが、キュアリングをしながら、ほぼ1年出てきます。

  • 里浦産の「なると金時」は、商品名を「里むすめ」といいます。有名ブランドで、非常に高値で売られています。

  • 参考出品としてお持ちしたのが、「アピオス」、「むかご」、「黒らっかせい」。「むかご」は、ビールのおつまみなどにいいと思います。「黒らっかせい」は、八街の何軒かの農家で作っており、食べると非常に香ばしいです。こういったものも面白いのではないでしょうか。
 
◇さつまいもの写真
安納芋
黄金千貫
京甘藷
五郎島金時
紅こがね
紅はるか
べにまさり
紫芋
鳴門金時
アピオス
黒落花生
 
 
■2011年11月20日 第8回 〜 勉強品目「さつまいも」補足 高橋廣道氏
◇勉強品目「さつまいも」補足
  • 「安納紅」と「安納ゴールド」は、種子島農協から取り寄せました。

  • 最近、「安納いも」がすごく人気があります。「みつひめ」とか「みつき」とか、各農家さんが自分の作っている「安納いも」にさまざまな商品名をつけて販売しているようです。

  • インターネットなどで販売しているものの中には、品質が安定しないものも多いようです。農協を通しているのは、バイオでしっかりした苗を毎年残しているそうなので、安定した品質のものを仕入れることができると思います。

  • さつまいもの「すいおう」や「エレガントサマー」というのは、いもだけではなく、葉っぱも食べられる品種です。
 
■2011年11月20日 第8回 〜 勉強品目「さつまいも」補足 杉本晃章氏
◇勉強品目「さつまいも」補足
  • 現在出ているさつまいもは、粉質と粘質、つまりホクホクかねっとりの2つにはっきりとわかれます。

  • 「紅赤」、「太白」は、30〜40年前にたくさん出ていた品種で、これが元になって、品種改良されてきました。

  • 「安納いも」も昔からある品種です。「黄金千貫」と非常によく似ており、極端にいうとベーゴマのような形をしています。
杉本晃章氏
  • 私が若いころ、「黄金千貫」はたくさん市場に出ていました。黄色いいもで、戦後は「鹿児島いも」といわれていました。非常に安く、10キロで300〜500円だった。わざわざ鹿児島から持ってくるのに、それでは割に合わなくて、来なくなりました。時代が変わって、焼酎ブームになり、再び脚光を浴びるようになりました。鹿児島のいも焼酎は、大半が「黄金千貫」を使っています。

  • 今の流行は、「紅はるか」「べにまさり」「五郎島」「鳴門」「まなむすめ」など。やや色が白くねっとりした昔の品種、「高系14号」の選抜系です。

  • お客さんの好みもありますが、焼きいもにするには、粘質系が向いています。「紅赤」、「金時」、「こまち」あたりは、ホクホクしていて、きんとんなどに向いています。これできんとんを作ると、非常に色がいい。今、家庭ではあまりきんとんを作らなくなってしまいましたが、市場には暮れの10日間くらいは探せば出ています。

  • みなさんがさつまいもを販売するとき、品種を頭の中に入れておいてください。お客さんの好みによって、いろいろとすすめ方が違ってくると思います。

  • さつまいもは、とったばかりのものはほとんどが粉質です。それを貯蔵することにより、粉質から粘質に変わってくる。その過程で糖分が増しておいしくなります。つい先日、テレビで見たのですが、鹿児島のいもを宮崎にある湿度80%以上、14度の低温貯蔵庫で貯蔵したところ、いもがややしなびた感じになっていたんです。それを焼きいもにしたら糖度が20度以上あった。一方、さわったときにややかたいいもは糖度が15〜16度しかありませんでした。ピンピンして色のきれいなかたいいもより、ちょっとしなびているというか、さわってみてやわらかく感じるいものほうが甘い、ということを覚えておいてください。
 
 

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