■2025年2月16日 第11回 レタス 〜 勉強品目「レタス」 東京青果(株) 石川亮平氏 |
◇「レタス」について |
[東京青果(株) 石川亮平氏より] |
- 玉レタス、1つ目は、静岡県のJA遠州中央。10キロで、L、19玉入れ。もう1つは、兵庫県のJAあわじ島。量目、規格は同じ。最も一般的なレタスで、水分が多くパリッとした食感が特徴です。
- 冬レタスは、香川県、千葉県等もあります。非常に品種が多く、冬場の玉レタスだけで90種類ほどあるといわれ、各農協、各市場、地区によって、土地に合わせた品種が選定され、使われています。
- サニーレタスは、愛知県のJAあいちみなみ田原。5キロで15入れ。グリーンカール、グリーンリーフに関しても、同じく愛知県JAあいちみなみ田原です。
- サニーレタスは、非結球。玉にならずに葉が伸び、葉先が赤い。非常にやわらかく苦みが少ない。
- グリーンリーフは葉先が緑色で、クセがなく苦みが少ないので食べやすいのが特徴。
- サニーとリーフは、玉レタスに比べて業務関係の注文が多く、お弁当やお惣菜の敷物等に使われています。
- フリルレタスは、千葉県のJA長生白子。700グラムの10入れ。グリーンリーフの1種で、葉先がギザギザのタイプ、食感はレタスに近いパリッとした品種です。
- プリーツレタスは、静岡県の野菜工場で生産。1キロ、袋に入って10入れ。基本的にはほとんどグリーンリーフと同じですが、品種名を名前にして、差別化して販売されています。
- ピンクロースターは、埼玉。2キロで、規格が8入れ。リーフレタスとエンダイブを掛け合わせたものだそうで、葉先が赤く、少しギザギザしています。見た目的には小さめのサニーレタス、食感はレタスに似てパリッとしています。
- ロメインレタスは、茨城県のJA茨城むつみ境。4.5キロで、12入れ。別名コスレタス、特徴としては、非常に葉が厚いのと、少し苦みがある。シーザーサラダによく使われます。
- サンチュは、千葉県。1キロ、規格はパック10入れ。焼肉レタスとも呼ばれています。収穫は、外側から1枚ずつ葉っぱを掻き取っていきます。少し苦みがあります。
- エンダイブは、千葉県のJA安房鋸南。2.4キロ、袋6入れ。別名「にがチシャ」といわれるように、苦みが強いのが特徴で、主に業務用か外食関係で使われます。
- 玉レタスは暖かくなれば茨城県も出てきますので、今後の相場は緩やかに下がっていくと思います。
- 12月に非常にレタスが高かった背景は、夏場、種を播く段階で暑かったので、初期生育不良が起きました。その後、10月まで非常に暖かい日が続き、11月以降は全然雨が降らない。出荷量が例年の7割程度になり、高値の相場になりました。
- 玉レタスは、年々、作付けが減っています。出荷時にラップを巻く工程や、資材高騰の中、新規の生産者が出てきません。
- 気候変動のなか、各産地、品種の選定に非常に苦労しています。昨年は暖冬で、前倒しで出荷し、3〜4月が非常に高値になった。今年も暖冬対応の品種を選定したところ、非常に寒く、品物ができずに高値になってしまった。こうしたことが生産量が減っている要因ではないかと思います。
- 屋内で栽培されるレタスは天候の影響を受けないので、少しずつ増えてはいます。ただ、基本的にレギュラーでの販売はしていません。お問い合わせは来ますが、どうしてもキロ単価が高くなるので、なかなか難しい。市場規模は、昨年で大体200億ぐらい、10年前と比べると7倍ぐらいにはなっています。静岡、新潟など、配送しやすいところに工場を構えている業者さんも多くなっています。課題は、人件費や光熱費などのランニングコスト。これ以上増えるかどうかはわかりません。
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◇「レタス」についての補足 |
[タキイ種苗株式会社 関東支店 開発課 課長補佐 新井真琴氏より] |
- 参考出品の品目について、わかる範囲でご説明します。
- カステルフランコは、チコリの仲間。あまり一般的ではないかもしれません。フランス料理店などで使われます。栽培期間が長く、日を当てないように1回畑に埋める、手間がかかる野菜です。
- タルティーボ、トレヴィーゾは、同じような赤いタイプ。イタリアでよく食べられています。キクニガナ属。レタスとは違う種類なので交雑しません。配布資料のピンクロースターの項目に、リーフレタスとエンダイブの交配種、とありますが、レタスとエンダイブはかかりませんので間違いではないかと思います。
- ブーケレタスは、海外ではオークリーフと呼ばれます。オークはカシのことです。葉っぱのフリルがブーケのようなので、ブーケレタス。歯ごたえがあります。
- サラダ菜は、ほとんどが水耕ではないでしょうか。福岡や浜松などにありますが、面積は減少しているようです。半結球タイプで、オークリーフに近い歯ごたえがあります。
- 工場栽培の野菜は、環境による変異と変化がありません。温度が保たれているので、一定量出荷できます。農薬は不要、虫なども基本的には入りませんから、健康面としても高付加価値の野菜です。ただ、値段が高い。電気代も資材も高いので、収益性は難しい面もあると思います。
- 養液栽培は、スポンジの中に種を播くと根が張り、そこに養液を与える栽培方法です。養液はと化学物質というイメージがあるかもしれませんが、肥料成分を溶かして作ったものになります。
- サラノバは、とてもすごい、と思っています。葉っぱの形が均一で、ワンカットで全部同じ葉っぱがきれいに取れる。私たちもこういうものを作りたいと思いながらも、なかなかできていません。
- 茎ちしゃというのは、中国などで使われている茎のタイプです。ヤマクラゲの原材料でもあります。葉っぱはサンチュのようなもので、掻いて食べ、茎も食べます。
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◇「安納芋」について |
[プラチナファーム代表 東井
仁氏より] |
- 種子島で安納芋を作っている3名の生産者の方の安納芋をお持ちしました。
- 種子島の安納芋は5年前に比べて、栽培面積約半分、出荷量3分の1ぐらいになっています。
- 大きな要因の1つが基腐病。また、コロナ禍で生産者がやめていった。さらに、種子島には自衛隊の基地が建設中で、労働力がそちらに流れてしまっていることもあり生産者が減っています。
- 5年前、1万トンあった出荷量が、2〜3年前は3000トンぐらいにまで減り、今年は4000トンぐらいまで回復しました。
- 回復の要因は、土作り、早植え、早出しです。通常、10〜12月に掘りますが、病気になる前に収穫・出荷することが功を奏しているのかもしれません。雨風による病気の胞子のようなものの飛散の可能性があり。種子島が台風銀座になる9月までに収穫しようと、8月の収穫が増えています。
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- 安納芋は、10〜11月の寒さに当たってデンプンが糖に変わり、甘みが増しておいしくなります。今回お持ちしたのは夜温が下がる10〜11月に収穫したものなので甘いと思います。病気対策で8月に収穫すると、収量は増えますが、サイズが小さいのが多く、甘さがのりづらい。
- 5年前は9月でも夜は寒くなり、圃場で蜜が出て甘い香りがし、収穫する手がべとべとになりました。今、9〜10月は夜温が下がりません。蜜が出るのは11〜12月です。3名の生産者さんは、病気は怖いですが、しっかりと土作りをして、10〜12月に収穫し、品質を保ちたいと思っています。
- 種子島の安納芋は、関西への出荷が多いせいか東京には小さいサイズが多いという声を聞きますが、小さいものはトースターで調理しやすいなど、メリットもあり、リピーターの方も多いです。
- 焼き芋屋さんから、「いろいろ食べくらべて、安納芋が1番おいしい」と言われ、大手チェーン店のパン屋さんからは、「安納芋のスイートポテトは1番売れ行きがいい」と、有名アイスクリームブランドの秋の高級品シリーズに使う芋も、「安納芋が1番、芋臭さというかコクが最適」と、言われました。
- 今期、病気を少し克服しつつあり、来期は数量が増えそうです。八百屋さんで取り扱っていただける方がいらっしゃいましたら、お声がけください。一般的には種子島から関東へ運ぶのに中2〜3日かかりますが、私たちは中1日で届けることができそうです。
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◇「レタス」などの写真 |
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