■2024年10月20日 第7回 じゃがいも 〜 食べくらべ
◇「じゃがいも」の食べくらべ
[タナカトウコ氏より]
  • じゃがいもの食べくらべは8種類です。じゃがいもだけのプレートが1〜5番の「男爵」、「メークイン」、「とうや」、「きたかむい」、「キタアカリ」。トマトがのっているプレートは、6番「スノーマーチ」、7番「ノーザンルビー」、8番「おいねのつるいも」です。カットしてから、金属製の蒸し器で10分蒸しています。6〜8番は10分ではかたかったので、時間を追加して竹串がすっと刺さるまで蒸しました。

  • じゃがいもは皮つきです。もしグリーンになっていたら、その部分を取って食べればいいと思っていたのですが、先生に確認したところ、グリーンになっていなくてもソラニンが出ていることがある、とのことでした。食べてピリッとしたら毒があるそうなので、皮ごと食べてみて、ピリッとしたら皮を剥いて食べてください。
タナカトウコ氏
  • 大玉トマトは、1番のグリーンのシールが栃木県産「かれん」または「れおん」。熊本は「かれん」です。
じゃがいもの食べくらべ
じゃがいも、トマトの食べくらべ
◇じゃがいも、トマトの食べくらべアンケート結果
[タナカトウコ氏より]
  • じゃがいもの挙手の数は次のとおりでした(複数回答)。
    1. 男爵 17
    2. メークイン 6
    3. とうや 3
    4. きたかむい 2
    5. キタアカリ 17
    6. スノーマーチ 0
    7. ノーザンルビー 11
    8. おいねのつるいも 21

  • 大玉トマトの挙手の数(複数回答)。
    1. 栃木県 5
    2. 熊本県 12

◇レシピの説明
[石井玲子氏より]
  • 今日ご紹介するレシピは、王道のポテトサラダ。調理班、黒津のレシピです。

  • ご家庭では、冷たいポテトサラダが一般的だと思います。温かいポテトサラダが好きな方や、お店によって、混ぜながら食べるスタイルもあるようですが、今日は、王道中の王道、冷たいポテトサラダです。

  • 「男爵」と「きたかむい」を使ったもの、2種類をご用意しました。

  • 「男爵」は、皮つきのままカットして蒸しました。ポテトサラダなので、少し崩れてもかまいません。

  • 蒸したじゃがいもに、下味としてお酢を少しふりかけます。お酢の香りがちょっと鼻に香るぐらい残っている状態です。ここで、塩、こしょうはしていません。

  • お酢をかけて粗熱を取ったじゃがいもに、ハム、きゅうり、たまねぎ、にんじんを加えます。きゅうりは輪切りにして塩もみし、ぎゅっと絞っておきます。たまねぎはお好みの厚さにスライスしてください。今日は、たまねぎの辛味を取るために水にさらし、絞ってありますが、塩をふって5分ほどおき、絞ったものでもかまいません。にんじんはイチョウ切りにして、茹でてあります。
石井玲子氏

ポテトサラダの食べくらべ


  • ボウルにすべての材料を入れて混ぜ、塩をふります。塩をつまみ、手を返すような形でふると、全体にまんべんなく行き渡り、塩味がのりやすくなります。ひと混ぜしたら、こしょうをお好みでパラパラとふってください。マヨネーズは、軽く表面を覆う程度の量であえました。

  • 緑のシールを貼ったものが「男爵」、シールを貼ってないものが「きたかむい」のポテトサラダです。試食していただき、じゃがいもの崩れ具合、マヨネーズの味加減、品種による違いなどを確かめてください。

  • 黒津によると、このポテトサラダに衣をつけて揚げれば、おいしいコロッケになる、とのことでした。ぜひお試しください。
◇ポテトサラダの食べくらべアンケート結果
[タナカトウコ氏より]
  • ポテトサラダの挙手の数(複数回答)。
    1. 「男爵」のポテトサラダ 17
    2. 「きたかむい」のポテトサラダ 15
◇感想など
  • 好きだったのは「ノーザンルビー」と「おいねのつるいも」。食べ慣れた「男爵」もいつもの味でおいしかったです。「きたかむい」は、ちょっとインパクトがないかな、と。ポテトサラダは「男爵」が好きでした。

  • 個人的には、「おいねのつるいも」と「キタアカリ」が好みの味でした。ポテトサラダはどちらも甲乙つけがたいぐらいおいしかったのですが、「きたかむい」のほうが好き。じゃがいもは見た目や味が少しずつ違っていて、八百屋で働いているので、しっかり説明できるようにならなければいけないと思いました。

  • 私は正直、じゃがいもがあまり得意ではありませんでしたが、「きたかむい」のポテトサラダを食べて、ちょっとおいしいと感じました。

  • ポテトサラダはどちらもおいしかった。「男爵」はいものポテトサラダという感じ、「きたかむい」はいもの主張がないことで食べやすくなっていました。ポテトサラダに何を求めるかによって変わると思いました。

  • 蒸しただけのものを食べることによって本来の味がよくわかりました。そのままで十分おいしいものもあれば、少し水っぽいものもあって、もう少し水分を飛ばすと味が変わってくるのかなとか、そのあたりも食べて確かめてみたくなりました。ポテトサラダは「男爵」のほうがおいしいと思いましたが、「きたかむい」はそのまま食べるよりポテトサラダにするとすごくさっぱりした味でおいしかった。とても勉強になりました。

  • じゃがいもは「男爵」のイメージが強く、今日、最初に「男爵」を食べてすごくおいしいと感じて、そのあと食べたじゃがいもの評価がむずかしかった。ただ、最後に「おいねのつるいも」を食べて、初めて食べたのですが、すごくおいしいと感じました。ポテトサラダについては、やはり「男爵」のほうが香りや風味が強く、私は好みでした。熊本のトマトは、この時期としては香りも味も強くておいしかったです。

  • 本日はじゃがいもについていろいろと説明しましたが、実際に食べてみるとより違いがわかりますね。「男爵」は昔から食べ慣れてきたいもの香りが鼻にふわっと広がるような感じ。それに比べると、たとえば「メークイン」や「とうや」にはそれが感じられないことが印象的でした。食べておいしいと思ったのは、「キタアカリ」と「おいねのつるいも」。「おいねのつるいも」は「男爵」とは真逆の粘質系で、香りが鼻に残るのですが、「男爵」とはまた違う香りなのが印象に残りました。「きたかむい」はややおとなしい味でした。「スノーマーチ」だけ、火の通りがちょっと弱かったような気がしました。品種特性として、そもそもほかのじゃがいもと違うところがあるのかもしれない、と思いました。ポテトサラダは、「男爵」のほうが食べ慣れた味。「きたかむい」は洋食向きというか、すごくクリーミーでした。先ほど、「何を求めるのか」というご意見がありましたが、まさにその通りで、それぞれ何に向くのかがあると感じ、勉強になりました。トマトについては、栃木はフレッシュ感、熊本は完熟感がありました。品種よりは作り方や時期の問題もあるのかもしれませんね。(講師 矢野さん)
◇終わりに
  • お疲れさまでした。矢野さんのお話にもあったように、生産者の方のご苦労、品種改良などの努力を理解した上で、八百屋として販売し、今後もじゃがいもを支えていけたら、と思っています。11月17日の八百屋塾は、「北総の小江戸を巡る、さつまいも掘り体験付き産地視察」です。千葉県香取市周辺で、さつまいもの生産組合を訪ね、いも掘りを体験、貯蔵やキュアリングの様子を見学、昼食もそこでとります。そのあと、江戸の町並みが広がる「佐原重要伝統的建造物群保存地区」を散策、香取神宮を参拝して帰ります。みなさまのご参加をお待ちしております。(実行委員長 柴田)