■2024年8月25日 第5回 夏野菜・梨 〜 食べくらべ
◇「夏野菜・梨」の食べくらべ
[タナカトウコ氏より]
  • 葉物の食べくらべは、グリーンのシールがモロヘイヤ。黄色いシールは空心菜。赤のシールは明日葉。いずれも、葉っぱと茎がありますので、両方味わってみてください。ゴーヤとオクラは生で。デモンストレーションの後に調理したものをお配りしますので、味の変化を楽しんでいただけたら、と思います。

  • 梨は6種類、新潟の「幸水」、群馬の「あきづき」、千葉の「豊水」、千葉の「秋麗」、東京の「稲城」、埼玉の「彩玉」です。
タナカトウコ氏
夏野菜の食べくらべ
梨の食べくらべ
◇和風だしの取り方デモンストレーションとレシピの説明
[石井玲子氏より]
  • 調理のかなめとなる「だし」の取り方を、調理班の黒津がデモンストレーションします。基本的なすまし汁です。のちほど、これから取るだしと、市販のだし(ほんだし)を飲みくらべていただきます。

  • 鍋に水を入れ、昆布を加えます。10分ぐらいかけて、80℃ぐらいまで沸かしたら、昆布を取り出し、もう1回沸かしてあくを取ります。澄んだだしにするためにていねいにあくを取ります。表面に浮いてきた白いものが昆布のあくです。火を止め、さし水をします。今日は1.8リットルの水に、おたま1杯分のお水を入れます。次に、鰹節を入れます。火を止めたら、鰹節のあくも取ります。ざるにペーパータオルを敷き、もう1つざるを重ねたもので濾します。だしの取り方は以上です。

  • 今日使った道具は、鍋とざる、厚めのキッチンペーパー。昆布と鰹節の分量を量るためのはかり。1.8リットルの水に対して、昆布は20グラム、花鰹は30グラム入れました。特にこだわった商品ではなく、スーパーなどで手軽に入手できるもので、十分おいしくできると思います。

  • 今日は1.8リットルなので、鰹節のあくはあまり出ませんでした。ご家庭で作る少ない分量では、ほとんど出ないと思います。だしをたくさん取りたい場合は、あくも出ますので取ってください。

  • 鰹節を入れて濾したあと沸かす、鰹節を入れた状態で沸かす、などさまざまなこだわりやレシピがありますが、鰹節を入れたあとにグラグラと沸かすと、濁りが出たり生臭さが残ることもあります。ご自分でいろいろと試してください。だしが濁ってしまった場合でも、味噌汁にすればおいしくいただけます。

  • 夏野菜のレシピは、野菜の味を感じていただくため、シンプルな味つけにしました。モロヘイヤのすり流しは、モロヘイヤを洗い、葉っぱと茎の部分に分けて、茹でます。カットしたモロヘイヤと、先ほどのだし、塩をミキサーにかけるだけです。だしの量を調節することで、好みの喉越し加減にできます。

  • 空心菜は、食べやすい大きさにカットして、油と塩で炒めただけのお手軽レシピです。

  • 明日葉は茹でてから茎と葉っぱに分け、だし、醤油、塩でおひたしにしました。

  • ゴーヤのステーキは、サラダ油でじっくり火を通し、最後、香り付けに醤油で味をつけました。

  • オクラのたたきは、板摺りをして上のところを取ったオクラを茹で、カットしてから、だし、濃口醤油、本みりん少々を加えました。
石井玲子氏

夏野菜の試食プレート

モロヘイヤのすり流し

オクラのたたき


◇梨の食べくらべアンケート結果
[タナカトウコ氏より]
  • 梨6種類の挙手の数は次のとおりでした(複数回答)。
    1. 新潟の幸水、16
    2. 群馬のあきづき、2
    3. 千葉の豊水、20
    4. 千葉の秋麗、16
    5. 東京の稲城、7
    6. 埼玉の彩玉、23
◇「梨」の写真
幸水
(新潟)
幸水
(新潟)
幸水
(長野)
幸水
(長野)
あきづき
(群馬)
あきづき
(群馬)
豊水
(千葉)
豊水
(千葉)
秋麗
(千葉)
秋麗
(千葉)
稲城の梨
(東京)
彩玉
(埼玉)
彩玉9玉と7玉
(埼玉)
彩玉9玉と7玉
(埼玉)
   
◇感想など
  • 今日の食べくらべはぜいたくでした。1番印象に残ったのはゴーヤです。私は、生よりステーキにしたほうが苦く感じました。比較しないとわからなかったことなので、勉強になりました。

  • 夏野菜は、生で食べたことがないものが多かったので、いい経験ができました。オクラは身近な食材ですが、生で食べたことがなかったので、意外とねばねばしておいしく食べられることにびっくりしました。

  • 明日葉は1度も食べたことがなかったのですが、鼻に広がるいい香りがして、1番印象に残りました。梨は、食感や甘み、酸味の違いがあって、勉強になりました。

  • 明日葉を初めて食べました。すごく食感や香りがよく、おいしい野菜でした。自分としては、より香りの強い生のほうが好みでした。

  • ゴーヤは焼いても生でも苦かったです。モロヘイヤのすり流し、おいしかったです。食べやすくて、栄養も高く、いい食べ方だと思いました。普段は塩気強めのほんだしの味に慣れてしまっていますが、本物のおだしはとてもやさしい味で、素材の味を生かしてくれると感じました。梨は「彩玉」がおいしかったです。個人的に「秋麗」の食感も好み。ただ、食べくらべなければ、どれもみんなおいしい梨だと思います。
◇終わりに
  • 今日はお世話になりました。受講生のみなさんが、こうしてさまざま野菜に注目して、そのレシピ等も研究し、相対でお客さまに商品を提供してくださっているんだ、というのを間近で感じることができて、農業研究者として、大変ありがたいと感じました。埼玉には、意外と葉物野菜の大産地があります。そういうところにも八百屋塾のような活動が少しでも広がって、埼玉県内の八百屋さんと繋がっていただければ、さらに嬉しく思います。梨については、「彩玉」を評価していただき、ありがとうございました。しっかりと吟味して持ってきたので、おいしいと言っていただけてホッとしました。千住青果、東京シティ青果等には若干出ていますので、よろしければぜひ取引してみてください。今日は貴重な体験ができました。料理の先生方も、本当にありがとうございました。勉強になりました。(講師 島田智人氏)

  • 本日は、だいぶハードな食べくらべだったと思いますが、お疲れさまでした。ふだん、生では食べないようなものを食べ、調理したものも食べ、味の違いや変化を感じられましたでしょうか。八百屋塾では引き続きこのような食べくらべを行っていきますので、来月もよろしくお願いいたします。来月のテーマはトマトの予定です。最後に、われわれの全国組合におきまして、カレンダーとTシャツを作成しましたので、ご希望の方はぜひお買い求めください。(実行委員長 柴田)