■2024年8月25日 第5回 夏野菜・梨 〜 講演「埼玉県における日本梨品種の変遷と流通における課題」 埼玉県農業技術研究センター 島田智人氏
◇はじめに
  • 私は1991年に埼玉県に入庁し、1回も異動せずに試験研究一筋、梨一筋34年目です。昔はそんな先輩もいましたが、私が絶滅危惧種の最後の1人だと自覚しています。今は役人も異動が多く、試験研究機関では専門家が育たないという問題点を抱えています。

  • 今日は「埼玉県の梨」をテーマにお話しします。埼玉は、小ロットの組合しかなく、東京の青果商まで県産の梨は届かないと思います。私の知っている限りでは、千住青果、東京シティ青果、横浜の金港に出しているはずです。ただ、量も少ないので目にする機会はないかもしれません。

  • 今日は、オリジナル品種「彩玉(さいぎょく)」を紹介します。まだ50ヘクタールぐらいで、市場には出まわりませんが、後ほど食べて、ぜひ覚えて帰ってください。
埼玉県農業技術研究センター
島田智人氏
◇梨の面積は減少傾向
  • 1956年から2016年までの日本全体の果物の栽培面積の推移をみると、日本梨、温州みかん、りんごは、減っており、おうとうは増加、ぶどうはほぼ現状維持です。

  • 梨の面積の減り方が早い背景には、整枝、せん定に非常に時間がかかる。平棚栽培で、いい実が取れる枝を選び、等間隔で棚にくくりつける作業は、非常に高度な技術が必要で、なかなか継いでくれる人がいません。

  • 果樹全体について、農政上、借りた土地で作るのは難しく、新規就農者が入りにくい側面もあります。

  • マイボイスコムというところの資料で、好きな果物を聞いたアンケート結果によると、果樹類は、梨は桃の次に人気のある果物でした。

  • 日本梨のシャリシャリした食感は独特に選抜されてきたもので、世界中ほかにはない、特異な果物として人気があります。
◇埼玉県の梨生産と新品種「彩玉」
  • 1973年当時はほとんどが「長十郎」で、子供の頃はおいしいと思って食べていました。「二十世紀」は高級品で、「長十郎」は庶民の梨、という位置づけでした。2006年ぐらいには、「幸水」、「豊水」、「新高」のほぼ3品種になりました。

  • 近年は、面積が減りすぎたため、市場を経由するより、品種数を増やして直売で長く売る方向にシフトしています。「幸水」の占有率が徐々に減り、「豊水」、「彩玉」、「あきづき」などが増えています。

  • 「幸水」の長所は、盛夏期の消費拡大期に収穫されること。甘味が強く、酸味は少ないので、万人受けします。最大の短所は黒星病に弱いこと。収量性はやや少なく、作りづらい。花芽が入りにくく、独特の栽培技術が必要です。市場に出荷する果実は日もち性も考えて採らなければなりません。

  • 「豊水」は収量性が高く、肉質がやわらか、適度な酸味で非常に味が濃い。私個人は好きですが、今の消費者は酸味を嫌い、「豊水」より「幸水」に流れる。市場価格も、東北産「幸水」が出ると関東産「豊水」の値段が下がるといわれています。酸味によって好みが分かれる点が短所ともいえます。また、年によって果肉障害が発生します。

  • 「新高」は昭和ひと桁からある古い品種。収量性は非常によく、秋のお彼岸から10月半ばぐらいまで穫れます。非常に作りやすいのですが、肉質のざらざらする感じが短所です。

  • 「幸水」、「豊水」、「新高」は、7〜11月が収穫時期です。7月は通常、ハウス栽培。国の作った「はつまる」という新品種は7月上中旬から採れ、面白い商材だと思います。

  • 最近の品種では、「新甘泉」が9月上中旬。「甘太」が10月中旬から下旬。非常に甘いので伸びるでしょう。そのあとに鳥取の「王秋」。釣り金形で日もちのいい晩生で、肉質が非常にいい。栃木の「にっこり」は全国版になりました。収量性が高く、輸出されています。「新甘泉」は鳥取限定で関東までは来ませんが、非常においしいという評判です。「彩玉」は埼玉県のオリジナル品種です。

  • 新品種誕生にはいくつかの背景があります。梨畑の周りに住宅地が広がり、作りにくくなったこと。埼玉は700万県民という巨大消費地で、直売が増え、特徴ある品種への要望が生まれたこと。以前の共販市場出荷は「幸水」、「豊水」だけで、収穫時期が集中して非常に忙しい。品種を多様化して労力を分散するとともに、直売のニーズにも応えるという狙いで、県が梨の育種に取り組みました。

  • 「彩玉」の交配は1984年、私の前任者が「新高」に「豊水」を交配させました。私が入ったあと、初めて「彩玉」の木に実がなり、何百とある実生から選抜する作業を続けて、2002年に品種登録申請、2005年に登録。19〜20年かけて作ったものです。

  • 「彩玉」は「幸水」より一回り大きく、1キロを越えることもあります。収穫時期はお盆から9月頭ぐらい、「幸水」、「豊水」の間の時期です。甘味は「幸水」より多く、「豊水」と同じぐらいで、「新高」に似たシャリシャリ感のしっかりした歯ごたえがあります。酸味はほとんどなく、好まれると思います。

  • 「彩玉」の長所は、糖度が高く、酸味は少ない、肉質はやわらかくシャリ感がある。収量性が高く、花芽の着生も多くて非常に作りやすい。短所は、大きすぎて売りにくいことかもしれませんが、私はマッチングが重要だと思います。たとえば岡山県では、梨、ぶどう、桃など大きいものを好む傾向があり、買ってくれる客層がある。数年に1個ですが、1キロの桃ができたら、いくらでもいいから買うので必ず連絡してほしい、というお客さまがいるそうです。お店やバイヤーさんの腕かもしれない、と期待しています。その他の短所は、果形が乱れやすい、肉質が「豊水」よりややざらつく。逆に果肉がしっかりしているという評価や、果皮色が「幸水」より少し暗いので、外観が悪いという意見もあります。

  • 「彩玉」のその他の特徴は日もち性で、7日程度。遺伝子タイプはaa。梨は種のまわりで作る内生エチレンによって老化が進行します。老化とは、果実の軟化や香りが出る、という意味です。「彩玉」自体は内生エチレンをほとんど発生させないので、日もち性がいい。

  • S遺伝子はS3S5といわれるもので、「豊水」や「あけみずは」などと同じ組み合わせです。自家不和合性があるので、「豊水」や「あけみずは」の花粉をつけても結実しません。

  • 「彩玉」を「幸水」と「豊水」の間に入れ、「豊水」の後に「あきづき」、「王秋」を10月下旬ぐらいに入れれば、少しずつ長期間販売できる、という提案を農家さんにしています。

  • 2022年推計で約50ヘクタール、面積比13パーセントに増え、目標面積は超えています。他の梨の減り方が大きく、相対的に「彩玉」のシェアが増えたという面もあります。

◇販売への取り組み
  • 県主体の「彩玉推進協議会」が、県内の市場を経由して高級量販店などで販売を開始しました。今は、県内のスーパーに流れています。

  • 小売店さんが売りやすいのは13玉、14玉ですが、「彩玉」は大玉で売る、13玉以下は売らないと決めて、平均550〜600グラムで市場価格を維持しています。13玉は、市場に「彩玉」としては売りません。農家さんが袋詰めを庭先で売るのは自由ですが、市場に出すのは絶対ダメです。

  • ある産地は、新宿高野さんと組み、「黄金のしずく」というブランド名で出しています。特殊な作り方で色を明るくして、すべて非破壊検査で測って糖度は13度保証。トップブランドになっています。

  • 直売所では高値で売れ、非常に収益性の高い品種として評価されています。化粧箱も作りました。

  • 台湾への輸出も試みました。「豊水」2玉1600円、「彩玉」1玉1500円と、考えられない高値でしたが、親日国で、日本より果物を食べる文化があります。試食してもらったところ、完売しました。
◇近年の各県の育成品種
  • 県育成で世に出ている、秋田から大分までの品種のなかで評判がいいのは、栃木の「にっこり」、茨城の「恵水」などですが、私は、県育成の成功例は「にっこり」と長野県育成の「南水」だと思います。「南水」は氷温貯蔵し冬場まで売っています。「にっこり」がその次、「彩玉」は3番目の成功例と自負しています。

  • 愛知は、「陽水」、「観月」、「瑞月」の3品種を登録しています。鳥取は「新甘泉」の評価が高く、定着しつつあります。それ以外にも6品種を登録しています。福岡の「玉水」、大分の「豊梨」などは、関東ではあまり聞かれません。1つの品種が定着して市場に受け入れられ、生き残るのはなかなか難しい。それでも各県、がんばっている状況です。
◇育種の方向性
  • 梨の育種は、第一に何を目指すのか。大きさ、肉質、甘み、酸味、香り…。そうした果実の品質を目指して、親を選びます。それから収穫時期。早い品種を作りたければ早い親、「新高」の時期に作りたいなら「新高」を母親にしたりします。

  • 作業労力の話をしましたが、多くの品種は自家不和合性なので、今後は自分の花粉でつく自家和合性、花がつきすぎたら自分で調整して落とす自家摘果性を持つ品種が、育種の目標になります。

  • 今、最大の問題である黒星病にかからない品種の育種も大きな目標の1つです。

  • 低温要求量の少ない品種。地球温暖化で冬が暖かくなっていますが、果物は冬を越さないと花が咲かず、寒さが絶対必要です。低温要求量とは、たとえば、7.2℃以下の温度が700時間というような目安があり、この時間に達しないと花が咲きません。これには品種間差があるので、低温要求量の少ない品種を作ることも大きな育種目標になってきます。

  • 次に求められるのは、日もち性のよさ、生理障害が出ないこと、玉揃い、つまり製品率の高さ、作りやすさ…。きちんと揃ったものが作れることが2次的な選抜要因になります。
◇地球温暖化の影響
  • 資料に示した低温積算量は、7.2℃以下の低温遭遇時間がこの量に達したら花が咲く、ということです。1000時間から1800時間まで、品種によって違います。「王秋」は1800時間なので温暖化向きではなく、「あきづき」、「新甘泉」、「豊水」などは1000時間、温暖化しても耐えられる品種ということになります。

  • みかんとりんごについても、警鐘が鳴らされています。現在、温州みかんの適地は、九州や四国、東海の海際にありますが、国際的な気象団体の予測によると、2060年には九州の海岸地帯や東海では暑すぎて採れなくなり、適地が内陸に寄るとされています。りんごは長野、山口などでは作れなくなり、今、北海道は寒すぎて不適地ですが、2060年には適地になるだろうといわれています。

  • 近年問題になっているのが梨を含めた果樹類の日焼けです。りんごでは長野の「シナノリップ」、温州みかんでは佐賀の「上野早生」、梨では千葉県市川の「幸水」、「新高」などの症例がweb上にありました。特に「新高」は高温に弱く、近いうちに生産されなくなるといわれています。

  • 日焼け防止には、かん水、散水が有効とされます。呼吸して蒸散するので水分をしっかり蓄えさせる。陽光面に果実を置かない。陽光面のほうが甘い果実が採れますが、製品率が下がるので、枝の配置などを工夫する必要があります。こうした研究は始まったばかりですが、栽培方法の見直しと、新たな高温耐性の品種が必要と考えています。
◇流通の問題点
  • 梨が圃場から選果場、市場を経由して小売店まで4〜5日。「幸水」の日もちは5日ぐらいです。市場からは、「1週間もつ果実を持ってきて」と、日もち性が優先され、その要望に応えるには、糖度や肉質が不十分なものを採らざるを得ません。味は関係なく、青ければ青いほど市場評価が高くなります。だから、「スーパーの梨はおいしくない」と、梨が好きな人が減っていく。悪循環です。私は、流通の方々に、適熟の梨が流通できるコールドチェーンの確立が必要、と言い続けています。

  • 台湾には、果物の露店が非常に多い。生水が飲めない事情もあるのか、果物を水代わりに食べる文化があります。果物の露店を見て感心したのは、どの店もバックヤードに巨大な冷蔵庫があり、閉店後は全部冷蔵庫にしまいます。南国なので、商品ロスにならないよう気をつけていました。

  • 梨の輸出試験の時、箱の中に温度センサーを入れました。東京を出て、船積み。海上輸送中はリーファーコンテナで温度は低く保たれていました。台北着でやや温度が上がったのは荷物検査でしょう。その後、果実商のところではずっと低温です。小売店に移動後の温度管理は少し高めでしたが、低温で管理していることがわかりました。熱帯なのでコールドチェーンがあたりまえかもしれません。

  • 日本では梨の扱いはよくありません。桃、スモモ、マンゴーなどはコールドチェーンが確立されているようですが、梨はまだ無理でしょう。市場の端に山積みされていることもあります。せめて日陰に、できれば共通予冷庫のようなところに保存してもらいたい、と思います。
◇梨はどうして熟すのか
  • 細胞中の「エチレン受容体」というたんぱく質は老化を防ぎ、エチレンがない時は、若いまま赤くならない、匂いを発しない、肉が硬い、という状態を維持しています。

  • 種が成熟し内生エチレンが発生すると、エチレン受容体にはまり、ブロックしていた老化反応が解除されて、色がついたり香りが出たりします。梨だけではなく、梅や桜、バラ科はみんな同様で、「クリマクテリック型成熟」といいます。エチレンとは無関係に成熟する果物は、みかんとぶどうが代表的です。

  • 1-MCPは、エチレンの作用を阻害する剤です。エチレンより早くエチレン受容体にはまって、老化作用をストップさせます。予冷と組み合わせて店もちを倍ぐらい伸ばし食品ロスを減らす、予冷温度を2℃から5℃に上げても同じ効果が出れば省エネになる、など各国で注目され、使われています。

  • 1-MCPは粉末で、水を与えてガスを発生させるので、密封空間が必要です。1-MCP処理の「幸水」は14日ぐらいもちます。ただ、日本梨の産地には密封空間がないので、普及していません。一般化できれば、日もち性の劣る「幸水」も長時間流通させることができ、輸出にも対応できるだろうと思います。ただ、密封して、炭酸ガス濃度が濃くなりすぎると蜜症が出ることがあります。

  • 台湾で、1-MCP処理した梨をバイヤーさんなどに食べてもらいました。収穫14日後の「豊水」でも、処理済みはふけていると判定されたものはほとんどなく、無処理のものの半分はややふけている、という状態でした。1-MCPは輸出用の処理として有効と考えられます。

  • リンゴはCA貯蔵庫で1-MCP処理ができます。岩手県の江刺農協がいち早く、「フレッシュロングリンゴ」を出しました。パリパリ感が最後まで残ると高評価を得て、高単価を維持しているそうです。

  • 日本梨の場合は、まず密封施設が必要で、そのコストをどこが負担するのか。産地か卸か、整理できていません。また、農薬なので、受け入れられるかという問題もありますが、江刺農協のリンゴの評価は上がっており、大きな問題にはならないのかもしれません。リンゴはコールドチェーンと組み合わせているはずで、梨についてもコールドチェーンの確立が必要になると思います。
◇梨の今後について
  • 栽培技術の向上だけでは、農業や地域は活性化できません。動機が1番大事で、目標を持ち続け、それを周囲と共有できるかどうか、です。

  • 作りたい梨とはどんなものなのか。中心階級、糖度、時期など。埼玉では直売が主なので、「幸水」は12玉中心。それでも2Lから6Lの5階級に分かれます。糖度は12度以上。さらに、お盆前の1番売れる時期に6割穫りたい。農家さんはよく、2Sも4Lも経費は同じだ、と言います。また、梨は嗜好品なので、消費者目線が必要です。

  • どこに、誰に売るのか。ご夫婦2人で、お子さんを大学に入れられるぐらいの収益を上げるために、逆算して、経営面積や栽培品種などを組み合わせていく必要があります。

  • 巨大消費地での直売は増加していきますが、市場が欲しがるサイズは別なので、直売用と市場向けを分ければ、共存は可能です。1キロ玉の「彩玉」は直売でも売りにくいのですが、買いたい人は必ずいるので、マッチングサポートの力をぜひ借りたいと思います。

  • 台湾は親日で生活水準も高く、いいものなら売れます。鳥取県の商圏である京阪では「二十世紀」の1番売れるサイズは16〜13。関東と違い、12は大きすぎて売れないそうです。華僑の社会では、中秋節の頃、黄色いお月様のような「二十世紀」は非常に喜ばれます。「二十世紀」は店もちもよく、鳥取と台湾のよい関係ができあがっています。買ってくれるところはどこなのか、海外でもいい。国内に限らず、そういうマッチングサポートも必要です。

  • 一次産物だけでは生き残っていけません。加工したりレストランと組むことも考える必要があります。たとえば、千葉で、梨カレーを作って成功している方がいます。私も真似て作ってみたところ、非常においしかった。地元で捨てられている梨の再利用としても使えると考えています。

  • 私は、おいしい梨をはずれなく作るために、栽培技術や選果技術を日々研究しています。また、後継者が稼げる品種を作って、農家さんのためにもいい仕事をしていきたいと思っています。
◇質疑応答より

    Q:埼玉県が梨の栽培に力を入れ始めた理由を教えてください。
    A:梨の産地は利根川の氾濫域、低地で水田もあります。戦後のカスリン台風と、その前、大正か明治に利根川が氾濫したことがあり、水田は水に浸かってしまいましたが、梨は上になるので収穫でき、梨を作っていた人は食いつなげました。梨を作る人は増えましたが、問題は、水田との複合経営で、梨は副業ということ。平均耕作面積が少なく、後継者が育ちません。対極にあるのが千葉県です。経営規模が大きく、子供が後継者として帰ってくる。今、圧倒的に千葉県が日本一で、元気な産地です。

    Q:梨の貯蔵適温を教えてください。
    A:長く持たせたければ貯蔵適温は2℃。「彩玉」も、2℃で11月ぐらいまでは大丈夫です。また、ポータブル型の脱臭装置があるといい。家庭用の脱臭装置の改良型で、細菌や花粉を分解できるものは、エチレンも分解できます。庫内に溜まったエチレンを分解すると、日もちが伸びますし、冷蔵庫臭も消してくれます。ストックヤードがある方は検討されるといいでしょう。

    Q:1-MCPによって梨のおいしさに影響はないのですか?
    A:江刺のリンゴに関して、貯蔵物は完熟時の匂いがやや足りない、という評価はあるそうです。ただ、それよりも、店もちせず、ぼけて商品ロスになるほうが問題ですし、パリパリ感を保つ点も評価されていると聞いています。梨についてですが、細胞は代謝しており、次の細胞に入れ替わった時にまた成熟が始まります。成熟を止めたままにするというよりは遅らせるイメージで、日もち性が2倍になる程度。リンゴはCA貯蔵と組み合わせるのでよく効くようですが、梨の場合は5日のものが10日に、10日のものが20日になるという感じです。

    Q:梨の食べごろはどのように判断するのですか?
    A:品種、どの色で収穫するか、どこに置いておくかにもよります。「幸水」は冷蔵性が低く、冷蔵庫に入れておいても2週間ぐらいで食べられなくなります。「彩玉」は乾燥しないようにキッチンペーパーでくるんで保存すれば11月ぐらいまで変わりません。今日の「秋麗」はまだ早い。「あきづき」は全然まだ。市場の人はしっかりと勉強していただきたいし、みなさんも、取引している選果場があれば、意見すべきだと思います。とにかく日もちするもの、1週間もつもの、という風潮があり、農家さんはそれに合わせています。消費者も生産者を鍛えていただきたいですね。

    Q:日本の果物は高級化して、家庭で気軽に食べられない価格になり、果物離れがすすむのでは?
    A:どこの誰に売るのかという話にもつながります。市場向けのサイズを市場に持っていけばいいと思います。

 

【八百屋塾2024 第5回】 挨拶講演「埼玉県における日本梨品種の変遷と流通における課題」勉強品目「夏野菜・梨」食べくらべ