■2024年5月19日 第2回 まめ類 〜 食べくらべ
◇現場の声
[米本氏より]
  • 給食の現場でのまめ類の使用は、いんげんに関しては料理のメイン食材として煮ものや炒めものにすることがあります。きぬさやはちらし寿司の飾りや、炊き合わせに色味で使うことが多い。その他のまめ類は、肉じゃがや筑前煮のような煮ものの彩りとして少量使用することが多いです。

  • 保育園や学校給食は産地の制限や指定も多く、生野菜を使用しますが、それ以外の給食業態では冷凍野菜を使用する割合が非常に高い。理由は2つあり、まず値段です。生野菜だと何倍も違います。もう1点は手間。生は筋取りとかさや外しが必要で、仕込みの人員も今大変厳しい状態なので、人手を取られるのが痛手になります。個人的には、生の方が圧倒的においしいと思います。でも、コスト面や作業面で冷凍を使わざるを得ない。若い栄養士さんの中には、まめ類を生で使用したことがない人もいると思います。ただ、私にはやはり、旬の食材を使用して喜んでもらいたいという気持ちがあるので、八百屋さんには生のまめ類を使うご提案をしていただけるとありがたいです。
米本氏
◇「まめ類」の食べくらべと試食について
[タナカトウコ氏より]
  • 今日の食べくらべはブラインドで行います。空欄の食べくらべリストがお手元に届いていると思います。まずは、シンプルに食べくらべをしていただき、最後に答えと詳細が載ったものを別途お配りします。

  • トレー上段、1番から4番がえんどうまめ。5番から7番がきぬさや。トレー下段、そらまめが1番と2番の2種類。3〜7番がさやいんげんです。それぞれさっと茹でてあります。

  • 千葉県野田市の枝豆は、塩でもんでから、熱湯で茹で、その後、塩をまぶしてあります。
タナカトウコ氏
まめ類の食べくらべ-1
まめ類の食べくらべ-2
◇食べくらべアンケートと回答発表
[タナカトウコ氏より]
  • 好きだと思ったものに挙手をお願いします。複数回答OK、自分の感覚で構いません。

  • えんどうまめの1番は緑色のシール、21。2番は黄色で11。3番は赤で11。4番は青で15。

  • きぬさやは5番22。6番12。7番4。

  • そらまめの1番は緑色のシール、20。2番は黄色で10。

  • さやいんげんの3番、赤いシールは17。4番の青は14。5番のオレンジ色は2。6番の黄緑色は10。7番目は2。

  • ありがとうございました。人気は、えんどうまめ1番、きぬさや5番、そらまめ1番、さやいんげん3番でした。

  • えんどうまめ、1番は生のグリーンピース、2番は生のうすいえんどうです。熱湯から茹でて、本来であればそのまま鍋の中で冷ましますが、今日はおかあげしたため、ちょっとシワシワだったと思います。塩も何もつけず熱湯で2分茹で、うすいえんどうは少しかたかったので2分30秒茹でています。
    3番は冷凍のグリーンピース。冷凍のものは軽く火が通っているはずなので解凍する程度、熱湯にさっと30秒ぐらいくぐらせました。

  • 4番は缶詰めのグリーンピース。そのまま、水けを切っただけでお配りしました。「塩味がする」というご意見もありましたね。缶詰のものは塩味がついていたりするので、そのせいだと思います。

  • 5番は生のきぬさや、6番川口えんどう。熱湯で1分茹でています。7番の冷凍きぬさやは解凍する程度、熱湯に30秒ぐらい入れました。

  • そらまめは、1番が生、2番が冷凍の輸入物。生の方は熱湯で2分半茹でておかあげしたもの。茹でる前にお歯黒の反対側に切り目を入れました。冷凍の方は解凍する程度、熱湯で30秒ぐらい。冷凍そらまめは個体差があったかもしれません。

  • いんげんは3〜6番が生、順番に、「ケンタッキー」、「サーベル」、「キセラ」、「モロッコ」。7番は冷凍の輸入物でした。生のいんげんはそれぞれ2分ずつ茹でています。キセラだけ2分ではかたかったのでプラス30秒。冷凍は解凍する程度、熱湯で30秒ぐらい。

  • 冷凍がおいしい、やわらかくていい、というご意見もありました。私は「生がおいしい」という固定観念があるのでびっくりしました。お年寄りにはやわらかい方がいいとか、そういう感覚で捉える人もいる、と認識を新たにしました。冷凍すると繊維が破壊されるので筋っぽさがなくなるのではないかと思います。それで、食べやすいという感覚が生まれるのかもしれないですね。
◇レシピの説明
[石井玲子氏より]
  • 今日のレシピは、調理班の黒津が考えたものです。

  • モロッコインゲンの当座煮。当座煮というのは、当分置いておける、保存食という意味があるそうです。フライパンにサラダ油を熱し、モロッコインゲンを、生の状態から5分ぐらい中火でしっかりと炒めます。調味料はめんつゆです。お配りした資料には、醤油、本みりん、砂糖などと書いてありますが、めんつゆがあれば簡単です。めんつゆで味が足りなければ醤油で補います。今日のポイントは七味唐辛子、粉山椒、かつお節。まず七味唐辛子、次に粉山椒、仕上げにかつお節。さっと炒めれば完成。盛り付けにさらにかつお節をかけました。家にある調味料で簡単に作れ、常備菜としてもおすすめです。

  • うすいえんどうのまめごはん。お米はコシヒカリです。研いでざるにあげ、炊飯器に豆、塩、昆布とともに入れてスイッチを押すだけ。今日のポイントは乾燥昆布です。お米2合に対して5センチ角1枚くらいで味が変わります。顆粒の昆布だしでもかまいませんが、乾燥昆布を買ってみてください。余ったらジッパー付きポリ袋に入れて冷凍できます。大根やお魚を煮るときに入れるとおいしいですし、使った昆布は刻んで甘辛く炒めると常備菜になります。グリーンピースなど生のまめでまめごはんを作る機会は減っていると思いますが、先ほどの食べくらべでも、生のえんどうまめが人気でしたし、季節を感じられるので、ぜひ1年に何度かはこうした伝統のレシピを作って食べていただきたいと思います。

  • グリーンピースのさつま揚げ風春巻き。ボウルにはんぺんを入れ、手でこねます。はんぺんが崩れたらグリーンピースを入れます。今日は多めですが、お好みで調整してください。そこに、ぶつ切りのエビ、水で戻してせん切りにしたキクラゲを入れます。食感のアクセントになります。和風の顆粒だし、つなぎとして片栗粉少々を加え、合わせます。このまま揚げればさつま揚げ風になりますが、今日は春巻きにします。春巻きの皮は1/4の大きさにカットします。この大きさはお弁当にぴったりで、一口サイズのおつまみとしてもいけます。春巻きの皮で具を包み、端を水で溶いた小麦粉でとめて、160度ぐらい、低めの温度の油でじっくりと揚げます。余った小麦粉のりを油に落としてみて沈んだままぐらい、あるいはさい箸を入れてちょっと泡が出たら、入れてもOKです。

  • グリーンピースのかき揚げは、市販の天ぷら粉で揚げるだけ。とても簡単なので、お試しください。
石井玲子氏

モロッコインゲンの当座煮

まめごはん

春巻き風とグリンピースのかきあげ

◇感想など
  • 家ではあまりまめ類を使った料理が出ないので、今日のレシピを伝えて作ってもらいたいと思いました。

  • 冷凍のまめ類が結構食べやすいと感じました。最後はおいしいまめ料理の試食ができてよかったです。

  • 今日はとても楽しく受講できました。食べくらべはなかなかむずかしくて、やわらかいとか甘いとか、自分は結局それで判断しました。

  • グリーンピースは子供が苦手な食材なので避けがちでしたが、今日、本当のまめのおいしさがわかった気がしたので子供たちにも伝えていきたいと思いました。

  • そらまめ、自分は中国産の冷凍のほうがおいしいと感じました。香りがあって、「そらまめ食べてるぞ!」という感じがして、正直、まさかそれが冷凍だとは思いませんでした。

  • ブラインドでの食べくらべが面白かったです。えんどうまめ、私は元からしっかりとしたまめが好きではないので、缶詰が1番おいしかった。いんげんも好んでは食べませんが、今日、モロッコインゲンの当座煮を教えてもらって、こういう食べ方はいいと思いました。春巻きがピカイチでおいしかったです。

  • 冷凍のグリーンピースは食べた瞬間に「ミックスベジタブルだ!」と思いました。輸入品もそれぐらい日常生活に溶け込んでいる、ということですよね。今日の食べくらべで、先入観なく食べてみることが大事なんだ、と思いました。

  • 先入観なしで食べると、冷凍品もおいしいというのを再認識しました。「これがキセラのはず」と思ったら大外れだったので、出直してきます(笑)。

◇終わりに
  • 来月、横浜でも4年ぶりに八百屋塾を開催します。2月にこちらの八百屋塾で講演してくれた(株)サカタのタネの春日大樹さんに、ブロッコリー、カリフラワーなどについてお話しいただきます。横浜なりにアレンジしての八百屋塾なので、お時間がある方はぜひいらしてください。横浜の東口から歩いて約20分ぐらいかかりますが、車でも大丈夫です。会費は一般が2000円の予定です。(藤岡さん)

  • 本日もありがとうございました。お土産がありますので、みなさまには持ち帰ったものを、今日食べたレシピの中で「これだ!」と思った料理にしていただきたいと思います。そして、ぜひ、お客さまにもすすめてみてください。私自身も、これまでの八百屋塾で食べたバナナの唐揚、カリフラワーの白和えなどを家で試しに作ってみて、家族から好評でした。今日は、お客さまにおすすめしやすそうな春巻きにしたいと思っています。食べくらべの結果も大変興味深いものでした。冷凍、缶詰がおいしいと思っても、それは決して間違いではない。味覚は人それぞれ違うので、あえて何が正解なのかというならば、違いをしっかりと説明できることではないでしょうか。来月は6月16日、テーマはまだ未定ですが、次回もよろしくお願いします。(実行委員長 柴田)