■2024年10月20日 第7回 じゃがいも 〜 勉強品目「じゃがいも」 東京青果(株) 菅野氏
◇「じゃがいも」について
[東京青果(株)  菅野氏より]
  • 京浜地区の販売は「男爵」が中心です。さまざまな調理に適し、デンプン質が高いのが特徴です。ほくほくした食感とさまざまな料理に活用できる、オールラウンダーな品種として位置づけられています。

  • 「メークイン」は、学校給食や、一部、煮崩れを好まない消費者の方、滑らかな食感をお求めのお客さまにおすすめです。

  • 「とうや」は「男爵」より芽が浅く、ころっとした形で、皮がむきやすい、調理しやすい品種として位置づけられています。大玉になりにくいため、学校給食や加工業務に使われることが多い。量販店では、品種名が表に出ず、「北海道じゃがいも」などとして販売されていることがあります。

  • 「キタアカリ」は今の時期、主に北海道が中心ですが、年間通しては産地リレーがむずかしい品種になっています。見た目は「男爵」に近く芽がゴツゴツした形。「男爵」と「とうや」の中間ぐらいの舌触りで、ほくほくもしますが、煮崩れしにくい。黄色系なので、コロッケやポテトサラダに適しています。

  • 「スノーマーチ」は、一部、北見地区で栽培されている抵抗性品種です。大きくなりやすく収量が取れる、芽が浅くて少し楕円形ということで、「とうや」、「キタアカリ」に近い用途で、おさめや学校給食に使われることが多い品種です。

  • 「インカのめざめ」は、中が黄色く、非常に糖度の高い品種です。生産が難しく、収量も取れないため、高単価の取引となり、ニーズも縮小傾向です。発芽率や正品率の低下で、生産者もかなり減っています。ただ、一部、非常に好まれるお客さまもいますので、連日出荷ではありませんが、北海道では10月から年いっぱいというような、短期間の販売となっています。

  • 「ノーザンルビー」と「シャドークイーン」は、かなりレアな品種で、私もあまり販売したことがありません。5〜10ケースのオーダーで承ることはできると思いますが、今、輸送の問題もあり、なかなか京浜までは持ってこられないのが現状です。「ノーザンルビー」が赤、「シャドークイーン」が紫。一部、こだわりのポテトサラダですとか、外食系には納品されていると思います。

  • 今の時期は「男爵」を中心とした取引になっており、「男爵」がほぼ7割、「メークイン」1割。それから、「とうや」、「スノーマーチ」など、「その他馬鈴薯」といわれる品種が残りの2割という形です。

  • 数年前から北海道などで、シストセンチュウの影響をもろに受けているのが、「男爵」、「メークイン」、「キタアカリ」です。抵抗性を持っていない品種は、ものすごく収量にかかわってきます。北海道では、シストセンチュウが出た圃場は、蔓延しないように抵抗性の品種を作り始めています。「とうや」や「スノーマーチ」で、5〜6年ぐらい前から試験栽培を開始、今、販売も始まっています。

  • 地球温暖化で、北海道も暑い期間が平年以上に長くなっています。特に「男爵」は、発芽の懸念が昨年度からもろに出始めています。各農協さんもさまざまな取り組みをしていますが、抵抗性の品種は「男爵」に比べるとリスクが少ないので、品種の転換は、来年以降どんどん続いていくと思います。

  • 高齢化、人手不足も大きな問題になっています。2028年に「男爵」は今の半分以下になると見立てる農協さんもあり、「北海道イコール男爵」という意識を変えなければいけないかもしれまません。

  • 国産の馬鈴薯の生産量維持のため、八百屋のみなさまのご協力もぜひお願いいたします。

  • 北海道については、生食の馬鈴薯の生産量は減少傾向ですが、一部加工品種、特にポテトチップの原料は非常に増えています。

  • 府県産も基本的には北海道の種を供給してもらっているので、北海道が崩れると全国的に生食の馬鈴薯も厳しいと思っています。

  • 在来のじゃがいもについては、檜原村の「おいねのつるいも」、山梨県の「せいだいも」、同じく山梨県の「富士種」、静岡県の「井川のおらんど」が来ています。

  • 大玉トマトは、本日、栃木県産と熊本県産です。
◇「じゃがいも」「トマト」の写真
今金男爵
(北海道)
メークイン
(北海道)
とうや
(北海道)
キタアカリ
(北海道)
きたかむい
(北海道)
スノーマーチ
(北海道)
ノーザンルビー
(北海道)
シャドークイーン
(北海道)
おいねのつるいも
(東京)
おらんど赤
(静岡)
せいだいも
(山梨)
富士種
(山梨)
かれん
(栃木)
かれん
(熊本)
   
 

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