Q:カラフルポテトの色が濃くなっているというお話がありましたが、特別な栽培方法なのですか?
A:品種改良の結果であって、栽培方法が変わったわけではありません。ただ、色素を含む品種は寒冷地で育てると色が濃くなるので、北海道は適地です。
Q:赤はさつまいもの紅いもと同じ色素ですか?
A:アントシアン色素ですが、紅いもとは多分違うタイプだと思います。
Q:海外で収量がものすごく多いのは、スプリンクラーとかそういう施設によるのでしょうか?
A:いわゆるアイダホポテトの品種は「ラセットバーバンク」です。砂漠ような土地の広大な畑で水をやりながら作っているそうです。不思議なことに、その品種を日本で作っても、現地ほど大きくなりません。品種ごとに地域適応性があり、特性を発揮できないのではないでしょうか。「ラセットバーバンク」は大きすぎて、最初はアメリカでも持て余していたようですが、ベイクトポテトにしたらとてもおいしかったので急に人気が出て、今はメジャーな品種になっています。
Q:今後、「男爵薯」はなくなってしまうのですか?
A:理想的には、「男爵薯」と全く同じで、シスト抵抗性のある品種ができればいいのですが、4倍体のじゃがいもは育種が難しいのです。ニーズがある限り、「男爵薯」の原原種も提供しますから、すぐになくなることはありません。ただ、抵抗性のない品種を作り続けるのは難しいことをご理解いただきたいと思います。種苗管理センターも、抵抗性のない品種の生産、配布は前年を上回らない、という方針です。種いもを作る方が減っているという現状を考えると、「男爵薯」を作るのは厳しくなる可能性が高いと思います。
Q:八百屋は店頭に野菜を並べるので、どうしても光に当たってしまうのですが…。
A:真っ暗な状態で管理するのが無理なことはわかります。「目のところは除いて使ってください」と伝えるのが無難だと思います。ゲノム編集で毒ができにくい品種の研究もされています。品種による違いも大きく、例えば、「さやか」はグリコアルカロイドができにくい品種です。なお、「メークイン」はとてもグリコアルカロイドができやすい品種なので、ご注意ください。
Q:皮の近くに栄養があるということは、中心に行くに従って栄養価が少しずつ減るということでしょうか?
A:中に栄養がないわけではありませんが、ビタミンやミネラルは間違いなく外側に多いです。包丁で皮を厚く剥くと、1番栄養分があっておいしいところを取ってしまっているということになります。
Q:皮の色が変わりやすい「男爵薯」と、そうでないものの違いは?
A:推測ですが、もともとの土の色が明るく、あまり土の粒子がついていないとすると、光に反応しやすい。逆に、たとえば、北海道のじゃがいもは、黒土で泥を塗ったような状態です。結果として、光を吸収しにくい状態になっているのではないかと思います。
Q:シストセンチュウ抵抗性品種は粘質のものが多い印象を受けました。粉っぽい品種はありますか?
A:「男爵薯」に似ているのは、「ゆめいころ」と「きたかむい」です。最も期待されるのは「ゆめいころ」で、「男爵薯」に近い感じがします。ただ、「男爵薯」のようないもくささはありません。「きたかむい」は、味はおとなしいかもしれませんが、熟成させるとおいしくなります。
Q:2年前の八百屋塾でも「ピルカ」をご紹介いただいて、個人的には味も悪くないと思ったのですが、生産は増えていないようですよね?
A:その通りです。私も、農水省で担当した際に3年半、抵抗性品種への切り替えを懸命に推奨しましたが、あまり成果が出ませんでした。ただ、その後、抵抗性品種が着実に伸びているのは確かです。デンプン原料用は切り替わりました。ポテトチップス用も市場シェア9割を占める大手メーカーの社長さんが音頭を取って、抵抗性がない「トヨシロ」からの切り替えに取り組んでいます。なかなか変わらないのが青果用です。「ゆめいころ」、「きたかむい」にがんばってほしいと思っています。
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