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■2024年10月20日 第7回 じゃがいも 〜 「伝統野菜のじゃがいも」について 伝統野菜プロジェクト 領家彰子
◇「伝統野菜のじゃがいも」について
[伝統野菜プロジェクト 領家彰子氏より]
在来のじゃがいもについてお話しします。
じゃがいもは、アンデスの3000〜4000メートルの高地が原産地です。日本が鎖国の時代にオランダを通じて入ってきました。インドネシアのほうから入ってきたようだ、ということで、「じゃがたらいも」が「じゃがいも」になったといわれています。
在来じゃがいもが残っているのはどういうところか。野菜は出身地の性質を残すので、山間地、大きな川の河岸段丘、急傾斜地といったところで作られ続けてきました。おいしいから、という理由が大きく、郷土のいろいろなお料理と結びついて残ってきたのではないか、と考えられます。
伝統野菜プロジェクト 領家彰子氏
先ほどお話のあった「せいだのたまじ」は、山梨県上野原に伝わるじゃがいも料理です。新宿から中央線で相模湖の少し先。相模湖あたりから山間部に入り、上野原は平地ではなく、すごい山でもないいわゆる山間地、そういうところに残っています。
今日は檜原村の「おいねのつるいも」も出ています。おいねさんという人が山梨からお嫁に来るときに持ってきて、今に伝わった。在来野菜は、長野のじゃがいもが山梨に行ったとか、愛知、滋賀なども、そういう形で伝わっていったと思われます。
じゃがいもの食べ方についてお話しますと、昔は、囲炉裏があったので長時間煮ることができた。ヨーロッパのお料理にも暖炉で長いことグツグツ煮るスープがあります。今、私たちはガス、電気などで料理しますが、囲炉裏や暖炉があると一晩中かけておいたりもできる。だから、じゃがいもを丸ごと使う料理があったりするわけです。
「せいだのたまじ」も丸ごと使う料理です。山間地ですから、じゃがいもが大きくなりません。小さいじゃがいもの皮を剥くのは面倒ですね。だからしっかり洗って、油で炒め、お水などを入れてグツグツ煮込み、味噌や醤油で味つけした。それが「せいだのたまじ」として、今も食べられています。
農林水産省が、「うちの郷土料理」というシリーズをネットで紹介しています。山梨県を探すと、「せいだのたまじ」が出てきます。農文教が出している本も持ってきました。ほとんど同じレシピが載っていますが、多分、現代にマッチするように、水ではなく出汁を使っています。私は、昔は油で炒めた後に水を入れて煮ていたのではないか、と思います。水でも十分おいしくできます。今日は簡単なレシピを作ってきましたので、ご興味のある方は持ち帰って作ってみてください。
「ごうしゅいも」は徳島県の祖谷渓の奥、山の中の畑で1人の方が作っていらしたのですが、今は住む方もいないようです。でも、今のところ、「ごうしゅいも」といういもが出ているので、まだ続いているようです。もう1回調べ直してみます。
「せいだのたまじ」の「せいだいも」は、若い人が入ってきて、続けていきたいとか、村おこしとしてやっていきたい、と言っているようなので、続いていきそうです。
長野県は在来じゃがいもだけではなく、かぶやだいこんなど、在来のものがたくさん残っていて、本当に山深いところで今も栽培が続けられています。
【八百屋塾2024 第7回】
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