■2024年12月15日 第9回 ねぎ 〜 勉強品目「ねぎ」 東京青果(株) 渥美氏
◇「ねぎ」について
[東京青果(株) 渥美氏より]
  • 「根深ねぎ」は、「白ねぎ」、「長ねぎ」のことです。現在、東北は減少傾向、関東が増えてきています。今年は、関東が夏の暑さの影響を受けています。通常、千葉県産などは10月から出るところがあり、11月には、九州から北海道まで全国の産地で採れるのですが、猛暑で九州、鳥取、関東などが遅れ、10〜11月に採るねぎが畑から消え失せている状況も見られました。ただ、減っていくスピードに対して、増えているものも多く、極端な高値は避けられていると思います。

  • 出荷は、埼玉は深谷。茨城は岩井、北つくば、結城など。千葉は、山武郡、千葉みどりそうさ、長生農協。栃木はなすの農協がメインです。

  • 主に、東日本で栽培され、食べられている根深ねぎですが、今、西日本のほうでも非常に引き合いが強いです。太くて白い部分が多いのが特徴で、基本的に白い部分を食べます。加熱するとやわらかくなり、甘みが出ます。もちろん生食、薬味としても食べられます。緑色の葉っぱもやわらかい部分は食べられますし、かたい部分は臭み消しなどに使われます。

  • 「軟白ねぎ」は、栃木、JAなすの。白ねぎは土寄せをしますが、軟白ねぎは遮光フィルムなどの資材で挟んで、白い部分を作るねぎです。辛みが少なくて甘く、やわらかいのが特徴で、薬味に使われることが多いです。ただ、資材が非常に高く、軟白ねぎの生産者は減っており、JAなすのも減っています。これからは、「山形雪中軟白」が主流で、こちらもおいしい軟白ねぎなので、ぜひご利用ください。

  • 「下仁田ねぎ」は、下仁田町特産の太くて短いねぎで、白い部分だけを使う、鍋ねぎの代表格です。群馬県の下仁田地区は、標高1000メートル前後の高い地域で、乾燥と寒さにあたっておいしくなります。年内は葉がありますが、年が明けるとほとんど残っていません。ねぎの青い葉は寒さにあたると茶色く変色します。土から出ている葉が縮れて枯れるのは、凍らないように自分の体の中に糖を蓄えているからで、寒さによくあたり、おいしいねぎと評価されています。辛味が強く、加熱すると非常に甘く、トロトロにやわらかくなる特長があります。

  • 「上州ねぎ」、「鍋ねぎ」は、下仁田ねぎと根深ねぎの掛け合わせで、生で食べると非常に辛いのですが、加熱すると辛みが甘みへ変化して、非常においしい。

  • 下仁田ねぎは、八百屋さんでなければ売れません。葉が縮れるので、量販店で取り扱うのは難しく、生産量は落ちています。下仁田から上州ねぎ、鍋ねぎに切り替える人が増えているのですが、おいしいねぎにこだわって下仁田を作り続けている生産者さんもいます。ぜひ、八百屋さんに、対面での販売で、下仁田ねぎのおいしさを若い人たちにも伝えていただきたいと思います。

  • 宮城の「曲がりねぎ」は、地下水位が高いために考え出された栽培方法で、途中でねぎを抜いて斜めに植え、土をかぶせます。曲がるストレスでねぎがおいしくなるそうです。大量生産は不可能で、生産量が非常に減少しています。年内いっぱい提供したいのですが、今年は厳しい、と仙台から言われています。栃木県産などもありますので、そちらもご利用ください。

  • 「赤ねぎ」は山形JA鶴岡。山形県産はほぼ終了で、後は茨城県産になります。白身の表面部分が赤くなっており、切ると中は白い。皮を剥きすぎると赤い部分はなくなってしまいます。加熱するととろりとした食感で、甘くなります。山形県は「平田赤ねぎ」、茨城県は「ひたち紅っこ」など。

  • 「リーキ」は長野県産。年内のみで、厳寒期にはなくなります。国産リーキの生産者は1〜2人で、非常に希少です。白身の部分を煮込みやサラダに、緑の部分はニラのように使えるということです。

  • 「九条ねぎ」は、全農京都。京都府特産の青ねぎで、奈良時代から市内で栽培されていたといいます。葉ねぎを代表する品種で、葉が長くやわらかいのが特徴です。全農京都の九条ねぎの品種は門外不出とされています。小ねぎ、わけねぎ、葉ねぎ系も高温による被害を受け、単価が高くなっていますが、九条ねぎは、12月に入り数量が回復していますので、ぜひ、お客さまにおすすめください。

  • 福岡、「博多万能ねぎ」は、山口県下関の特産「安岡ねぎ」をもとに福岡県JA筑前あさくらでブランド化され、登録商標されています。細くて緑の部分が多く、1本から数本に枝分かれします。こちらも夏の暑さの影響で、2月の中下旬ぐらいまで高値が続くのではないかと思われます。

  • 「芽ねぎ」は、長さが6〜10センチほどの小さくて細いねぎで、種を密生させて栽培し、若い葉を収穫します。黄緑色でやわらかく、寿司ネタとして使うことが多い。芸術品のようなねぎです。

  • 11月は多くの野菜が高く、東京青果でも過去最高かと思います。12月も高いままですが、ねぎは去年より安く、関東は12月10日以降どんどん増えていきますので、しっかりとみなさまのご要望にお応えする量が確保できると考えています。

  • 輸送問題は、ものすごく深刻です。東北、北海道からの入荷は、かつては毎日でしたが、今は2日に1回、週に3回というJAが多くなっています。

  • 生産者数も減っていますが、ねぎに関しては、機械化が進み、若い生産者の方がいます。

  • 中国のねぎも、入りにくくなっています。円安や、現地の台風や雨の影響があり、日本は買い負けている状況です。そうなると、業務需要が国産に向いてきます。国産ねぎが売れるチャンスですから、国内のねぎを広げるために今後も活動していきます。
◇「ねぎ」「トマト」の写真
根深ねぎ
(埼玉)
根深ねぎ
(千葉)
千住ねぎ-1
(東京)
千住ねぎ-2
(東京)
寅ちゃんねぎ
(ネギびとカンパニー)
軟白ねぎ
(栃木)
下仁田ねぎ
(群馬)
リーキ
(長野)
九条ねぎ
(京都)
あじさいねぎ
(千葉)
万能ねぎ
(福岡)
あさつき
(埼玉)
京丸姫ねぎ
(静岡)
チャイブ
(千葉)
マイクロチャイブ
(村上農園)
トマト
(静岡)
トマト
(熊本)
トマト
(愛知JAみなみ)
トマト
(栃木)
トマト
(愛知JAひまわり)