■2011年2月20日 第11回 〜 勉強品目「カブ、葉物」 東京青果(株) 個性園芸事業部 審議役 澤田勇治氏
◇勉強品目「カブ」
  • カブと大根は、葉っぱの形で見極めることができます。カブは非常に葉っぱが弱いので、時期によっては、店頭に葉っぱがついたままおいてあれば大根、落としてあればカブ、という見分け方もできます。また、割ってみたときに、皮が薄いか厚いかも、ひとつの見分ける手段になります。

  • 紅白のツートーンカラーのカブ、「あやめ雪」は、今年は時期的にちょっと難しいということで、実物はありません。

  • 黄カブは、ヨーロッパ系の品種です。彩りを楽しむことができ、スープに入れるなど、煮て食べていただくものです。

東京青果(株) 個性園芸事業部 審議役
澤田勇治氏
  • 日野菜カブのように、非常に長いものもあります。山形には、在来の辛みの強い青首大根の小型形に似たカブもあります。地域によっては、丸くないカブもある、ということです。

  • 赤カブというと、山形県の温海カブが有名ですが、今日は滋賀県の赤カブを持ってきました。赤カブ系は西洋種、白いカブは東洋種です。

  • 聖護院を含め、アジア系のカブには、非常に大きくなる品種があります。
小カブ
聖護院カブ
黄カブ
赤カブ
日野菜カブ
芽カブ
 
◇勉強品目「葉物(ツケナ類、ほうれん草)」
  • ツケナとは、アブラナ科アブラナ属で、漬物、お浸し、煮物に使用される、不結球性葉物類の総称です。ハタケナ類、コマツナ類、ミズナ類、タイサイ類、不結球白菜類の5つに大きく分けられ、ほかに洋種のナタネ類もあります。

  • 近年、ツケナ類が、市場の中でも、見あたらなくなってきました。生産者が一生懸命作っても、市場で評価されないので、地元の消費にかわったり、直接消費者のほうへ流してしまう、というのが大きな要因ではないかと思います。

  • 日本全国には100種類ぐらいのツケナ類があるといわれています。ただ、同じもので、地域によって名前が違うというものもあります。今日は、大田市場に出回っているツケナ類を一部お持ちしました。

  • ツケナ類の中で、みなさんがよく知っているのは、菜花、小松菜、水菜など…。水菜は、今日は、「京菜」という大株仕立てのスタイルのものをお持ちしました。関東周辺でよくある水菜は小株仕立て。また、葉っぱに切れ込みがない壬生菜というものもあります。

  • タイサイ類のツケナの代表的なものは、チンゲンサイやパクチョイなど。

  • 「ちぢみ雪菜」、「もみ菜」、「大阪しろ菜」といったツケナも今日は持ってきています。「大阪しろ菜」は、大阪地域の地場野菜として、非常に名前が売れているものです。

  • 菜花には、灯りをとるナタネ油を収穫するための東洋系の品種と、一般的に食べている西洋系の品種があります。これもツケナ類に含まれます。今日お持ちしたのは、千葉産と京都産の菜花で、荷姿が違います。

  • アブラナ科の中でも、「かき菜」として、花芽ではなくわき芽を食べるものがあり、福岡では「おいしい菜」という商品名で出ています。

  • ツケナ類は、風邪予防にいいビタミンAが非常に多く含まれており、ビタミンCも多い。冬場から春先にかけての食材としては、非常に有効な野菜ですので、大いに召し上がってください。
雪菜


からし菜


つまみな
京菜
おいしい菜
山東菜
もみ菜
  • ほうれん草は、露地物、ハウス物、今はやりのちぢみほうれん草、軸が赤い赤軸れん草(東洋系の品種)、サラダで使われるサラダれん草をお持ちしました。山形の赤根れん草もみなさんに見てほしかったのですが、1月いっぱいで終わってしまったそうです。根っこが太くて長く、赤いのが特徴で、この根っこがおいしく食べられるほうれん草です。
花菜(京都)
菜の花(千葉)
ハウスほうれん草
ちぢみほうれん草
赤軸ほうれん草
サラダほうれん草
 
■2011年2月20日 第11回 〜 勉強品目「中晩柑」について 橋本幾男氏
◇勉強品目「中晩柑」
  • 中晩柑にもいろいろなものがありますが、今、うちの店で一番売れているのは、愛媛中央の「せとか」です。1個500円とか、もっと高い値段がつくこともある高級品です。

  • 「たんかん」は、広東省あたりで、ポンカンとスイートオレンジの自然交配でできたもの。それが、1929年ごろに鹿児島へ入ってきた。奄美大島の「たんかん」が美味。2Lだと1個食べきれない場合もあるので、L中心で売ったほうがいいと思います。

  • 珍しいところでは、長崎の大西海から出ている「津之輝(つのかがやき)」。(清見×みかん)×アンコールで、味はやや薄めですが、香りはいい。来年あたりから、増えるようです。

橋本幾男氏
  • 「土佐ブンタン」、「パール柑」なども面白いと思います。ブンタンは愛知県でハウスで作っている「水晶ブンタン」がいいが、7000〜8000円と高い。「土佐ブンタン」は4000円くらいで買えます。「パール柑」は、1週間くらいおいたもののほうがおいしい。

  • 今年はハウスの「デコポン」のできがよかった。これから、露地になり、貯蔵して、しっとり感があるものはいいけれど、酸が強く残るものもあるかもしれません。「はるみ」もポンカン×清見なので、デコポンと同じような柑橘です。

  • 「晩白柚(ばんぺいゆ)」は、ベトナムのサイゴンあたりにあった植物園から台湾に行って、台湾から日本(熊本の八代あたり)に入ってきたといわれています。ザボンと似ていますが、中が白くて、遅くなって出てくるので、「晩白柚」という名前がつけられました。

  • 今年は「伊予柑」がすごくおいしい。3月になると、「宮内」のほか、「やよい」という品種が出てきます。「やよい」はおいしい品種です。手が汚れるから嫌がられる、というのが残念です。

  • 「日向夏」は最近食べる人が減ってきてしまった。あとは、愛媛の「まりひめ」、「はっさく」などを今回は持ってきました。

  • 「ネーブル」は、昔と違って、今は品種が「ワシントン」ではなく「白柳」などに変わり、果汁が少なくて、ちょっと物足りなくなった。今後、愛媛県の中島から出てくる、「レリッシュネーブル」はおいしい。

  • うちの店では、「せとか」や「デコポン」にやや小さめの白いキャップをかぶせて、化粧箱に入れてギフトにしています。ただパックに入れて並べておくより、ちょっと工夫して、見栄えをよくするといいでしょう。3月は、卒業、入学などのイベントがあるので、こういうギフトがあると面白いと思います。
たんかん(屋久島)
はっさく(広島)
晩白柚(熊本)
土佐ブンタン(高知)
はるみ(愛媛)
デコポン(愛媛)
せとか(愛媛)
甘夏(熊本)
日向夏(宮崎)
津之輝(長崎)
まりひめ(愛媛)
 

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