■2010年12月19日 第9回 〜 講演「レンコン」について 茨城県農業総合センター 専門技術指導員室 石井亮二氏
◇レンコンの特徴・来歴など
  • レンコンは漢字で「蓮根」、はすの根っこと書きます。しかし、植物的には、根っこではなく地下茎です。それを「レンコン」と呼んでいます。

  • 「はす」という呼び名は、花托(かたく)が蜂の巣のような形をしているため、「はちのす→はちす→はす」と詰まったのが語源だといわれています。

  • 原産地は中国、インド、エジプトなど、いろいろな説があります。いずれにしても、暖かい地域が原産地です。
茨城県農業総合センター 専門技術指導員室
石井亮二氏
  • 中国では、大昔から、はすが滋養強壮の薬として珍重されてきました。インドでは、お釈迦様が生まれて初めて歩いたところについた足跡に咲いた花がはすの花だとされ、神聖な花だといわれています。エジプトでは、かの有名なツタンカーメンのお墓の出土品の中に、はすの花のモチーフがあったそうです。どこが本当の原産地なのかは分かりませんが、それぞれの国で、昔から非常に尊ばれてきた神聖な植物だといえます。

  • はすという植物の生育適温は、25〜30℃くらい。暖かいところでよく育つ植物です。

  • レンコンの特徴である穴は、空気の通り道です。葉っぱから吸われた酸素などが、この穴を通って、レンコンのほうまで送られます。品種によって若干違いますが、通常、真ん中に1個穴があり、回りに9〜10個の穴が空いています。

  • 日本では、2000年前のはすの種が千葉県で見つかっており、今、あちこちでその子どもが育っています。大賀(おおが)のはすといって、みなさんも聞いたことがあるかもしれません。7000万年前の化石も日本国内で見つかっており、大昔から栽培されていた野菜だということが分かります。どういうルートかは分かりませんが、日本には、最終的に中国から伝わってきたようです。

  • はすと睡蓮の違いは、葉っぱが水面から上のほうに伸びていて、ツヤがなく、丸くて切れ目がないのがはす。睡蓮の葉っぱは、上には伸びず水に浮いているような感じで、ツヤツヤしており、切れ目があります。はすの花は、葉っぱと同じように上に伸びて咲きますが、睡蓮の花は、水面近くで咲いて、しかも、咲き終わったら、そのまま散らずに水中に沈んでなくなってしまいます。はすの花はそのまま散って、花托が残ります。また、はすの地下茎はレンコンですから、膨らんで中に穴がありますが、睡蓮は地下茎を作りません。熱帯性の睡蓮の地下茎は、球根のような丸っこい形です。寒いところでも育つ耐寒性のある睡蓮の地下茎は、ワサビのような形の棒状の地下茎を作ります。

◇レンコンの生育について
  • レンコンは最初、タネではなく、「タネばす」と呼ばれるものを植えつけます。植えつけるときは、芽が伸びやすいよう、地面の下のほうに向けます。それが最初ちょっと下に向いて伸びて、あとは少し上に上がってから平らに伸びてきて、また茎の先のほうは下にむかって伸びる、というような育ち方をします。それぞれ、伸びた先のほうが膨らんでレンコンになるわけです。

  • 地上部には、最初、水面に浮かぶような葉っぱが2〜3枚出てきます。浮いている葉っぱなので、私たちは「浮き葉」と呼んでいます。そのあと、本来の姿のように、水面から上に葉っぱが伸び上がっていくわけですが、これがだいたい10枚くらい出ます。上に立っているので、これを「立ち葉」と呼んでいます。最後に、「とめ葉」といって、ちょっと小さめの立ち葉が出てきて、その年の地上部の生育が終わる、という形になります。

  • 立ち葉のもとには、それぞれ花ができ、伸び上がって花が咲く、ということになります。この花の数は、気象条件・栄養条件などにより、若干変わってきます。

  • とめ葉が出てくるころに、レンコンが膨らんできます。

  • 地下茎の伸びている様子を上から見ると、真ん中に「主茎(しゅけい)」と呼ばれる茎があって、それぞれ枝分かれしているような形になっています。真ん中のレンコンを「親レンコン」、枝の先のほうのレンコンを「子ばす」、またそこから分かれている小さいレンコンを「孫ばす」と呼んでいます。
◇国内でのレンコンの生産状況など
  • 平成19年の段階で、全国で約4060ヘクタールほどのレンコンの作付があります。そのうち茨城県は約1600ヘクタールで、作付面積全国1位です。次いで徳島県、愛知県、佐賀県。石川県の加賀レンコンはブランド力があり有名ですが、栽培面積は多くありません。

  • 基本的には暖かいところの作物ですが、日本では、北海道以外だったらどこでも作れます。ただ、農家の人たちが経済生産するためには、暖かいほうが有利なので、茨城よりも南や西のほうで多く作られています。

  • 茨城県の南部に、霞ヶ浦という全国第2位の湖があります。レンコンは水生植物なので、水が豊富にある霞ヶ浦周辺の地域で作られています。一番多く作っているのが土浦市、2番目が霞ヶ浦、3番目が行方(なめがた)。その他、小美玉(おみたま)市、稲敷市など。また、霞ヶ浦からやや離れた河内町には利根川が流れており、その水を利用して作っている地域もあります。

  • 東京中央卸売市場における茨城県のレンコンの取り扱いをみると、一年間、ほぼ毎月出荷しています。その中でも、お正月向けの12月は一番多く、栽培上の理由で、6〜8月はやや出荷量が少なくなっています。東京中央卸売市場では、金額、数量とも、95%以上が茨城県産。ということは、東京で出回っているのは、ほぼ茨城県のレンコンだと思っていただいていいと思います。

  • 近年、他の野菜と同じように、レンコンも消費量が少し下がっていたのですが、現在は少し上向き傾向です。なぜ消費が増えてきたのか明確な理由は分かりませんが、レンコンのきんぴらという食べ方が浸透してきたことや、レンコンが体にいい野菜であるということ、つまり、機能性が注目されてきたためではないか、と考えられます。

◇茨城でのレンコンの栽培方法について
  • レンコンは水の中で育ちます。茨城でも、大きな田んぼのようなところでレンコンを作っています。水の深さは、だいたい5センチ〜10センチで、お米を作る田んぼと同じぐらいです。ただ、お米と違うのは、土の層が柔らかく非常に深い。ドロドロしていて、入ると腰ぐらいまで埋まってしまうような、非常に柔らかい土でレンコンを作っています。

  • 茨城のレンコン畑には、基本的に、一年中水があります。私たちは「湿田」と呼んでいますが、文字通り、いつも湿っている田んぼで作っているのが、茨城の特徴です。それに対して、作付面積第2位の徳島県は、レンコンを栽培していないときは乾いているような、いわゆる乾田で作っています。茨城と徳島では、畑の条件が若干違うので、栽培方法も多少変わってきます。

  • 茨城でのレンコンの作型、つまり、いつ植えつけていつ収穫しているかについてですが、茨城県では、大きく分けて3つの作り方をしています。まずひとつは、ハウス栽培。田んぼの中に鉄骨のハウスを建てて、その中で栽培します。まだ寒い2〜3月頃に植えつけをして、最も早く、6月頃から収穫する、という栽培方法です。ハウス栽培は、後半になるに従って温度が上がりやすいので、非常に温度管理などが難しい。また、ハウスを建てるのにお金もかかるので、面積的にはあまり多くありません。次に、トンネル栽培。露地の畑に支柱を挿し、ビニールを張って、その中でレンコンを作るという方法です。ハウスほど早くは収穫できませんが、露地よりは早く収穫できます。ただ、茨城の場合、土が柔らかく、支柱を挿すのが大変なので、栽培面積としては、それほど多くはありません。 一番多いのが、外で作る露地栽培です。早く収穫できる品種と、その後にとれる品種を使い分けて作っています。このように、茨城では、ハウス、トンネル、露地を組み合わせて作っていますが、ハウスとトンネルは面積が小さいので、6〜8月の出荷が少なくなってしまっています。

  • レンコンを植えつけるため、一番最初に農家の人たちがやることは、植えつけるためのはす(タネばす)を畑から掘り起こすことです。レンコンは掘り起こしてしまうと意外と日持ちしません。特に、タネばすで重要となる芽の部分は、非常に柔らかく傷みやすいので、タネばすは植えつける直前に掘ります。

  • タネばすを堀るのと並行して、畑の準備をします。お米を作る田んぼと同じように代(しろ)かきをし、必要な分だけ肥料を入れて、土を平らにするなどして、タネばすを植えやすくしておきます。

  • 掘り起こしたタネばすは、深さ15センチくらいのところに、芽を下に向けて斜めに植えつけます。植えつけるときは、「向き」が大切なポイントです。レンコンは地下で長く伸びるので、向きを考えないで植えると、場合によっては、隣にあるよその畑まで伸びていってしまいます。また、向きを適当に植えると、下で絡んで掘り取りができなくなります。そこで、農家の人は、どちらの方向へ伸びていくかを考えて植えていくわけです。

  • 植えつけ後、暖かくなると、浮き葉が2〜3枚出てきます。その後、立ち葉が10枚くらい伸びてくる。さらに生育が進み、6月下旬〜7月下旬くらいになると、花が咲きます。花の色は、品種によって、白やピンクなどがあります。開いたりしぼんだりを繰り返して、咲き始めてからだいたい4日で散ってしまいます。ちなみに、はすの花言葉は、雄弁、清らかな心、神聖など。はすの花は切り花としても使われますが、切り花用のはすとレンコン用のはすは、植物的には一緒でも、まったく別の品種です。

  • はすの花が散った後に残るのが、蜂の巣の形に似た「花托」と呼ばれるものです。じょうろの先を「はす口」と呼びますが、それも、丸くて真ん中にボツボツと穴が空いたはすの花托に似ていることからつけられた、といわれています。

  • 露地では9月末〜10月くらいになると、だんだん葉っぱが枯れてきます。これが、下のレンコンの部分が充実してきておいしくなってきましたよ、というサインになります。収穫前に、葉っぱの部分を機械などで刈り倒す「カラ刈り」という作業をして、いよいよ掘り取りになります。

  • カラ刈りをするのは、渋抜きのためです。みなさんも、表面が赤っぽくなっているレンコンを見たことがあると思いますが、これは、サビが表面にくっついている状態です。葉っぱから取り込まれた空気が中の穴を伝わって、表面から酸素が出て行くわけですが、その酸素と土の中にある鉄とが結びついて、サビになります。葉っぱを切り倒して酸素がいかないようにすると、酸化鉄から酸素がとれて鉄にかわるので、白いレンコンになります。以前はレンコンを白くするために漂白をしていたこともありますが、今のレンコンはカラ刈りなど栽培の工夫で白くしています。

  • 茨城の掘りとり方は「水堀り」です。機械からホースがつながっていて、そこから高圧で水が出てきます。その水圧で地面の中に埋まっているレンコンを浮かせて掘る、というやり方です。堀ったレンコンは船のようなものに積んで、陸のほうに運んできます。これに対して、畑が乾きやすい徳島などでは、ユンボなどの大きな重機でまず表面の土をとって、あとは手堀りです。重機の土をすくう部分は、レンコン専用になっているものを使います。

  • 今頃の時期になると、ニュースなどでレンコン掘りの様子が紹介されることがあります。寒い時期に水の中でやる仕事なので、さぞかし大変だろうな、と思われるでしょうが、作業をする人はウエットスーツのようなものを着ていますし、水の中は意外に暖かい。むしろ、本当に寒いのは、陸で掘りとったレンコンの調整(根っこなどの余分なところを取り除く)をするお母さん方なんです。もし、テレビなどでレンコン掘りの映像を見かけたら、大変なのは女性たちなんだな、と思って見てください。

  • 掘りとった泥だらけのレンコンは、根っこや売り物にはならない端のほうの部分を取り除き、持ち帰ってきれいに泥を洗い流します。この洗浄は、各農家でやる場合もあれば、農協などの大きな選果場で一括して洗っている場合もあります。洗い流したものを、大きさなどで分け、最後に箱詰めをします。ハウス栽培、トンネル栽培で、暑い時期に出荷する場合は、レンコンが傷まないように、発泡スチロールの箱の中に氷詰めで出荷します。9月以降、涼しくなってきたら、通常の段ボールに、乾かないようにビニールをひいて出荷します。そのような手間をかけて、できるだけおいしいレンコンをお届けするようにしています。

  • 農家が苦労していることのひとつに、鴨による被害があります。鴨にとってもレンコンはおいしいとみえて、レンコンの一番柔らかい部分を食べてしまいます。特に、食べものが少なくなる冬から春にかけて、被害が多くなります。ただ、闇雲に鴨を退治するわけにもいかないので、費用はかかりますが、ネットを張るなどの対策をとっています。ネットも、昔の網では鴨が引っかかってしまうので、野鳥の会の人たちなどからアドバイスを受けて、レンコンにも鳥にもやさしいネットを設置して、鴨に食べられないよう工夫しています。

  • 肥料も霞ヶ浦が汚れないように、必要最小限にとどめています。もともとレンコン栽培に農薬はあまり使わないのですが、さらに減らすという取り組みを行い、安全・安心なレンコンをお届けできるよう、日々、努力や工夫をしています。こうした日々の取り組みの状況や生産履歴など、いろいろな産地の情報をインターネットの「いばらき農産物ネットカタログ」(http://ibrk.jp/)で情報発信しています。農協の紹介、レンコンの食べ方、レシピの紹介などもありますので、ぜひご覧いただき、お客さまに販売するときの情報のひとつとして活用してください。

◇レンコンの品種について
  • 茨城で一番多く作っているのは、「金澄(かなすみ)」という品種です。金澄の名は、千葉県でこの品種を作った人のお名前に由来しています。金澄の特徴としては、レンコンそのものがぷっくりと丸っこい形をしていることです。ちょっと前の品種で「湖北の光」というものがありますが、比べると、金澄が丸いのが分かると思います。

  • レンコンは、大きく分けて、在来品種と中国品種に分かれます。金澄は中国種です。中国種というのは、明治初期に中国から導入された品種をもとに品種改良された、その流れをくんでいるもの。それに対して、在来種というのは、明治より前に中国から入ってきて、それぞれの土地で定着したもののことです。

  • 在来種は、どちらかというと、丸っこいものより長めのものが多く、粘りが強い傾向があります。中国種は丸く、粘りもあるのですが、サクサクとして非常に食感がいい品種です。
◇食べものとしてのレンコンの魅力
  • レンコンは、昔から滋養強壮薬としても知られているように、非常に栄養価の高い野菜です。中でも、ムチンという成分が特徴的です。レンコンを切ったとき、糸を引きますが、そのネバネバの正体がムチンで、たんぱく質と多糖類が結びついてできた物質です。納豆、オクラ、サトイモなどのネバネバの成分もムチンです。粘膜を保護してくれる作用があり、胃潰瘍や風邪の予防、花粉症などのアレルギーにも効果がありそうだ、といわれています。

  • レンコンに含まれるタンニンも薬効が高い物質です。収斂作用といって、傷ついたところとか、血管、組織などを引き締める作用があるといわれており、炎症を抑える、血を止める、雑菌の繁殖を抑える、などの働きをしてくれます。ただ、タンニンは、レンコンを調理する際、すぐ色が黒くなってしまうことの原因にもなりますので、調理には若干、工夫が必要かと思います。

  • レンコンには、デンプンを代表とする炭水化物も多く含まれています。デンプンは、レンコンの中の10%ぐらいあり、そのほか、ブドウ糖、果糖、ショ糖、オリゴ糖、食物繊維などを含みます。オリゴ糖、食物繊維は、整腸作用がある腸にやさしい成分です。食物繊維はサツマイモとほぼ同じくらいの量がレンコンにも含まれています。ほかにも、腎臓にいいといわれるカリウム、ビタミンCなども豊富に含まれている非常に栄養価が高い食材です。

  • 栄養面以外でのレンコンの魅力としては、穴が空いているということで、「見通しがよい」、「先が見える」とされ、おせちにも使われるように、縁起がよい食材です。これも、ほかの野菜にはない、レンコンの魅力ではないでしょうか。
◇おいしいレンコンの見分け方と保存について
  • 茨城のレンコンは丸い品種が多いので、丸くて肉厚なものを選ぶといいと思います。また、レンコンの80〜85%は水分なので、重いもののほうがみずみずしさがあります。あとは、表面の色が淡い褐色、つまりレンコン本来の色で、傷がないもの、切り口がみずみずしい新鮮なものを選んでいただければいいのではないでしょうか。

  • レンコンを保存する場合は、乾かないようにラップ等でくるんで保存してください。水分やデンプンが多いので傷みやすいのですが、できれば0℃くらいの凍らない程度の低温で、水分が飛ばないように保存すれば、条件によっては、1ヶ月くらいは持つのではないか、と思います。お客さまに食べきれないなどといわれた場合は、そうした保存方法もご紹介ください。
◇レンコンの食べ方について
  • レンコンはクセがなく、歯ごたえのよい非常においしい食材です。さらにおいしく食べるためには、節(部位)ごとに適した料理をしていただけるといいと思います。

  • 通常、レンコンは何節かつながっていますが、節によってかたさが違います。一番先の部分が最も柔らかく、元にいくに従って若干かたくなるので、それぞれに合った料理をしていただけると、非常においしく食べられます。

  • 元のほうはかたい反面、食感がいいので、きんぴらなど、多く加熱して、しかも食感を残したい料理に使うとおいしく食べられます。

  • 先のほうは、サラダ、酢ばすなど、あまり火を通さない料理に使うと、非常においしく食べられます。

  • 真ん中は中間的な特徴があり、天ぷら、煮物、混ぜご飯など、何にでも合います。場所によってかたさが違うので、それに応じた食べ方を、みなさんからもご提案いただければ、よりおいしくレンコンを食べていただけるのではないか、と思っています。

  • 「芽ばす」は一番柔らかな部分でアクも少なく非常においしい部分です。傷みやすいこともあり、めったに出回らないかもしれませんが、見つけたら、ぜひ、紹介していただきたいと思います。

  • レンコン料理、特に、酢ばすなど、白く仕上げたい料理を作る場合は、切ったらすぐに酢水につけると色が変わらなくなります。あまり濃すぎると、酢の味が強くなってしまうので、だいたい3カップの水に大さじ2杯ぐらいの酢を入れてつけておくと、アクも抜けて、色も変わりません。

  • 酢ばすを作る場合、ゆでる際にも酢をちょっと加えると、白くきれいになります。酢ばすはサクサクとした食感を残したいので、フタをせずに煮るのもポイントです。酢ばすにしてからサラダに入れるとか、マヨネーズ和えにするといった料理もできます。「いばらき農産物ネットカタログ」(http://ibrk.jp/)にレシピが載っていますので、参考にしてください。

  • レンコンは、すりおろすとモチモチ感が楽しめます。ハンバーグ、団子汁など、モチモチ感を生かした料理もおすすめです。食感が楽しめるデザートにも使えます。どんな料理にも合い、工夫するといろいろとおいしく食べていただける、非常に重宝する食材です。

  • 茨城はレンコンの生産量日本一ですが、歴史的には新しく、地元に食文化として根付いていない部分があります。茨城に来た方に、「レンコンの専門店はありますか?」と聞かれることがあるのですが、インターネットで検索すると、東京のお店がヒットして、茨城ではあまりヒットしません。このあたりはこれからの課題だと考えています。ただ、レンコンの加工品は作っています。レンコン粉末というものがあり、そのままお湯に溶いて飲んでもいいし、何かに入れてもいい。この粉末を作ったことによって、レンコンうどん、サブレ、ケーキなど、さまざまな加工品ができるようになりました。また、レンコンの形を生かしたおせんべい、油で揚げたレンコンチップといった加工品もあります。地元ならではのものといえば、シャリシャリとしたレンコンの食感を生かしたレトルトカレーがあります。こうした加工品も徐々に増えてきたので、ぜひ、茨城を訪れ、お買い求めいただきたい、と思います。
◇おわりに
  • 茨城では、基本的に、一年中レンコンを出荷しています。決して、お正月だけの食材ではありません。できれば一年中食べていただきたいのですが、縁起のいい食材なので、まずはお正月に食べていただいて、みなさんに幸せになっていただきたい、と思っています。

  • 茨城にはレンコン以外にも、お正月向けの縁起がいい作物がたくさんあります。栗きんとんの材料となる栗は全国1位、サツマイモも全国2位です。「きんとん」を漢字で書くと「金団」、金のかたまりという意味になり、裕福になれるという願いを込めて、おせちに使われます。みなさんも、ぜひ、茨城の栗やサツマイモを使ったきんとんを作ってみてください。

  • 食べ物ではありませんが、お正月に欠かせない飾り物として、千両、若松、菊があります。千両は茨城が1位、全国の60%を作っています。これも字のごとく、お金持ちになりたい、という願いを込めて飾られるものです。花言葉は利益、裕福で、縁起ものとして、お正月に使われます。若松も茨城が1位、全国の80%を作っています。日本では神が宿る木とされ、年初に神様を迎えるために飾られます。花言葉は不老長寿、非常に縁起がいい木です。菊の花は、今でこそ仏花というイメージが強いのですが、もともとは高貴な花で、成長の願いを込めて、端午の節句などの節目に飾った格調高い花です。茨城では、黄色い菊を作っています。
 

【八百屋塾2010 第9回】 実行委員長挨拶講演「レンコン」|勉強品目「ネギ」「サトイモ」「レンコン」「みかん」|商品情報食べくらべ