■2011年3月13日 第12回 修了式 〜 スタッフより
[スタッフ:高橋廣道]

 八百屋塾に野菜を運んで、もう10何年になりますが、一回も休まずにがんばっています。

 野菜には本当にたくさんの種類がありますし、みんなが期待しているものは何なのか、どういうものをみんなに見てもらったらいいのか…。最近、自分自身も悩むことが多々あります。

 僕自身もみなさんに伝える立場だということで、勉強会の前はすごく考えたりしていますが、 みなさんも、お客さんにどういうものを伝えていったらいいのか、悩みながらも日々やっているんだ、と思うので、僕もまだまだがんばります。

高橋廣道

 野菜の勉強は、やればやるほど奥深いものがあるし、新しい発見もあります。みなさんも、「こういうものが見てみたい」とか、「こういうのを探してください」とか、要望があれば、どんどん言ってください。情報というのは、与えて得るものだと思っています。ただの受け身ではなくて、みなさんが持っている情報をお互いに与え合って、そこからまたつかんでいく…。八百屋塾をそういう場にしていただきたいし、私たちスタッフも力を合わせてやっていきたいと思いますので、ぜひ、ご協力をお願いします。参加意識というか、みんなで一緒にやっていくんだ、という気持ちが大切ではないか、と考えていますので、これからもよろしくお願いします。

 
[司会:西澤好晴]

 塾生のスピーチなどをうかがっていると、「自信を持ちたい」と思っている人が多いように感じました。みなさん、自信の持ち方って、分かりますか? できないことをやってみたり、できなかったことができるようになると、自信が持てるそうです。ですから、できないよ、と思って諦めるよりも、できないことが自分の前にあったら、まずやってみることが、一番、必要なことだそうです。

 みなさん、できるようになるために、八百屋塾に来て勉強していると思うので、そうした努力をぜひ実行してみてください。

西澤好晴
 
[副理事長:野本要二]

 東京青果の澤田さんには、長い間、この八百屋塾を育てていただき、本当に感謝しております。

 荒井先生を始めとして、料理の先生方にも、お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 スタッフのみなさんも、本当に一生懸命、八百屋塾のために努力してくださり、このような立派な集まりにしていただいたことを、私ども、最初から立ち上げた人間としては、大変嬉しく思っています。

野本要二

 塾生のみなさんのご意見を聞いていると、江澤先生の意志がしっかり通じているな、と非常にありがたく感じています。

 江澤先生は、よく、「売るのか、売れるのか」ということをおっしゃいました。市場に行くと、今、「昨日は売れなかったな」と、お互いに慰め、理解し合ってしまう。これが八百屋のいけないところだと思うんです。やっぱり、売らなくちゃいけない。売るには、お客さまと対話をしなければいけません。それには、やはり、知識を持っていなくてはならない。そういうことを、江澤先生は強くいわれまして、私どもも、肝に銘じて、商売をしています。

 私は、今、商売が面白くて仕方ありません。お客さまとの対話を含めて、毎日が非常に楽しいです。八百屋塾でいいものをいっぱい教えていただきましたので、商売に生かしました。今までで一番成功した例は、サツマイモです。うちの店は、「ベニマサリ」しか売っていません。八百屋塾で食べたとき、本当に甘くておいしかった。今後はこれだな、と思ったんです。今、すごく急成長していますね。うちの店は3年前から取り入れて、大成功しました。小売りで一番売っているのでは、というくらい売っていて、お客さまも喜んでくれています。

 学んだら、すぐ実行に移せるかどうか。これには、みなさま方の勇気も必要だと思います。ひとつの銘柄、商品がいいと思ったら、それをどう取り入れるか…。もちろん、自分で食べておいしいから売るわけですが、そのあたりが、これからの勝負の分かれ目ではないかと思います。

 3月18日から、柿沼農園さんのセロリが始まります。伊藤さんという有名な江戸川の先生に習った方が、今、茨城でセロリを作っているんです。今年はまだ1回も売っていないのに、ここのところお客さんが毎日のように来て、「あのセロリどうしたの?」って聞かれるんです。私は、へたなセロリは売りません。柿沼農園さんのセロリが出てきたときに、3ヶ月くらい売って、あとは、気に入った商品がなければ、セロリは売らないんです。

 かたくなになりすぎなくてもいいのですが、ときにはそのくらいの気持ちで、自分がおいしいと思ったものを、思い切ってお客さんに売ってみる。これは、絶対、知識がないとできないことだと思います。

 また来年も八百屋塾は続きます。みなさんには、ぜひまた受講していただいて、いいものを持ち帰り、自分の店にどう生かすか…。この場でのみなさんとの対話の中でみつけていただいて、どんどん決めていくべきだと思います。

 私は、次期責任ある立場に…、ということになりましたので、みなさんと一緒に、これからも教わりながら、八百屋塾を育てていきたい、と思っています。 今後とも、ぜひ、ご協力のほどをお願いし、簡単ですがご挨拶に代えさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

 
[副理事長:近藤栄一郎]

 私も、野本さん同様、立ち上げ時から、この八百屋塾に協力してきました。2人とも、八百屋塾にかける想いが強く、10何年経っている今でも、出席しております。

 今日は修了式ということで、卒業される方、賞状をもらう方が、多数いらっしゃいます。おめでとうございます。

 また、澤田さんには、7年間にわたり、商品を集めてくださったり、情報をご提供くださったり、大変なご苦労だったことと思います。改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

近藤栄一郎

 スタッフのみなさん方はもちろん、調理を担当してくださっている先生方には、毎回本当にご面倒なことをお願いし、それを快くお引き受けいただけましたことに、御礼申し上げます。

 「働く君に贈る25の言葉」というベストセラーになった本をご存じでしょうか? 佐々木常夫さんという元東レの取締役の方が書いた本なのですが、ご自分が20代の頃、自費でいろいろなセミナーや会合に出席していたそうです。それが、今、功を奏して、東レの関連会社の社長をされている。自分でお金を払って、勉強会などに出席することの意義というのは、こういうところに出るのかな、と感じました。やはり、結果というのは、何年かすると出てくる、ということではないでしょうか。今日は、8回以上八百屋塾に出席された方が修了証をもらうわけですが、きっと、これから何年か先には、ご自身の商売にプラスになる、と確信しております。

 このたびの大災害で、組織としても、また、個人としても、何かお手伝いしたい、と思っています。ここにいらっしゃる方、ほとんどがそういうお気持ちではないでしょうか。改めて、人の心の繋がりというのは、大変大きなものがある、と感じました。売り手とお客さまの間でも、心と心が通じているから、買っていただける。そういう心の繋がりが大事なのではないでしょうか。

 私どもの組合も、昭和40年代、一時期1万人を要した時期がありました。今は、2400人を割るくらいになっています。すべてが廃業したわけではなく、離合集散を繰り返しながら、この数字になっているわけですが、しかし、それでも2400を少し割るくらいの数字を持っているわけです。この数字を維持しながら、底辺を広げるという意味で、少しでも八百屋を志す人を集めるのは、ここにご参加くださっている塾生のみなさまの役割のひとつではないか、と私は考えております。 ぜひ、この業界ではこういうことも必要なんだ、とご理解いただいて、厳しい経済状況ではありますが、少しでも多くの仲間を増やすためにご尽力いただければ、また違った意味で八百屋塾の存在価値に繋がると思いますので、ぜひ、そうした違ったアプローチからも、八百屋塾をご支援くださいますようお願い申し上げまして、ご挨拶に代えさせていただきます。今後ともよろしくお願いします。

 
[前実行委員長:杉本晃章]

 私は、「もっと実践的に八百屋のすべを教えろ」といわれることがあります。要は、他店との差別化なんです。八百屋は街中にちらほらある。中小のスーパーもある。その中で、いかに差別化をするか…。

 例えば、橋本さんのお店をみてください。果物の値段は高いかもしれないけれど、めったやたらにおいしいんですよ。高いのは構わない、本当にうまいものを求めている、というお客さま層を取り込んでいる。そういう差別化を図っているわけです。

杉本晃章

 野菜の場合は、果物ほど値段の違いはないと思います。ホウレンソウの相場が100円前後だったら、300円もするホウレンソウはあまりない。ちょっとよくても2〜3割、5割も高ければ相当いいものだと思います。その中で、近所の八百屋さんやスーパーとは違う品揃えを心がけることがすごく大事だと思います。

 過去に八百屋塾で、カブについて勉強しましたよね。普通の八百屋さんは、たいてい、365日、小カブ1種類しかおきません。それを、たまには天王寺とか、聖護院とかをおいたりしてみてください。そこそこ高いし、求める人がそうそういないから、毎日おいても売れないかもしれませんよ。説明して、わかってくれても、なかなかチャレンジしてくれない、というのが現状ですから…。でも、そういう品を毎日2〜3品ずつ、手をかえ品をかえ揃えておくと、いつもお客さんに、「あ、この八百屋はちょっと違うな」、という感触を持ってもらえるんです。

 われわれもそうですが、お客さまは、食べず嫌いというか、おいしさを知らないから買わないんです。だから、いかにして、それを1回でも食べてもらうか。それが大事だと思っています。みなさんが八百屋塾で試食をして、野菜の味を知っていれば、それをきちんとお客さまに伝えることができるのではないでしょうか。

 
[講師:橋本幾男]

 今、杉本さんから褒められましたけど、うちの店は果物屋じゃなくて、八百屋なんです。ただ、最近、果物の売上げのほうが多くなっている。昔は7対3で野菜のほうが多かったんです。

 うちの店は、かみさんが商売上手。ハッキリとものをいうタイプで、それが意外と人気があるんですよ。

 なんでもかんでも、いいものばかりおいている、というわけではないのですが…。私は、特に、柑橘類が好きなので、みかん、デコポン、せとか、甘平(かんぺい)だとか…。最近は、愛媛の中島のレリッシュネーブルに力を入れています。

橋本幾男

 やはり、お客さまに食べてもらうのが一番だと思います。例えば、ネーブルだったら、カットしなくてはいけませんが、そのときのカットの仕方も重要です。多少は筋っぽさなどもありますから、それをうまく外してカットしてあげる。そうすると、お客さまが喜んで食べてくれます。

 で、そのときに、「こういうふうにカットするんですよ」とか、「切れるナイフじゃないとだめですよ。ノコギリみたいなナイフは絶対果物には向きませんよ」とか、そういう話をお客さまにすると、意外と買ってくれます。

 
[実行委員長:安蒜俊男]

 私は、3年間、八百屋塾実行委員長ということで、スタッフのみなさんに支えられながらやって参りましたが、この4月から、実行委員長が関澤さんに代わることになりました。

 スタッフの方々、調理の先生方、澤田さん…。みなさまには、私の至らないところを、全て分担してやっていただいた、という状態で、感謝しています。

 司会の西澤君も、本当に名司会で…。これも、僕の力がないおかげで、うまくなったということで、今後も続けていただきたいと思っています。

 3年間、本当に、どうもありがとうございました。

 

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