■2011年1月16日 第10回 〜 勉強品目「キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー」
東京青果(株) 個性園芸事業部 審議役 澤田勇治氏 |
◇勉強品目「キャベツ」 |
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キャベツは非常に一般的な野菜で、いろいろな料理に活用されています。お店でも、周年、一番多く取り扱っている商品ではないでしょうか。
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純然たる冬キャベツ、純然たる春キャベツは少なく、交雑した品種が一般的です。冬キャベツと春キャベツは切り口等で見極めができます。
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葉が縮れている「サボイ」もキャベツの仲間。サボイについては、どう活用して食べるかをお客さまに紹介してあげないと、難しい。簡単で結構ですから、食べ方も含め、説明して売っていただければ、と思います。青汁の元になる「ケール」もキャベツの一種です。
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東京青果(株) 個性園芸事業部
審議役
澤田勇治氏
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- 一般的なキャベツは、切ると中心に近づくにつれて白っぽくなっていきますが、「グリーンボール」は中のほうまできれいなグリーンの小玉系キャベツです。
- 芽キャベツは最近あまり見なくなってしまいました。食べ方が限定されており、茹でてつけ合わせに使うか、シチュー、グラタンなどに入れるか…。こうした点から需要の拡大が厳しいので単価にも反映し、産地が限定されてしまう。これを打破できるのは、八百屋さんの努力ではないかと思います。
- 新しい野菜、「プチヴェール」は、芽キャベツの結球しないタイプ。茹でるだけで簡単に食べられます。
- 珍しいところでは、「カーボロネロ」という黒キャベツもあります。ヨーロッパで煮込みなどに使われ、通常のキャベツとは違った味が楽しめます。
- 「紫キャベツ」は、熱を加えてもアントシアンの色が飛びにくいので、業務関係で活用されています。
- 「コールラビ」は軸がカブのように広がって大きくなったもの。一般家庭で使われるよりは業務用で使われます。
- キャベツはこのところの寒さで出荷量が減少しており、従来に比べると、やや高めになっています。価格の目安は、冬キャベツ1箱が1700円前後、春キャベツは1600円前後、グリーンボールは1500円、サボイは1400円です。
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冬キャベツ
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キャンディーキャベツ
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グリーンサワー
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春キャベツ
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グリーンスター早春
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グリーンボール
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サボイキャベツ
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芽キャベツ
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プチヴェール
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コールラビ
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カーボロネロ
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紫キャベツ
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◇勉強品目「ブロッコリー」 |
- ブロッコリーも、グリーンのものだけでなく、オレンジ、紫があります。
- 春先には、「スティック・セニョール」というブロッコリーと中国野菜を掛け合わせたものが出てきます。軸の部分はアスパラガスのような食感で、先端はブロッコリー。1つで2つの味が楽しめる野菜です。ただ、まだ産地は周年化していません。だいたい、12〜2月いっぱいで、その後は産地が移行します。九州から出てきたり、静岡でも一部作っている産地があります。
- 「スプラウト」は何年か前から出ていますが、植物の芽、つまり生命力をそのまま食べるという健康志向的な商品です。
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◇勉強品目「カリフラワー」 |
- カリフラワーには、通常のカリフラワーもあれば、ミニもあります。それから、今は、オレンジ、紫というようなファッション性の強いものも出回っています。
- 「ロマネスコ」はとんがった形をしたカリフラワーで、カリフラワーとブロッコリーの中間的なものとしてできた商品です。「トンガリ君」という名前で作っている産地もあります。
- 今年は年明けから非常に寒く、特に、九州、中国、四国エリアの寒波が心配です。現状ではそれほど影響はないと思われますが、今後、新ニンジン、新ジャガイモ、新タマネギなどの春先の野菜は、最初、全て西の方面から出てきます。天気予報を見て、寒波によってこれらにどのような影響が出てくるか…。寒波によって、従来よりも、植物の生育が後ろにずれ込む傾向があります。あるときに相当集中する品目も出てくると思うので、それぞれの商品の特性を踏まえながら見ていただけるといいと思います。
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■2011年1月16日 第10回 〜 勉強品目「イチゴ」について 杉本晃章氏 |
◇勉強品目「イチゴ」 |
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野菜と同じで、イチゴにも昨年末からの寒波の影響が出ており、着色が悪く、価格もしっかりしています。
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去年は、夏の高温で株の生育が悪いといわれていたのですが、11月頃になって持ち直し、価格も非常に安かった。このままいくのかな、と思ったら、クリスマス需要の後に寒波が来て、ずっと高値のままです。
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今日並んでいるイチゴは、福岡の「あまおう」、長崎の「さちのか」、静岡の「紅ほっぺ」、佐賀の「佐賀ほのか」。群馬からは、ニューフェースの「やよいひめ」が一昨年あたりから出てきました。
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- 「やよいひめ」は、「とねほっぺ」と「とちおとめ」の交配種。群馬県が開発した新品種で、館林辺りから大量に出ています。
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「とちおとめ」といえば栃木が有名ですが、茨城でも作っています。茨城の「とちおとめ」は非常に評価が高い。特に、茨城の篤農家のイチゴは甘みが強く、北足立でも大田でも、値段がやや高めになっています。おいしいイチゴを狙っている人は、茨城の「とちおとめ」に注目して、これを重点的に売っていると思います。
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イチゴは必ずしも、高いからおいしい、というわけではありません。市場でよく色を見て、着色のいいものを選ぶようにしてください。
- 今年は低温が続いているので、色づきが遅れています。特に、西のほう、熊本、佐賀、長崎、福岡など、主流の産地が1月の初めからずっと1〜2℃という低温なので、色づきが悪い。温度が低いとミツバチの動きも悪くなり、交配がすすまないので、着果も悪くなる。着果しても、低温続きで、色づきが進まない。そういうことが重なって、収量が落ちて、値段が上がる、というパターンになっています。
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「あまおう」、「さちのか」は、どちらかというと、酸やフレーバーのきいた、味の濃いイチゴです。それに対して、「さがほのか」、「紅ほっぺ」は、酸が非常に少ないタイプ。甘いので、子どもさんは喜びます。学校給食に持っていくには、「さがほのか」など、酸味の少ないものを納品するように心がけています。「とちおとめ」、「やよいひめ」はその中間タイプ。
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イチゴは一概にどれがいい、とはいえません。食べる人の感覚により、甘い、酸っぱいが評価されます。ですから、八百屋は、お客さまの顔をよく見ながら売ってください。この奥さんは甘党だから、甘いイチゴをすすめたほうがいい、とか…。そうすれば、あそこの八百屋が選んでくれたものは絶対大丈夫、と評価されます。
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