■2010年10月17日 第7回 〜 商品情報 山形産「つや姫」&「サルナシ」

 本日は、山形の新しいお米「つや姫」と、最上総合支庁の産地研究室で系統を育成中の「サルナシ」をご紹介します。

 「つや姫」は、本日、テーマとなっている「きのこ」を入れたきのこごはんをご試食いただきます。

 山形県のお米は、「はえぬき」という品種が知られていますが、これができて約18年経っています。今回、「コシヒカリ」を超える品種を目標に、10年の歳月をかけて育成したのが「つや姫」です。

山形県東京事務所 流通対策課 佐藤隆士氏

 「つや姫」は、「亀ノ尾」という品種の系統で、「コシヒカリ」の血が6割とも7割ともいわれている濃い血統です。

 特徴としては、冷めてもおいしいこと。それから、名前からも分かる通り、白くてツヤがあること。炊く前のお米はそれほど大粒ではないのですが、炊き上がりがグッと大きくなり、粒感がしっかりしている、という評価をいただいています。

 「つや姫」の生産者は、2,573名に限定し、2,500haで栽培されています。山形県全体で約40万トンの米が生産されていますが、「つや姫」は12,500トンと、約3%しかありません。

 栽培方法にもこだわっており、有機栽培と特別栽培に限定しています。普通の栽培に比べて、化学肥料や農薬を半分に減らしたものを特別栽培、全く使っていないものを有機栽培といいます。また、マニュアルに従った生産をしていただいています。

 食味をいちばん左右するのがたんぱく質の割合なのですが、たんぱく含量が6.4%以下のものだけを「つや姫」という単体で出荷しています。

 10月から、都内でも販売しています。価格は2kgで1,200円ぐらいです。フジテレビ、テレビ朝日では、昨日からスポット的にテレビコマーシャルも流れています。また、10月31日に開催される北足立の「市場まつり」でも販売予定ですので、ぜひ足をお運びください。

 「サルナシ」はマタタビ科マタタビ属、キウイフルーツの小さいものです。山形県内では、西川町、飯豊町(いいでまち)あたりが主産地になっています。別名を「こくわ」といい、「こくわワイン」も出しています。

 ちょうど今が収穫時期で、冷蔵後、食べ頃になっています。今回お持ちしたのは、1粒で10g程度という大粒系のものです。普通はもっと小さいのですが、それを焼酎に入れて「こくわ酒」のようにして使ったりします。

サルナシ

 果皮をむいてもいいのですが、ちょっとつまんでちぎって、押し出すような形で、ぶどうのようにして食べていただくといい。キウイフルーツと同じで、収穫したてはちょっとかたいのですが、これは追熟してありますので柔らかく、ちょうど食べ頃になっています。

 系統の選抜中ということもあり、アンケートをお配りしましたので、専門家のみなさまのご意見をぜひお聞かせください。

 
■2010年10月17日 第7回 〜 商品情報 群馬産「原木しいたけ」「はたけしめじ」

 今回は、群馬県から、「原木しいたけ」と、林業試験場で育成した「はたけしめじ」をお持ちしました。

 群馬県は「きのこ王国」です。平成21年の生産量は12,220トンで、全国第6位。その中で、生しいたけの生産量は4,947トン、全国4位です。今日お持ちした原木しいたけの生産量は、そのうち1,578トン。これは、全国1位です。 ちなみに菌床しいたけは3,370トンで、全国4位の生産量です。

 本日の原木しいたけは、群馬県西部のJA甘楽富岡(かんらとみおか)のきのこ流通センターから調達したものです。

群馬県東京園芸情報センター 主幹 川島正俊氏

 きのこ流通センターには、生産者が約100人おりまして、原木と菌床の栽培比率が1:2です。JA甘楽富岡は、原木しいたけにこだわって作っている産地です。きのこ流通センターから直送もしているのですが、生産者は一年中がんばって作っていますので、例えば、暮れに向けて一時期だけというお付き合いの仕方ではなくて、一年間お付き合いいただけるのであれば直送も可、と聞いています。

 「はたけしめじ」は、8月にパプリカでもご紹介しましたJA赤城たちばなから持ってきました。「赤城まいたけセンター」といって、まいたけやその他のきのこを菌床で作っているところがあり、そちらの菌床栽培のものです。

 なかなか生産量が伸びないのですが、群馬で生産した「はたけしめじ」を総称して「森の天使」の名前で売っていこうとしています。

 先日、「はたけしめじ」を蒸して酢じょうゆで食べてみたのですが、香りと味というよりも、歯触りが特徴的です。

はたけしめじ
 シャキシャキ感やプリプリとした食感がとてもおいしくて、私は一回食べてファンになりました。今日もご試食いただきますので、ぜひご賞味ください。

 「赤城まいたけセンター」から、宅配便の着払で直送もしますし、JA赤城たちばなのほうにご連絡いただければ、どういうルートで買えるか紹介する、とのことでした。東京シティ青果にはもう出しているそうです。

 原木しいたけは、甘楽富岡だけではなく、他の地域でも作っており、「群馬の原木しいたけ」として、広く市場に出回っています。本日、のちほどご試食いただきますので、原木しいたけならではの食感や香りを楽しんでいただければ幸いです。

 
■2010年10月17日 第7回 〜 商品情報 長野産「シナノスイート」
【杉本晃章氏より】

 今日は、長野県山ノ内町から、5名の方がお越しくださっています。山ノ内町は、先ほどのきのこの産地、中野市のすぐ隣で、有名な志賀高原や湯田中温泉は山ノ内町にあるそうです。そこの特定農業者の方で、りんごを生産しているみなさんです。

 本来は、「シナノゴールド」など、さまざまな品種があるのですが、山ノ内町は標高が高いため、やや開花が遅れたりして、今回は「シナノスイート」がやっと間に合った、ということです。「シナノスイート」を試食していただきながら、生産者の方のご説明を聞きたいと思います。

杉本晃章氏
【藤浦忠広氏より】

 山ノ内町は志賀高原の西側に位置しています。南西傾斜で、標高500〜750mのところで、りんごを栽培しています。

 傾斜地なので日当たりが非常にいい。りんご栽培には素晴らしくいい環境です。ほかの産地よりも30分〜1時間日照が長いと思います。

 「シナノスイート」がとれ始めるのが、開花してから160日ぐらい。「サンふじ」であれば、180〜190日です。1日30分多いという日照時間の積み重ねは、味にもかなり影響してくるのではないかと考えており、私どもは自信を持ってりんごの販売をしています。

藤浦忠広氏
 農協さんにも出していますが…。今回は、あくまでも、個人としての商品説明ということで、八百屋塾に参加しました。

 私どもは、本当においしい状態になってからとる、という点にもこだわりを持っています。りんごはとるときに、軸のところを枝から切り離します。そのとき、熟していないりんごは、パキンッとなって、まるで、枝から離れるときに、「痛いっ!」といっているみたいなんです。それが、熟してきて、本当においしくなると、スーッと音もなくとれるようになります。そこまで待ったりんごは、本当においしいりんごだと思います。

 東京では、10月のアタマぐらいから「シナノスイート」が出始めると思いますが、われわれとしては、味がのった状態の「シナノスイート」をお届けしたい、と考えて取り組んでいます。

 個人なので、いつまでに何箱くれ、という対応はなかなか難しいところもありますが…。みなさま方で、本当にりんごの好きなお客さまに個別に販売していただくとか、そういった小さなレベルからスタートしたい、と考えています。

【湯本洋子氏より】

 「シナノスイート」を作っている湯本です。私の農園は、標高650mの高冷地に位置しているため、色、味、形などに優れたりんごを収穫することができます。

 味は、早どりせず完熟させているため、甘みと酸味のバランスが抜群です。青みのある色ではなく、真っ赤に熟した色に染まっています。果肉がしまっているので、日持ちに優れ、新鮮さが長持ちします。

 私は、「つがる」、「秋映」、「シナノスイート」、「シナノゴールド」、「ふじ」を栽培しています。エコファーマーをとり、環境に優しいりんご作りをしています。

湯本洋子氏
 今日お持ちしました「シナノスイート」ですが、去年、長野県うまいくだものコンクールにおいて最高賞となる農林水産省生産局長賞を受賞した、私自慢のりんごです。

 「シナノスイート」は、長野県果樹試験場が、「ふじ」に「つがる」を交配し、選抜育成しました。

 成熟期は、10月中旬〜下旬になります。糖度は14〜15度が一般的ですが、昨年、コンクールで受賞したりんごは17度ありました。食味としては、甘いのが「シナノスイート」の特徴ですが、高冷地なので、甘さに酸味が加わり、他の産地より確実においしいと思います。

シナノスイート
 試食していただくりんごは15日にとったものです。少し早い収穫なので、熟したときの色と味にはちょっと劣りますが、丹誠込めて作りましたので、よい仕上がりになっていると思います。ぜひ、ご賞味ください。
 
■2010年10月17日 第7回 〜 商品情報 茨城産「べにまさり」

 今日は、サツマイモ「べにまさり」を焼き芋にして、みなさまに食べていただきます。

 茨城県は、サツマイモの産地です。全国でも、鹿児島県に次ぐ、第2位の生産面積と生産量があります。

 その中でも、生食用と干し芋用にわかれており、生食用の中でいちばん有名なのが、「ベニアズマ」。茨城で生産されている生食用品種の8割が「ベニアズマ」です。そして、ここ最近、焼き芋用として面積が増えてきたのが、今回ご紹介する「べにまさり」です。

園芸いばらき振興協会 皆川氏
  「ベニアズマ」は、ホクホクとした食感と甘さが特徴です。一方、「べにまさり」は、しっとりとした食感で、ねっとりとした甘さが特徴です。見た目も食感もだいぶ違うと思います。焼き芋にした場合、全く違う食感になることがお分かりいただければ幸いです。

 サツマイモの甘さというのは何かというと、でんぷんに熱が加わると酵素分解され、麦芽糖に変わります。「ベニアズマ」のようなホクホクしたものは、麦芽糖+ショ糖が甘さの構成要素で、「べにまさり」は、麦芽糖+ショ糖、それに、ねっとりとした甘さの果糖、さわやかな甘さのブドウ糖が含まれているので、「ベニアズマ」とは違った食感、甘さになります。

 サツマイモの中には、アミラーゼ酵素があり、60〜70℃で加熱していくと、それが活発になり、甘さが増していきます。ですから、サツマイモを電子レンジで加熱すると、短時間なので、甘さが出にくい。それよりは、オーブンなどで1時間とか、ちょっと時間をかけて作っていただいたほうが、甘さが出ます。

 茨城県の中では、行方市や鉾田市、農協でいうと、JA行方、JAかしまなだ、JA茨城旭村が、サツマイモの産地です。「べにまさり」のほか、同じようにしっとりした食感の「べにはるか」というサツマイモも徐々に作られてきています。

 ひとくちにサツマイモといっても、さまざまな品種がありますので、店頭に並べる際に、「ベニアズマ」、「べにまさり」と、表示をしてください。また、「これはしっとりとした食感ですよ」など、それぞれの特性をご理解いただき、お客さまにご説明していただければ、産地としてもありがたく思います。

 今後とも、茨城のサツマイモをよろしくお願いします。

 

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