■2019年2月17日 第11回 春を感じる野菜・中晩柑 〜 勉強品目「春を感じる野菜」 東京青果(株)鈴木孝英氏 |
- 「山うど」と「うど」の違いは、穂先に日光を当てるか当てないかです。「うど」は軟白栽培で伸ばして作り、「山うど」は光を当ててうどよりは短く作ります。
- 「山うど」は、春先から木を育て、それが枯れてから、養分を蓄えた株をハウスに植えて1年間かけて作られます。「山うど」の生産者は年々減っています。昨年の猛暑と台風のためか、株に養分が蓄えられていなかったのか、今年は1月で去年の6割くらい。2月はもう少し出るかもしれませんが、今のところは少ない状況になっています。
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- 「うど」は「山うど」よりは順調です。
- 「山うど」も「うど」も産毛に触ると茶色く変色してしまうので、根か穂先を持つようにして、産毛に触らないでください。生産者はその点にかなり気を遣っています。
- 「山うど」も「うど」も、春しかない商品です。「山うど」は12月からGWくらいまで、「うど」は1月くらいから6月くらいまで。年間通してはない品目で、扱いにくいかもしれませんが、春の香りのする野菜、季節商材としてぜひ販売してください。
- 福岡の「つぼみ菜」は、やや苦みと辛みがあります。がんばって作っていますが、生産者の人数が限られており、大きく育てて1個のつぼみしか採れないので、生産効率が悪くて大変です。3月中旬〜4月頃までの、春を感じさせる品目のひとつです。
- 「ふき」は愛知のハウスです。これから群馬が出て来ます。時期は今ぐらいから5月頃まで。長いので取り扱いが大変で、販売にも工夫が必要かもしれません。「ふき」は、穴が小さくて周りが太いほうがいい、とされています。
- 「ふきのとう」は、「ふき」のつぼみの段階。産地は福島が半分くらいで、あとは群馬、秋田。瞬間的に出て一気になくなります。生産者が年々減少し、希少価値が高くなっています。苦みがあり、春を感じる味ですので、市場でみかけた際はぜひ売ってください。
- 今日ここに並んでいる山菜はほとんどがハウス栽培、人工で作られているものです。
- 「たらの芽」は山菜の代表格です。コリコリとした食感とほのかな苦み、コクがあり、天ぷらなどによく使われます。産地は山形、群馬、秋田。11月下旬〜5月中旬くらいまであります。最盛期は3月で、若干買いやすくなります。
- 「こごみ」は、「ぜんまい」や「わらび」の形に似ています。味にはクセがなく、苦みもありません。多少ぬめりがあります。いろいろな料理に合わせやすく、和食の店で重宝されます。産地は秋田、山形。流通は12月上旬〜4月下旬、最盛期は3月です。
- 「うるい」は、味にクセはなく、アクやえぐみもないのでどんなものにも合わせやすく、使いやすい野菜です。「雪うるい」は軟白で育てられ、さらにえぐみが少なくなっています。どちらも生でも食べられる山菜です。「うるい」の産地は山形、新潟。流通は11月下旬〜5月中旬で、最盛期は2〜3月です。「雪うるい」の産地は山形のみ、流通期間は「うるい」と同じです。「雪うるい」と「うるい」は同じ品種です。
- 関東では、束になった和種の菜花になじみがあると思いますが、産地の労働力不足と、束にすると量が出ないので、最近はパックに入ったものなどが出てきています。「おいしい菜」は西洋菜花で「かき菜」とも呼ばれ、主に葉を食べます。2月下旬〜3月上旬はひなまつり需要で高く、そのあとは若干買いやすくなります。菜花は、花蕾がしまっているほうが鮮度がいいので、花が見えないものを選ぶといいでしょう。
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◇「春を感じる野菜」などの写真 |
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■2019年2月17日 第11回 春を感じる野菜・中晩柑 〜 勉強品目「春を感じる野菜」の補足 (株)果菜里屋 高橋芳江氏 |
- 行者にんにく、のびる、ぼうふう、ひろっこなど、果菜里屋二代目、航が集めてきました。全部促成もの、ハウス栽培です。
- 房州の菜花は束にする加工が大変で、最近はやる人が少なくなっています。花蕾がしっかりしていないと売れませんし、黄色くなっているとなおさら価値が下がります。
- 「三重菜花」は、三重県で自家採取している伝統種の菜花です。去年、一昨年あたりは、「三重菜花」とはうたっていないのですが、サイゼリヤでスパゲティに使われました。
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- 「はるの輝」は、岩手で系統選抜し固定した菜花です。花蕾ではなく葉を食べます。
- 「雪菜」は「山形おきたま伝統野菜」に認定されています。12月前後に畑の雪菜を収穫して、稲わらと土で囲っておくと、その上に雪が積もり、雪の中で自分自身の葉を栄養源に「とう(花茎)」を伸ばす…。これが白い雪菜で、苦みがあります。「ふすべ漬け」は、雪菜をさっと湯に通し塩漬けにした、独特の辛みと酸味があるおいしい漬けものです。「雪菜」は米沢藩主・上杉鷹山が栽培を進めたことから始まったといわれます。
- 「潮江菜」は水菜の原種といわれます。植物学者牧野富太郎博士の弟子が、高知で見つけ、今、チーム牧野が伝統野菜として復活させています。シャキシャキした食感で、高知ではお雑煮に入れます。
- 葉わさび、花わさびなどは、かつては料亭であしらいに使われたりしましたが、昨今、和洋中の区別はありません。洋食の方もこういう野菜を使います。
- 「ガイニマイナ」「マゲニマイナ」は島根大学が作った新しい野菜で、出雲の言葉で「とてもおいしいな(菜)」という意味があります。島根の伝統野菜「津田かぶ」に、「アスパラ菜」、「紅菜苔」を交配したもので、紫色の「ガイニマイナ」と緑色の「マゲニマイナ」があります。グルタミン酸等の含有量が親品種の約2倍あり、うまみ、甘みにすぐれています。
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■2019年2月17日 第11回 春を感じる野菜・中晩柑 〜 勉強品目「中晩柑」 橋本幾男氏 |
- 「甘平」はそろそろ終わりの時期に入っています。
- 「はるみ」と「デコポン」は、掛け合わせのポンカンが違うだけで、ほぼ同じものです。
- 「せとか」は、清見・アンコール・マーコットの3種類の掛け合わせです。愛媛と長崎を持ってきましたが、長崎が意外にいいと思います。
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- 平成5年に初めて「デコポン」が出たとき、こんなにおいしい果物があるのか、と思いました。最近は酸が残るものが多い気がします。登録品種名は「不知火」で、熊本の果実連が糖度13度以上と決めて出しているのが「デコポン」です。天草などはすべて「不知火」で出しており、愛媛には「ヒメポン」という名前のものもあります。
- 鹿児島大里の「ポンカン」は、昔は買うのが大変だったくらい人気がありました。
- 熊本、かもとの「きんかん」はうちも扱ってます。ハウスもので、酸はなくすごく甘い。
- 静岡では、タネなしの「きんかん」を作っているところがあります。
- 今年は「いよかん」もおいしいのですが、最近は手が汚れるという理由であまり売れません。
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◇「中晩柑」の写真 |
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