■2018年5月13日 第2回 アスパラガス 〜 商品説明・生産者紹介など

◇商品説明・生産者紹介など

 新潟県津南町の生産者 宮崎朗さんによるアスパラガスの紹介、同じく津南町の太島吉秋さんより「つなベジ会」の紹介、群馬県藪塚で小玉すいかを作っているみなさんから商品の説明、果菜里屋 高橋芳江さんより高知のすいか「はちきん」の紹介がありました。
 
[宮崎朗氏]
 新潟の津南町から来ました。前回の八百屋塾では、「雪下にんじん」などのご紹介と、販売にもご協力いただき、ありがとうございました。

 今回は自分の畑で作ったアスパラガスを持ってきました。「ウェルカム」と「スーパーウェルカム」、サカタの品種です。これまで、特に品種で分けて収穫はしていなくて、畑にあるものを切って選別機にかけてまとめて出荷していたのですが、今回は、「品種で分けて」というリクエストがあったので、改めて昨日収穫しなおしました。畑では、背が高くなるのは「スーパーウェルカム」。アスパラの状態では、「スーパーウェルカム」のほうが鱗片葉がやや紫色がかっているかもしれません。違いとしてはそれくらいしかわかりませんでした。

宮崎朗氏
 先ほど、元木先生の圃場の写真を見せていただきましたが、確かに素晴らしくきれいな圃場で、しかもたくさん採れていてびっくりしました。うちの圃場は、逆の意味で驚かれると思うのですが、アスパラよりもスギナが多い。スギナのほうが背が高いので、アスパラの色がやや薄くなります。

 無農薬で作っていますが、悩みが多いです。2年目以降は病気が増えて、株がなくなることがあります。10年経つと株がないところが増えてしまい、収量が下がります。アスパラガスはお客さまには人気なのですが、これからどうするか考えてしまいます。

ウェルカム
スーパーウェルカム
 今日の八百屋塾は先生のお話に期待して来てみたのですが、津南町は雪国なので、「採りっきり栽培」はむずかしいかもしれないと感じ、やや残念です。

 津南では、アスパラの収穫時期が田植えや他の野菜の植え付けと重なるので、それもつらくなってきています。朝起きて毎日採らなくてはいけないので、よく歩いて、健康維持には役立っているかもしれません(笑)。

 アスパラを選別機にかけると、最後は細いものが残ります。市場には出回らないかもしれませんが、楊枝のように細いものです。農家の人は、これを、半分くらいはかたいから切って、ゆでてしょうがじょうゆにつけておきます。めんつゆにしょうがを加えたものでもいいです。一晩漬けておいて、ごはんにのせて食べるとおいしい。夏場でもさっぱりと食べられます。ミニアスパラよりもう少し細いくらいなのですが、あれを普及出来ればいいな、と思っています。農家としては、細いアスパラの消費も増えるとありがたいです。
 
[太島吉秋氏]
 新潟の津南町から来ました。「つなベジ会」の広報を担当しています。

 津南町は非常に雪深い地域で、街中でも2メートル、もっと標高が上がると3メートルも雪が積もります。いろいろ大変ですが、そのかわり、雪の恵みで水がよく、地力を高めてくれることもあって、おいしい野菜が採れる地域です。

 人口減少が問題で、特に観光資源もあるわけではないので、農産物を観光に結び付けよう、と地元の旅館の女将さんたちを中心に結成した組織が「つなベジ会」です。発足してまだ2年ですが、Facebookから情報を取得できます。今日はみなさまと情報交換ができるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

太島吉秋氏
 
[JA太田市 営農指導員 石田勝美氏]
 群馬県の太田市から来ました。藪塚のすいか、みなさんご存じでしょうか。今は太田市農協になりましたが、かつては藪塚農協でした。東一さんに出荷していいお店で売ってもらい、日本一のすいかだと言われたこともあります。その当時は「紅小玉」を作っていました。「紅小玉」は後半の店持ちがあまりよくないと言われ、品種改良もすすみ、今は「愛娘さくら」という品種を作っています。糖度は大変高くなっています。

 私が思うに、すいかはシャリ感が重要です。シャリ感とは、すいか独自のもので、砂の粒のような舌触りのことで、歯ごたえとは違います。市場で品種検討会をやると、糖度を計ったり、食味の検査をしたりしますが、甘ければいいすいかで、かたければシャリ感があると思っている人がいます。でも、シャリ感はかたさではありません。大根にシャリ感があるか、というとありませんよね。八百屋さんにはそのあたりを消費者のみなさんに伝えていただけるとありがたいです。

 みなさんに資料をお配りしましたが、藪塚の小玉すいかは、間口が4.5〜5.4メートルの単棟ハウスで、無加温で作っています。かまぼこ型のハウスの中にトンネルを4重、5重にしています。定植が11月下旬〜12月。定植をすると、毎日換気をするなどの作業が必要で、農家はどこにも出かけられないほどです。4〜5本ツルを出して、それにならしていきます。雌花は、葉が6〜7枚でひとつ咲きます。だいたい20枚くらいになったら、三番花に雄花をつけ交配して作ります。

JA太田市 営農指導員 石田勝美氏

小玉すいか(群馬・糠塚)
 2月下旬に市場との意見交換会をして、一番果の収穫準備をしました。だいたい交配から50〜55日かかります。すいかは積算温度が800℃、平均温度20℃で40日ぐらいですが、早い時期は日数もかかります。寒い時期は正常な交配がむずかしく、暑くなるとちゃんと受精して黒い種ができます。今の時期は40〜50日前の天候に左右されます。昔の大玉と違い、小玉すいかの果肉はピンク、さくら色です。この品種は赤いとおいしくありません。

 2〜6玉まで箱で出荷します。今日お持ちしたのは1個入りの箱です。生産者のところに小売りで買いに来る人のために作りました。市場にも渡してあるので、お店にも配ってコマーシャルをしてもらいたいと考えています。

 藪塚には「紅小玉すいか」のモニュメントがあります。40年前は200人のすいか農家がいました。当時は、「紅小玉すいか」と品種名を出して売っていました。その後、「愛娘」、「ひとりじめ」になり、2014年(平成26年)から、「藪塚小玉すいか」として箱を一新しました。

 200人いたすいか農家は、今、38人です。多くは周年のほうれん草に移行しました。今、すいかを作っている38人は、「藪塚のすいかを作っている」と、誇りと熱意をもってやっていますので、そのあたりもみなさまに知っていただければ嬉しく思います。

 3月1日〜7月の中旬、20日ころまで出荷予定です。今日は茨城、熊本、藪塚のすいかがあるので、のちほど食べくらべてみてください。
 
[(株)果菜里屋 高橋芳江氏]
 高知の「はちきん」すいかは、「黒美人」という品種で、皮が黒っぽいのが特徴です。「はちきん」というのは土佐弁で、男勝りの女の人のことをいうそうです。メロンのようにつるして作る立体栽培で、日がよくあたるので皮の近くまで甘くなります。
(株)果菜里屋 高橋芳江氏
小玉すいか「はちきん」(高知)
 
 

◇その他のすいかの写真

小玉すいか「スウィートキッズ」(茨城)
小玉すいか「ひとりじめ」(熊本)
 
 
 

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