■2018年10月14日 第7回 れんこん産地視察 in 茨城 〜 営農経済センター北浦にて
◇れんこんの説明と産地概要 
[JAなめがた 営農経済センター北浦 事業所長 田俊信氏] 
 今年はJAなめがたが誕生して30周年になります。来年2月1日にJAしおさいと合併し「JAなめがたしおさい」が発足することになりました。合併後の売上高は200億円を超え、県内トップ。組合員数は正准合わせ約19000人で県内4位の規模になります。この合併によって経営基盤を安定させ、組合員の所得を増やすとともに、人材育成の強化を目指しています。

JAなめがた 営農経済センター北浦 事業所長 
田俊信氏
●JAなめがた概要

1. 管内の概要
 当地域は県の南東部に位置し、霞ヶ浦・北浦に挟まれた半島状の地形で、両湖岸および南端の水郷地帯は平坦な水田地帯が拓け、中央部は火山培土からなる平地と起伏に富んだ傾斜畑地帯に大別され、全国的にも数少ない立地条件をなしている。年間平均気温は14℃と比較的温暖な気候に恵まれ、耕地面積は9,210haで内水田率57%であるが、農業粗生産額を見ると野菜部門が52%と、野菜園芸を中心とした農業地帯である。
 水田地帯では、セリ・蓮根等の露地野菜とイチゴ・胡瓜等の施設園芸が行われ、畑作地帯では、甘藷・ごぼう・馬鈴薯・人参の土地利用型大規模経営、みず菜・ちんげん菜・エシャレット・ミツバ・春菊・ほうれん草・近年ブームのパクチーなど軽量野菜の集約・周年出荷型経営、大葉専作経営、トマト・きゅうり等により年間60数品目の野菜を生産している。
 当地域は、首都圏消費地に70kmの地の利を活かし、生鮮食料品の多品目供給基地としての役割を果たす園芸産地である。
 農業者の所得増大に向けた販売力強化と生産力強化・コスト低減および農家経営管理支援を図って持続可能な農業の実現を目指す。

 平成29年1月末
 組合員数 11,245人(正組合員9,151人、准組合員2,094人)
 正職員数 129人、准職員、パート52人 計181人
 (営農経済76人、金融共済81人、総務企画24人)

 平成29年1月30日 第46回日本農業賞大賞受賞「甘藷部会連絡会」
 平成29年10月18日 第56回農林水産祭天皇杯受賞「甘藷部会連絡会」

2. 産地づくり
 【安全、安心な農作物づくり】
 ◎消費者、実需者との信頼関係構築
 ・生産履歴記帳運動
 ・GAP(農業生産工程管理)グローバルGAPへの取組 輸出
 ・IPM(耕種、生物、化学、物理的総合防除)

 【なめがたブランド化戦略】
 ◎栽培方法、販売方法を明確にした生産者グループ化
 ・おいしさのこだわり
 ・新出荷規格の提案
 ・実需者、バイヤーへの商品プレゼン活動

 【用途別販売強化】
 ◎消費動向と流通の変化を敏感に捉え、迅速、柔軟な対応
 ・実需者、消費者ニーズ対応
 ・加工、業務用に向けた契約取引拡大 各品目における付加価値販売

3. 生産部会組織
 部会 37組織・品目部会連絡会 10組織・生産部会連絡協議会
 青果物生産者 1,180人(平均年齢60歳)

4. 青果物販売状況(平成28年度末 生産者振込み金額)
 販売金額 10,283百万円  取り扱い数量 34,876トン
 ◎1千万以上 40品目 (内 1億以上 16品目)

[JAなめがた 営農経済センター北浦 河野健太郎氏] 
 茨城県のれんこんは、なめがたを含む霞ヶ浦周辺で栽培されており、県全体の生産量は全国一です。ほぼ通年出荷されていますが、旬は収穫が始まる9月〜10月の秋からで、需要が最も多いのは冬です。

 なめがた地区のれんこん栽培は、1970年代、国の減反政策による転作から始まりました。現在、北浦地区の部会員は80名です。最近、テレビなどでれんこんの健康効果が注目され、昔より価格も上がりました。そんなこともあって若い人が増えています。経験の少ない若い人たちが「れんこん研究会」を立ちあげ、空いているところを試験圃場にして、勉強会をしています。

JAなめがた 営農経済センター北浦 河野健太郎氏
 れんこんは、同じ品種を作り続けていると形が細長くなったり、収量が減少してしまったりするので、積極的に新しいすぐれた品種を導入しています。なめがた地区でつくられている品種は「金澄系(43%)」と「幸祝(36%)」で大部分を占めますが、「金澄」系は減少傾向です。「幸祝」は「グリグリ」とも呼ばれる、肉厚で食味のいいれんこんです。今、注目されている品種は「パワー」で、肉厚で形がよく、食味もすぐれています。「2年掘り」といって翌年に収穫する作型も可能で、大きいれんこんができます。掘り残したものがあると交雑してしまうので、専用の圃場で栽培しています。
●れんこん部会連絡会

代表 小沼 保夫
部員 105名
面積 116ha
収量 1683t

 れんこん部会連絡会では、なめがたの肥沃な土壌と豊かな水で、お客さまから信頼される産地を目標に栽培しています。最近では若い年齢層の生産者が増え、部会全体に活気が出てきています。
 現在、れんこん産地の育成として、@環境にやさしい施肥技術の拡大 A高品質なれんこん生産の拡大 B黒皮症の被害拡大の防止の3つの課題に取り組んでいます。特に、施肥技術に関しては、連絡会主催で栽培講習会を実施し、減肥試験の結果報告および適正施肥の周知などの情報交換を行っております。
 さらに販売面では、自慢のれんこんをまるごと1本箱詰めした商品でPRや等階級ごとのおいしい食べ方の提案を行っています。付加価値をつけた商品販売で、農業所得向上も目指しています。
 今後は、5年後10年後を見据え、担い手の面積拡大という課題にも取り組んでいきたいと考えております。また、連絡会が中心となって部員・市場・関係機関が一丸となり、なめがたブランドを広めていきます。

みんなで進めよう 茨城農業改革
 平成30年6月4日(月)発行
 行方地域農業改良普及センター

平成29年度 品種・施肥アンケート調査結果について
1. 栽培品種割合について(H29)
 金澄系11%、金澄3号1%、金澄20号11%、金澄34号14%、金澄36号6%、金澄39号0%、幸祝(グリグリ)36%、あじよし4%、松風10%、パワー5%、ひたちたから1%、不明(早生系)1%
 →金澄系が43%、幸祝が36%と大部分を占めている。その他、松風やあじよし、パワー等。
 対象:行方管内レンコン生産者32名回答
 面積:45ha
 調査期間:平成30年1月〜3月講習会時

1-2 年度別品種推移(H21〜29)

年度
品種の作付割合(%)
調査面積(ha)
 
20号
34号
36号
37号
幸祝
パワー
その他
 
H21
52
4
0
5
-
-
8
37
H22
49
5
0
6
-
-
11
41
H23
37
11
5
4
-
-
6
64
H24
30
27
20
5
4
-
15
86
H25
29
31
11
6
5
-
17
59
H26
25
39
13
8
8
-
8
87
H27
21
28
14
16
15
-
6
56
H28
15
46
5
-
25
-
9
40
H29
11
14
6
0
36
4
28
45

 →金澄系品種が概ね普及しているが、近年減少傾向であり、幸祝やその他品種が増加傾向。

2. 施肥状況について(H29)
 肥料成分総量(kg/10a)
 窒素30.0 リン酸21.7 カリウム22.9

 対象:行方管内レンコン生産者22名回答
 調査期間:平成30年1月〜3月講習会時
 ※窒素は、有機・化成肥料、石灰窒素の成分総量

 →県慣行施肥量24-20-32と比べて、窒素は高く、リン酸は同程度、カリウムは少ない傾向であった。石灰窒素は、腐敗病・ジャンボタニシ・レンコンネモグリセンチュウ等の病害虫防除目的で施用している。窒素成分としての肥効は大部分が溶出するため基肥窒素量は控える必要がある(散布後すぐ土壌混和を行うと肥効が生育中盤まで持続する)。
  また、カリウムは最もレンコンが吸収する養分であり、カリウムの多い肥料もしくは単肥で施用したほうが良い。

【八百屋塾2018 第7回】 トップタイムスケジュールなど挨拶・れんこんの掘りとり体験&見学れんこんの説明と産地概要ランチタイム