■2018年9月9日 第6回 韓国料理・ペポかぼちゃ・梨 〜 勉強品目「ペポかぼちゃ」 (株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 「内藤かぼちゃ」は和かぼちゃで、江戸東京野菜のひとつです。現在の新宿御苑のところに、信州高遠藩の下屋敷があり、その畑で作っていたとされています。周辺にも広まり、「角筈かぼちゃ」、「淀橋かぼちゃ」などと呼ばれました。

  • 唐辛子もこのあたりの名産で、実が房になって上を向いてつく「八つ房」で、「内藤唐辛子」と呼ばれています。

  • 代表的な和かぼちゃは「黒皮」で、菊の花のような形の「菊座」が特徴です。豊臣秀吉の時代に日本に伝わり、カンボジアから来たので「かぼちゃ」と呼ばれるようになったそうです。西洋かぼちゃは明治時代にアメリカから導入されました。
(株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 「黒皮」、「つる首」などの和かぼちゃは、あっさりとした上品な味わいで、よくお料理屋さんで使われます。一般にはあまり売られていないようです。

  • 「宿儺(すくな)かぼちゃ」は西洋かぼちゃです。飛騨高山のブランド野菜として商標登録されており、他の地域では「長かぼちゃ」などの名前をつけています。今日お持ちしたのは、千葉・小川農園さんの「長かぼちゃ」です。とても大きいので、なかなかまるごとは売れません。カットして売るといいでしょう。

  • 「プッチーニ」、「プチホワイトかぼちゃ」も西洋かぼちゃの一種で、食べられますが、見た目がかわいいので飾りにも使われます 。

  • 「コリンキー」はサカタのタネが生で食べられるように開発したかぼちゃです。「打木赤皮」と西洋かぼちゃを掛け合わせたF1です。

  • 「ズッキーニ」はペポかぼちゃの一種です。いろいろな形のものがあり、ごく一般的な細長いもの、丸型のほか、円盤型などもあります。

  • ハロウィンで使われるおもちゃかぼちゃ各種もペポかぼちゃの一種です。

  • 韓国料理でよく使われる「エホバッ」はズッキーニの仲間、ペポかぼちゃの一種です。

  • サンチュは日本にもある「茎チシャ」と同じです。

  • 今日の豆もやしは「豆どん」というすごく立派な大豆もやしで、東一さんに言えば注文できます。
◇「ペポかぼちゃ」などの写真
内藤かぼちゃ
(東京)
長かぼちゃ
(千葉)
テーブルクイーン
(群馬)
コリンキー
(新潟)
おもちゃかぼちゃ
ズッキーニ
(岩手)
ズッキーニ
(埼玉)
エホバッ
小粒大豆もやし
(栃木)
大豆もやし
(栃木)
えごま
(愛知)
■2018年9月9日 第6回 韓国料理・ペポかぼちゃ・梨 〜 勉強品目「梨」 橋本幾男氏
  • 「新甘泉(しんかんせん)」は鳥取、今いちばん人気がある梨だと思います。東郷と鳥取中央がありますが、今日お持ちしたのは東郷です。色が回ったものはスレたりして傷が出やすいので気をつけてください。

  • 「新甘泉」は「筑水」×「おさ二十世紀」です。最近、「筑水」がよく交配に使われます。「秋麗(しゅうれい)」は「筑水」×「幸水」。「筑水」は青梨です。

  • 「あきづき」は、「新高」と「豊水」の掛け合わせに、「幸水」を掛けたものです。1996年に茨城で交配、2000年あたりから市場に出回り始めました。今日は、千葉と熊本の「秋月」をお持ちしました。
橋本幾男氏
  • 「秋麗」はそろそろ終わりです。無袋は赤いのですが、有袋にすると青くなります。

  • 今日の「豊水」は信州のものです。

  • 「かおり梨」は、今年のものは残念ながらあまり香りがありませんでした 。

  • 「幸水」は昭和35〜36年頃に埼玉から出た梨で、昔は真っ赤でしっかりしていました。最近の「幸水」は若いうちに採るので、色も味も薄い気がします。私は赤梨らしくもっと赤くしたほうがいい、とよく言っているのですが、店もちをよくしてほしい、という要望があるからだと思います 。

  • 「長十郎」は袋がけで9月の半ば頃までならせると本当においしい梨なのですが、ほとんど見かけなくなりました。作るのに手がかかりすぎるそうです。原産地は川崎です。栽培した家が「長十郎」という家号だったので、この名前が付きました。今も川崎大師のそばに「長十郎」を植えている小学校があって、このあいだ収穫祭をしていました。

  • うちの店は川崎ですが、そばに「伝十郎」という桃の碑があって、埋め立てる前は桃畑が広がっていたそうです。確か大正6(1917)年に高潮の被害にあい、やめてしまったと祖母から聞きました。ちなみにうちの店は私で3代目、創業95年になります。

  • 今年、和歌山の柿は豊作だそうです。ただ、柿は台風などで葉が飛ぶと色がつかなくなります。昔、昭和34(1959)年の伊勢湾台風のときは、葉が飛んでしまって黄色い柿になっていました。今年もそれは多少怖いですね。

  • ぶどうは「シャインマスカット」に続く新品種が出ています。皮ごと食べられてタネがない。1度食べましたが、シャインより皮が薄めで、身がしまっていて食べやすかったです。

  • ぶどうは種があるほうがおいしい。うちには種ありしか買わないお客さまがいます。種なしはジベレリンを使って早く大きくするので、味がのりません。ジベを使っているかどうかは、芯の切り口を見ればだいたいわかります。競売所でサンプルが出ていたら、ちょっとひっくり返して見てみるといいでしょう。

  • ハウスみかんはそろそろ終わりです。今年のみかんの状況はまだ聞いていませんが、和歌山など、台風の影響があまりないことを願っています。
◇「梨」の写真
あきづき
(熊本)
あきづき
(千葉)
秋麗
(熊本)
新甘泉
(鳥取)
二十世紀
(長野)
豊水
(長野)
 

【八百屋塾2018 第6回】 挨拶講演「韓国料理に学ぶたくさん野菜を食べる術」勉強品目「ペポかぼちゃ」「梨」食べくらべ