■2018年6月10日 第3回 出張八百屋塾@国立市場 〜 講演「キウイフルーツ」について ゼスプリインターナショナルジャパン(株) 東日本地区セールスマネージャー 足立誠氏
◇はじめに
  • ニュージーランドのキウイフルーツのシーズンは、約2か月前にスタートし12月くらいまで続きます。今日は、八百屋のみなさんにとって販売の一助となるような知識を得て帰っていただければ幸いです。
ゼスプリインターナショナルジャパン(株)
東日本地区セールスマネージャー 足立誠氏
◇ゼスプリのニュージーランド産キウイ
  • ゼスプリのTVCMは、2年ほど前からキウイのキャラクターを使ったCMに方向転換しました。特に、女性や子供さんに好評です。

  • キウイフルーツの輸入量はこの15年間で2倍になり、その中でゼスプリのニュージーランドキウイの構成比は9割を超えます。みなさまのお力とともに、TVCMのような仕掛けで、徐々に消費者に浸透してきたものと考えます。
ゼスプリキャラクター
  • 品種は、大きく分けてグリーン、ゴールドの2つです。

  • 「ホート16A」という先がとがったゴールド品種は、去年、輸入をストップしました。キウイ特有のかいよう病に弱く、ニュージーランドでは今年から栽培もストップしています。最近は、病気に強い「サンゴールド」という新品種が数字を伸ばしています。

  • 昨年はニュージーランドのグリーンが不作で、前年を少し割りました。今年は過去最大の輸入量を計画しています。

  • ゼスプリのキウイフルーツが伸びている理由は3つ。まず、キウイフルーツの栄養が消費者に浸透したこと。次に、品質や味が受け入れられてきたこと。そして、マーケティングや店頭での仕掛けが効果をあらわしていること。この3つだと思います。
◇キウイの栄養
  • 2年前、ゼスプリのCMをキャラクターに変更した際、「キウイはビタミンだけじゃない」というフレーズをBGMにしました。キウイには、食物繊維、葉酸、カリウムなど、非常に多くの栄養素が含まれています。量も多く、ビタミンCは「サンゴールド」でレモン8個分以上、食物繊維は「グリーンキウイ」でバナナ3本分以上含まれています。

  • 栄養素充足率とは、果物100グラムあたりに含まれる栄養素が、食事摂取基準(2015年版)の1日の摂取基準に対して何%かを計算し、その平均値を計算した指標です。「グリーンキウイ」、「サンゴールド」は、ともにナンバーワンで、キウイフルーツはグラムあたりの単価が高いといわれますが、栄養素あたりの単価はお買い得です。

  • グリーンキウイに含まれる酵素「アクチニジン」には、たんぱく質の分解を促進する作用があり、消化を助け胃腸への負担が軽減される、といわれています。肉といっしょに置いておくとやわらかくなるので料理にもお使いいただけます。

  • 糖質制限が流行っていますが、キウイフルーツは糖質が低く、血糖値を上げにくい低GI食品に分類されます。もともと果糖は血糖値を上げにくい糖質です。制限している方にも必要な栄養素ですので、果物、その中でもぜひキウイフルーツをおすすめください。

  • キウイは皮ごと食べられます。「グリーンキウイ」には毛があるので気になる方も多いかもしれませんが、「サンゴールド」は皮も違和感なく食べられ、食物繊維、ビタミンE、葉酸が摂れるということは学術的に証明されています。ただ、胃腸の弱い方は避けたほうがいいでしょう。スムージーにしたり、輪切りにすると摂りやすいと思います。
◇キウイの品質
  • ゼスプリは、ニュージーランドのキウイフルーツを日本に輸入している会社です。品質に徹底的にこだわる「ゼスプリシステム」により、栽培、収穫から輸出、さらに日本に届いてからも非常に細かく確認やチェックをしながら、つねに品質が安定したものをみなさまの店頭にお届けしています。

  • ゼスプリシステムの品質管理の基本は箱についたバーコードです。バーコードだけで、どこの園地で採れたか、いつパッキングされたかなど、すべて管理しています。

  • 収穫は、果肉の色、タネの色、ドライマター(将来的に糖度がどれくらいになるのか)など、第三者機関によるさまざまな要素のチェックを経て、許可が出されます。

  • 収穫後は、キウイフルーツを3段階に分け、日本の消費者は味や品質にこだわる方が多いので、最高品質のものをお届けしています。

  • キウイは、大玉のほうが糖度が高い果実です。昨年の果実は大きく、単価などでは苦労をおかけしたかもしれません。ゼスプリは味にこだわって輸入していることをご理解いただければ幸いです。

  • 消費者キウイのイメージを聞くと、「すっぱい」と言われる方が多いので、食べごろのキウイを店頭にお届けする活動を、仲卸さん、市場さんとともにすすめています。

  • キウイフルーツの輸入量が伸びているのは、セミナーなどで、食べごろのキウイへの理解等が深まっているのではないか、と考えられます。食べごろのキウイを販売することは、リピーターを育てるという意味でも大切なことだと思っています。

  • 消費者の好むキウイのかたさは、「グリーンキウイ」で1〜0.5キロ。店頭にお届けしているものより相当やわらかく、八百屋のみなさんだと値引きに回すかロスにするような硬度です。「サンゴールド」だと0.9〜0.4キロ、ともう少しやわらかいものが好まれます。キウイフルーツはやわらかくなるほど糖度が増していきます。収穫されたばかりのものはナイフも通らないくらいですが、日本に運ばれる船の中で追熟をします。日本でも市場や仲卸さんにご協力いただきながら、6月いっぱいくらいまで、エチレンをかけたりして、できるだけ早く店頭に並べていただけるようにしています。

  • お店にやわらかいキウイが届いたら、よりおいしいものを食べていただくために手をかけている、とご理解ください。おそらく、それでも1.2キロくらいで、もう少し熟度が進んだものがおいしいとされています。八百屋さんの「もう少しご自宅でおいてください」というお声掛けで、お客さまの満足度がもっと上がると思います。
◇キウイフルーツの食べくらべ
  • 今回は、いろいろな熟度のキウイフルーツをご用意しました。「未追熟」、「追熟レベル3」、「レベル2」、「有機栽培の商品、「サンゴールド」の順に比較してみてください。

  • 「未追熟」のキウイは、かたくてすっぱいということが、ちょっと味わってみるだけでおわかりいただけると思います。

  • 「追熟レベル3」のキウイは、われわれが試食宣伝で使っている熟度で、ちょうど食べごろのものです。「未追熟」のものと、味を比較してみてください。

  • 「レベル2」は、お店で4〜5日品質がもつかたさで、陳列していただきたい推奨の硬度です。食べなくてもいいので、手に持ってかたさを実感してみてください。
◇キウイのマーケティング
  • 現在、週1回以上キウイを食べているヘビーユーザーが2割で、その方々に8割の消費を担っていただいています。

  • キウイを月に1回も食べていない方が半分くらい。この方々に月に1個買っていただくだけでも、売り上げを伸ばせます。ゼスプリとしてもここに力を入れたい、と思っています。

  • キウイを買っていただくには、まず「おいしい」こと。追熟された食べごろのキウイを食べれば、おいしいとわかります。今年のゼスプリのTVCMのキャッチコピーは、「完熟キウイを食べてみて」です。キウイには最適な食べごろがあること、そのキウイは本当においしい、ということを伝えたい。

  • 「完熟」という言葉はきっちりとした基準があれば、あいまい表現にはあたらない、ということでした。ゼスプリは、いろいろな品種それぞれに、世界共通の食べごろの基準、硬度や糖度の基準を持っています。

  • 今年のTVCM、第1弾では、キウイはすっぱいと思っている方に、キウイはすっぱくないということを、第2弾では、完熟はもっとおいしい、と伝えたいと考えています。

  • 6月23日から、「キウイヒーロー」というキャンペーンを行います。TVCMに悪者を登場させ、おいしいキウイを食べて悪者をやっつけよう、という企画で、電車ジャックや新聞も使って大々的に行います。

  • 毎年、シールを集めて応募していただくキャンペーンを行っており、今年の景品はキウイブラザーズのぬいぐるみを用意しました。弊社にはぬいぐるみがほしい、というお問い合わせを多数いただくので、効果があるかと思います。

  • 9月1日は、弊社が定めた「キウイの日」です。売り上げが伸ばせるように、この日に向けたTVCMも用意しています。
◇終わりに
  • 本日は、追熟されたキウイのおいしさを実感していただけたのではないでしょうか。対面でお客さまと接している八百屋さんにはぜひ、「あと4〜5日おけばもっとおいしい」とお声がけしていただき、追熟品のおいしさをお客さまに広めていただければありがたく思います。今後もキウイフルーツの拡販にご協力お願いいたします。
◇質疑応答より

    Q:納品業務をしており、30玉を7ケースとか注文するのですが、個体によってかたさのバラツキがあり、一部クレームになることがあります。それは完熟させるようになったからなのでしょうか?
    A:「完熟キウイを食べてみて」というキャンペーンをしてから納品を変えた、ということはありません。青果物なので、個体差は避けられない部分です。われわれとしては、レベル2を推奨していますが、作業の間に、個体差があって、レベル3に近いものが出てしまうことはある、とご理解ください。

    Q:大田市場では何日に食べる、というとそれに合わせて出してくれるのでそれほど苦労はないのですが、ゴールドは中から、グリーンは外から追熟させていると聞いたことがあります。追熟の仕方にもいろいろあるのでしょうか?
    A:ゴールドはもともと糖度が高く、追熟レベル1でもおいしく召しあがっていただけるので、追熟せずに出していただいています。グリーンは追熟していただいています。

    Q:販促キャンペーンについて、すっぱいと売れないから、甘いということ強調するのではなく、健康志向を重視して、食べてみたら甘かった、という方向で八百屋の販売促進につなげていただけるとありがたいと思います。
    A:貴重なご意見として、マーケティングに伝えます。先ほどは説明不足でしたが、われわれは雑誌などで健康面を訴えています。TVCMはキャラクターを使用して若い人向けに、栄養について知りたい年配の方には雑誌などを読んでご購入いただく。現状、この2つのアプローチでやらせていただいています。

    Q:お客さまで離乳食を始められた方から、キウイを食べさせてもいいか、と相談されることがあります。キウイのアレルギーについて教えてください。
    A:キウイがアレルギー食品として定義されているのは、アクチニジンという酵素に敏感に反応する方がいるためです。アクチニジンの量がより多いのが「グリーンキウイ」です。われわれも試食販売の際には必ず「アレルギーは大丈夫ですか?」と聞きながらお配りします。アレルギーかどうかわからない状況でおすすめするのはリスクがあるので、食べさせる前にアレルギーの確認はしてください、と言うほうがいいと思います。

    Q:横浜で納め専門の八百屋をしています。大玉ばかりという去年のようなことが起きると、お客さまにも迷惑がかかるので、シーズンが始まる前に説明会などを開催して、八百屋や納め屋にも情報を提供していただけると非常にありがたいです。
    A:わかりました。貴重なご意見、ありがとうございます。

 

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