Q:冷凍食品向けの品種の開発というのは行われていますか?
A:冷凍は、業者さんや機械によって違うので、どこを目指していいのか、種苗メーカーとしては悩ましい。冷凍メーカーさんとの情報交換は行っています。
Q:ブロッコリーは、単価が出るから農家さんも作っていると思う。大体の再生産価格を教えていただけますか? それが消費者に伝われば、国産を買っていただけると思うのですが。
A:再生産のボーダーラインがわからないのですが、消費者は青果の値段が下がれば嬉しいし、国産野菜の需要拡大の可能性も広がるかもしれません。ただ、農家さんのことを考えると、鮮度を保つための設備投資も必要だし、新鮮で良質なブロッコリーがみなさまのお店に安定して届くためには、最低でも今の価格ラインでないと厳しいのではないかというのが印象です。
Q:サカタのタネは、ブロッコリーでは全世界を制していますが、ほかに今、ブロッコリーに力を入れている国内の会社はあるでしょうか?
A:トキタ種苗さん、野崎採種場さんなど、特徴的な品種を持っています。弊社のグループ会社ブロリードもあります。色々なメーカーと切磋琢磨しながらみなさまに貢献出来る品種の開発を行っています。
Q:50〜60年八百屋をやってきて、ブロッコリーの旬は春と秋だと理解していましたが、冬場の品質のほうがよかったり、アメリカからの輸入品のほうが黄色くなりにくかったりするのは、どうしてですか?
A:アメリカは流通が広まり、コールドチェーンも充実し、青果の扱いで、日本より先に行っていたと思います。また、輸入青果が多かった4〜6月頃は日本では作りにくいです。しかし、国産ブロッコリーの安定供給のために、新品種や産地の設備投資などの努力により環境を整えてきました。ブロッコリーは、消費者に届けるまでのところもポイントです。作物の特性上、花蕾を長期間緑のまま保つのは難しいのですが、輸入が多かった時代に比べると、産地の努力によって、国産のいい品物がお手元に届くようになっていると思います。
Q:アントシアニンは、体にいいといわれる抗酸化物質ですね。見た目の問題で出なくした品種のシリーズが1番売れているそうですが、「アントシアニンは体にいい」とPRして売ったりはしないのですか?
A:消費者に、そういった正しい情報を伝えていかなければ、とは思っています。ブロッコリーは他の野菜と比べてデリケートで、さまざまな症状が出てきます。紫色になるのは生理障害で、病気ではありませんし、植物を守るために栄養素を高めているので体にもいいかもしれないと、弊社のホームページなどでもご説明するページを作ったりといった啓蒙活動を行っています。また、あまりブロッコリーが広まっていない海外の地域でもブロッコリーの啓蒙活動を実施しています。消費者のみなさんに正しい情報を知っていただければ、農家さんもまた作りがいが出てくると思いますので、みなさんといっしょに、ブロッコリーの消費拡大をしていきたいと思っています。よろしくお願いします。
Q:茎が太いブロッコリーは、納品で「茎はいらない」といわれると量が半分くらいになり、ゴミの量もものすごい。店でも「茎は切って」といわれることがあります。サカタさんは、茎を食用として推奨していますか?
A:フードロスの問題もあり、茎もおいしく食べられることは啓蒙していかなければ、と思います。固い部分を除き、乱切りにして電子レンジでサッと加熱し、鶏がらスープの素で味をつければおつまみになりますし、天ぷらにすると食感がサクサクしておいしい。反面、茎が太いと農家さんの収穫などが大変なので、収穫作業性は良くしなくてはいけない。種苗メーカーとしては、茎が細くても立派な花蕾ができる品種を開発する必要がある、と思っています。
Q:紫カリフラワーはどうして紫になるんでしょうか?
A:品種改良をしていく中で、紫のものが出るとそれを選んで改良していきました。オレンジカリフラワーも、素質として色を持っています。
Q:茎の空洞化についてはどうお考えになっていますか?
A:スーパーなどからいわれるのは、アントシアニンの次に空洞化です。これも生理現象なので、腐っていなければ食べても問題ありません。ただ、なりにくい品種の開発とか、栽培上の注意点はわかっている部分もあるので農家さんにお伝えしています。
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