■2023年11月19日 第8回 きのこ・みかん 〜 講演「きのこde毎日をいきいきと健康に!」 ホクト(株) 古川智也氏
◇はじめに
  • 私は半年前にホクトに中途で入社しました。前職はスーパーで青果販売の担当で、きのこ以外のものもたくさん販売してきました。今日は私もいろいろと勉強したいと思っています。

  • 本日は「きのこde毎日をいきいきと健康に!」というテーマで、弊社商品を中心にご説明します。
 ホクト(株) 古川智也氏
◇ホクトのきのこは地産地消
  • ホクトは全国に21拠点、34のセンターがあります。売り場への輸送距離を短くして、新鮮なきのこをお届けするために、多数のセンターを作っており、各地で販売するきのこの産地は変わります。

  • 長野県には8センターあり、ここでほぼ全種類のきのこを作っています。

  • 販売しているのは、「ブナシメジ」、「マイタケ」、「ブナピー」、「エリンギ」、「霜降りひらたけ」、「生どんこ」の6種類で、それぞれにキャラクターがいます。
  • 「ブナシメジ」の生育期間は90日。苦味のないシャキシャキな食感に品種改良し、現在は5代目です。苦みをできる限り抑え、クセがなく、うま味が豊富です。特徴は、茎が太く、傘の大きさが揃っていること。1株ずつ栽培して、包装しています。

  • 「エリンギ」の生育期間は50日。自社開発の種菌と独自の栽培技術により、味にクセがなく、切り方でさまざまな食感が楽しめます。梱包の際に人手でサイズを厳選し、1つずつパックに詰めるので、よく揃い、茎と傘のバランスがいい、手間のかかった商品です。

  • 「マイタケ」の育期間は35日。肉厚、歯切れがよく、うま味たっぷりで、和洋中問わずお使いいただけます。包丁を使わず手でほぐせるので、調理も簡単です。傘の裏は白く、1株ずつ栽培し、二重包装で鮮度を管理しています。

  • 「プナピー」はホクトオリジナル。ブナシメジの中から色が薄いものを選んで掛け合わせました。シメジ独特のクセは抑え、甘みがあります。特徴は、真っ白で、傘の大きさが揃い、茎が太いこと。1株包装です。

  • 「霜降りひらたけ」もホクトオリジナル。日本産とヨーロッパ産のひらたけを交配しました。肉厚で、煮崩れしにくく味がよく染み込むので、鍋や煮込み料理におすすめです。特徴は、肉厚、ジューシーで、手でほぐせること、うま味が凝縮されていて、表面にはきれいな霜降り模様が入っています。

  • 「一番採り生どんこ」はホクトオリジナルのしいたけ。生育期間は90日です。しいたけを贅沢な味わいに品種改良、肉厚でジューシーな食感に仕上げました。一番採りにより、うま味がぎゅっと凝縮しています。独特の傘割れ「味の路」が、煮込んだ際に、出汁がよく染み込んで、すごくおいしくなります。
◇きのこの生育
  • きのこは、原木栽培か菌床栽培で作られます。菌を原木に植えるか、米ぬかやふすまなどを栄養とする菌床か。栽培の場所は、原木は野外、菌床は屋内。栽培期間は、原木は1〜2年、菌床は約3ヶ月。出荷時期は、原木は自然の中で作るため、春と秋。菌床は室内なので通年です。

  • 原木栽培は天然物に近く、独特の風味があり、特にしいたけは原木がいい、という方もたくさんいます。菌床は衛生環境を整えた室内で安定的に栽培します、クセがなく、食べやすいきのこです。

  • ホクトの菌床の原料は、コーンコブミール(とうもろこしの芯を乾燥させて砕いたもの)、米ぬか(米を精米した時に出る果皮、種皮、胚芽)、ふすま(小麦を製粉した時に出る表皮部分)の3種類をミックスしたもの。輸入もあり、原材料費がかかっています。

  • 菌床をプラスチック容器に入れて栽培します。ホクトはもともと資材や容器包装の会社で、容器から会社の歴史が始まりました。以前はガラス瓶でしたが、今はプラスチック容器で栽培しています。

  • 菌床にきのこの菌を植えると、最初は全体が茶色ですが、菌が増えて真っ白になったら、菌掻きをします。真っ白な表面を掻き取ると、その刺激できのこが活性化し、芽を出します。

  • ホクトでは容器をずらりと並べ、秋の森を再現するために温度や湿度をコントロールし、照明を点けたり消したりするなど、厳しく管理して成長させます。
◇きのこの栄養
  • きのこは低カロリーで、さまざまな栄養素やうま味成分が含まれています。

  • ホクトのきのこに含まれる注目の栄養成分を紹介します。ブナシメジは、オルニチン。効能は、アルコールの分解や解毒、成長や体格づくりを助け、エネルギー代謝アップ、疲労回復に効果的で、皮膚の再生と美肌作りを助けてくれます。他のきのこと比べて、特にオルニチンが豊富に含まれているのが、ブナシメジとブナピー。お酒を飲んだ後にはシジミ汁がいいといわれますが、その有効成分がオルニチンです。シジミが有名ですが、ブナシメジにはその5倍量が含まれています。オルニチン100ミリグラムを摂るのに、ブナシメジは100グラム。殻付きシジミは660グラム、220個分。1回で食べられる量ではありませんし、価格的にもブナシメジがおすすめです。

  • 年末年始にかけて、忘年会、新年会などが増えますし、年末に向けての仕事の追い込みとか、お酒を飲まない方も、ぜひ、疲労回復にブナシメジを食べていただきたいと思います。川柳を2つご紹介します。「疲れたよ シジミ汁より シメジ汁」、「飲み放題 コースの〆は シメジ鍋」。

  • ひらたけ、エリンギに多く含まれているのは葉酸です。葉酸は、健康な発育を促す、貧血を予防する、動脈硬化を予防する、神経細胞の働きを維持などの効果が期待されます。

  • マイタケに豊富に含まれているのはビタミンDです。100グラム中に25.9マイクログラムと、他の野菜などと比べると圧倒的に多く含まれています。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、免疫力をアップなどが期待されます。

  • 日本人の大半は、ビタミンD不足といわれています。原因は、日光に当たらない、日焼け止めの使用、魚の摂取不足など。ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収を助け、健康な骨の成長や維持、筋肉や運動機能の発達や維持に必要です。免疫力の維持や増強にも関与し、不足すると、サルコペニアやフレイル、病気のリスクが増えることがわかっています。お子さんだけでなく、健康維持のためにも全世代の方にマイタケをおすすめします。

  • 20代の女性21名に、ホクトのマイタケを1日あたり30グラム、4週間食べてもらう実験では、血中のビタミンD が約10マイクログラム増加しました。血中に増えたということは、体全体に行き渡ります。ぜひ、少量でも、日々の食生活にマイタケを取り入れてください。

  • ブナピーの注目の成分はカリウム。カリウムの効果は、高血圧の予防・改善、利尿作用によるむくみ改善、神経や筋肉のサポート。クセがなく食べやすいので、血圧でお悩みの方には特におすすめです。

  • 霜降りひらたけで注目の成分は、メディアでも取り上げられているエルゴチオネイン。野菜からは取りづらく、きのこには含まれますが、霜降りひらたけには他の倍以上です。エルゴチオネインは、老化を促進する体内の活性酸素を消去する可能性が報告されており、紫外線からの肌の保護、肌老化の予防、認知症予防・改善、フレイル予防、心血管疾患、がん疾患筋予防、萎縮予防、運動機能維持など、さまざまな面での老化予防が期待されています。人生100年時代、アンチエイジングや健康長寿、若さを維持する上で、エルゴチオネインは必要な栄養素です。

  • エルゴチオネインは、動物や植物の体では作られず。食べ物から摂取する必要があります。エルゴチオネインサプリメントの1日分5ミリグラムは、霜降りひらたけ10グラムです。

  • エルゴチオネインの効果に関して、スウェーデンで、3833名の血中成分を、21.4年間追跡調査した結果、摂っていない人に比べて、心血管疾患の割合が10パーセント程度減少。エルゴチオネインの血中濃度が高い人ほど心血管疾患・死亡リスクが低いことがわかりました。

  • エルゴチオネインは、動物実験で、紫外線による皮膚のダメージを抑える効果が確かめられています。マウスに霜降りひらたけ粉末を1パーセント配合した飼料を15週間摂取させ、5週間目から背部に10週間、週3回UVを照射した結果、UVによる肌水分量の低下が抑えられたということです。美白・肌老化予防成分エルゴチオネイン配合の日焼け止めなどとともに、ふだんの食生活での霜降りひらたけ摂取によって、相乗効果が期待できるでしょう。

  • 認知症患者の方は血中のエルゴチオネインが少ないという報告があり、認知機能の維持を表示した機能性表示食品が上市されています。認知症高齢者8名と、健常高齢者8名の血液成分を分析し、124成分を比較した結果、健常者は認知症患者より血中エルゴチオネインが多く、ふだんから摂取している方は認知症になりづらい、という結果が出ています。

  • フレイル患者は血中エルゴチオネイン量が少ないという報告もあります。平均84.2歳のボランティア19名について、131種の血液中代謝物の中で、フレイル診断テストの点数と関連が見られる成分を調査。その結果、フレイルの症状が強い人ほど血中エルゴチオネインが少なかったということで、フレイル予防に有効の可能性がわかりました。

  • 一番採り生どんこの注目の成分は、βグルカン。きのこ全体、特に生どんこに多い。βグルカンは食物繊維の一種で、免疫力アップが期待され、がん予防や、コレステロール値を下げるといわれています。

  • きのこは菌100パーセントの食材ですが、生きたまま腸内には届きません。生きていなくても、きのこの成分は腸内にある免疫細胞を活性化させ、免疫力を高める効果があるとされています。腸内で生きている菌の餌となる食物繊維も豊富なので、体力維持に活用されます。
◇きのこの使い方
  • 肥満解消メニューとして、「鶏肉ときのこのたっぷり生姜鍋」。低カロリーでビタミンD群豊富なきのこと、香辛料、香味野菜の組み合わせです。汗をかくことで肥満解消につながります。

  • 冷え性の方には、ナイアシンを含むきのこと根菜類を組み合わせて、「霜降りひらたけと根菜のポトフ」。体を芯から温めてくれるメニューです。

  • 腸内環境の改善には、「きのこたっぷりスタミナキムチ焼きそば」。きのこと、キムチ、味噌、チーズ、ヨーグルトなど他の菌食材との組み合わせは、菌と菌の相乗効果で腸内環境の改善が期待できます。

  • βグルカン、ビタミンD、食物繊維を含むきのこと、ビタミンC豊富な食材の組み合わせで、「カボチャときのこのミートグラタン」。免疫力アップが期待できます。

  • ビタミンDはカルシウムをサポートして骨を強くしてくれるので、カルシウムと組み合わせて、「きのこの食べるミルクスープ」。

  • 高血圧予防には、カリウムとマグネシウムの組み合わせで、「きのこのひじき煮」。

  • うま味成分には3つあります。トマト、昆布、チーズなどに入っている「グルタミン酸」。魚や肉に入っている「イノシン酸」。きのこにたくさん含まれている「グアニル酸」です。他の食材との組み合わせると、うま味成分の相乗効果でおいしくなるのでおすすめです。

  • きのこにはうま味成分が多いので、砂糖、油、塩などを控えられ、味付けが控えめでもおいしいし、低カロリーなので、量もあまり気にせずめしあがっていただけます。

  • きのこに含まれるグアニル酸は、約50℃から増え、60〜70℃で最も増えるので、水から煮出して、じわじわ加熱します。沸騰したところに入れると、あまりうま味成分が増えません。また、きのこによって、うま味成分のバランスは違うので、さまざまなきのこを組み合わせると、さらにおいしくなります。

  • ブナシメジ、ブナピーは下に石づきがあるので、山型カットがおすすめです。まっすぐ切ると、可食部が減りますし、まな板の上でばらばらになってしまいます。まず、石づきの部分に、逆V字に包丁を2回入れた後、手でほぐします。半分残しても、ばらけないので、保存しやすくなります。

  • エリンギは、切り方によって食感が異なります。縦切りにするとコリコリした食感。手で裂くと表面がでこぼこするので味が入りやすくなります。小さく切り他の食材と混ぜ合わせて、お好み焼きやチヂミの具、餃子の具、チャーハン、ハンバーグなどに。おすすめは輪切りです。やわらかでホタテのような食感が楽しめ、醤油バター炒めにすれば、「なんちゃってホタテバター」。ホタテよりも低カロリーで、手軽で健康的なおつまみとして、今、一押しです。弊社ではカットしたエリンギ、輪切りもあります。

  • ホクトのマイタケは、1株の石づきより上の部分をカットして袋に入れているので、そのまま手で簡単にほぐして使えます。他社では大きな株を栽培し、切ってトレイ包装しています。
◇きのこの豆知識
  • マイタケを入れた茶碗蒸しは、タンパク質分解酵素のはたらきで卵のタンパク質が分解され、加熱しても固まりません。これを逆手にとってややかたい肉をマイタケと炒めると、やわらかくなります。

  • ホクトのきのこは、水洗いは不要です。大事な栄養分が溶け出してしまうので、水洗いはせず、汚れが気になる場合は、布巾などで拭き取ってください。

  • ホクトのきのこは、無農薬です。きのこになるまでの間に、何かを加えているということもありません。きのこが生えてきたら、そのまま伸ばして収穫し出荷しています。

  • 生食できるのはマッシュルームだけです。おすすめはホワイトマッシュルーム。ブラウンは独特の風味が強いので、サラダなどに入れるのはホワイトがいいと思います。生食には傘が閉じて新鮮なもの。ただし、食べすぎると消化不良などを起こす危険性はありますし、糖類によって下痢になる体質の方もいますので、ほどほどに、気をつけてめしあがってください。他のきのこは、生食によって食あたりのような症状になる成分が微量ですが含まれていますので、火を通していただく必要があります。

  • 湯通しをしたときの、つるんとツヤがある状態が目安です。茹でる場合は、沸騰したお湯に入れ、2〜3分。電子レンジの場合、100グラムのきのこは、600ワットで2分半。私は醤油とバターできのこをレンジ加熱して食べるのが好きです。

  • きのこの傘に白いものが浮いていることがありますが、カビではありません。「気中菌糸」といい、きのこの細胞が空気と触れて出した糸です。家で保存したブナシメジやエリンギに出ても、きのこの一部なので、食べても全く問題ありません。

  • 賞味期限は、未開封、冷蔵庫保存で約1週間が目安です。開封したら早めに使い切り、残った場合は、冷凍保存が便利です。冷凍したきのこは、細胞が壊れてグアニル酸が増加しやすくなり、うま味が強くなることが期待されます。水洗いせずに、カットして、ジップロックなどに入れて、冷凍庫へ。冷凍したものを戻すと、うま味成分が外に流れてしまうので、冷凍のままフライパンなどに入れてください。

  • グアニル酸は乾燥だけでは増加せず、水で戻し、加熱することによって増加します。

  • 下味冷凍は、材料に下味をつけて冷凍する保存法で、そのまま調理できる、味が染み込んでおいしくなる、と人気が高まっています。きのこプラス他の食材の下味冷凍をおすすめします。
◇質疑応答より

    Q:ブナシメジにはオルニチン、霜降りひらたけにはエルゴチオネインが豊富に含まれるとか、そういうのを包装に明示していただけると、販売しやすくなると思うのですが?
    A:明示には法律上の厳しいルールがあります。ご意見は、持ち帰って参考にさせていただきます。

    Q:ホクトさんでは今後、マツタケの人工栽培とか、そういう展望はあるのでしょうか?
    A:私個人は、マツタケは、日常的に並ぶものではなく、この時期に少しだけ食べるというプレミアム感があってもいいのではないか、と思います。会社としての方針は、現状は未定です。

    Q:どんこの「味の路」は、普通のしいたけにはありません。その違いは、栽培の仕方にあるのですか?
    A:栽培の仕方と、菌や原材料の違いによって割れが作れます。

    Q:マイタケだけ二重包装にしているのはどうしてですか?
    A:株で収穫し袋で販売しているので、しっかりと固定するために、二重包装にしています。

    Q:ホクトさんではエノキダケの販売はしないのですか?
    A:昔はやっていたようですが、現状、栽培はしていません。

    Q:以前、唐辛子とかピーマン系のものときのこは食べ合わせが腸内であまり良くない、と聞いたことがありますが、本当なのでしょうか。また、きのこと合わせると良くない食べものがあれば教えてください。
    A:組み合わせが良くない食材は特にないです。勉強不足で断言はできませんが、野菜の成分などを詳しく調べたら、きのこを生かせないとか、腸内で喧嘩してしまう、という場合もあるかもしれません。

    Q:きのこの種菌は培養で育てるのですか?
    A:もともと原料とする種菌があり、それを培養して、1つずつ植えて出荷しています。

    Q:きのこの品種によって菌は違うのですよね? 最初の菌はどこから持ってくるのですか?
    A:品種によって菌は違います。天然から採った菌から、自社で研究を重ね、育てやすいものや、食感がいいもの、おいしいきのこを作るために品種改良を続けています。

    Q:最初は山の中にある菌を採って自分のところで培養していく、というイメージですか?
    A:最初はそうだと思います。もしくは、販売されている菌から栽培して研究することもあると思います。

    Q:外国から菌を買うこともありますか?
    A:外国からはありません。

    Q:栄養価は、天然物も培養したものも、それほど変わらないのでしょうか?
    A:大きな部分は変わらないと思います。きのこや野菜の栄養素は、天然由来のものなので、意図的に何かを大幅に増やしたりするのはなかなかむずかしい。

    Q:昨今のきのこは、特徴的な味がないと感じるのですが、ポット栽培だからでしょうか?
    A:きのこは独特の風味が強い食材です。ホクトでは、人によって好き嫌いが分かれてしまうクセや香りを極力抑えて、食べやすさにフォーカスしています。ただ、味がないのは問題なので、今後も研究を重ねてよりおいしいものを提供できるように努めます。

    Q:しいたけは傘の裏にある胞子を出すと聞きました。傘がないきのこはどこから胞子を出すのですか?
    A:他のきのこは小さくて見つけにくいかもしれませんが、同じように穴やひだがあります。

    Q:エノキダケはやっていないということでしたが、なめこ、マッシュルームなども作らないのですか?
    A:コスト高の問題などもあり、1から栽培を始めることはないと思います。きのこの会社ですから、扱う種類を増やせたらいいとは思いますが、なかなかむずかしい。

    Q:採算に関しては、農協ではなく、生産から販売まで行っているわけですから、なんとかなるのでは? 今、決してきのこが安くはないのはなぜですか?
    A:菌床の原料には輸入に頼っているものもあり、原料が高くなっています。包装の資材、人件費、栽培の段階での水や電気なども高騰しています。申し訳ないとは思っていますが、昨今は、例年と比べると、どうしても単価を上げざるを得ないというのが正直なところです。

    Q:屋内だから安定して作れるのに、値段が一定ではないのはなぜですか?
    A:他の野菜と同様、需給バランスによって価格は変動します。需要が下がる春夏はいらない、秋冬だけ、といわれても困ってしまいます。需要に合わせた生産を試みていますが、今の時期に大量に作り、ある程度の値段でお出しするのはむずかしいのが現状です。

    Q:エリンギの生育期間は短くてシメジ90日の半分ですが、エリンギのほうが高価になる理由は?
    A:生育期間は短いのですが、キャパシティは決まっており、他のきのこをエリンギに切り替えることができません。先月のように他の野菜がなくて例年以上に出ると、不足して、ご迷惑をおかけしてしまいます。

    Q:大株をカットして売っているマイタケと、ホクトさんのマイタケで食味の違いはありますか?
    A:あるとは思いますが、株で出しているのは、差別化のためです。株のままなので人手がかからず、スト減できますし、そのままほぐせます。また、同じ土俵で戦ってもむずかしい、というところもあります。

    Q:霜降りひらたけは日本と西洋のひらたけのハイブリッドということですが、どうやって作るのですか?
    A:勉強不足なのですが、さまざまなひらたけのいいところを組み合わせて、より食べやすく肉厚でジューシーに仕上げるために、いろいろなところからひらたけの菌を持ってきているのではないかと思います。

    Q:納品や加工をやっているので、きのこにはたくさんプラスチックが使われているのが気になります。加工の際の異物混入や、資源の問題もあります。ホクトさんには業務用として、例えば大袋になっているとか、ほぐしたシメジとか、そういう商品はありますか?
    A:業務用として、3キロ、5キロ入っているものもあります。ラインナップとしては、小さめのエリンギだけとか、一般のものではありません。きのこの種類によって違うので、弊社の担当と相談していただければ、ご希望を叶えられるようにしたいと思います。

 

【八百屋塾2023 第8回】 挨拶講演「きのこde毎日をいきいきと健康に!」勉強品目「きのこ」食べくらべ