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■2023年4月23日 第1回 開講式 〜 勉強品目「キャベツ」 伝統野菜プロジェクト 領家彰子氏、東京青果(株) 遠藤涼也氏
◇伝統野菜の「キャベツ」について
[伝統野菜プロジェクト 領家彰子氏より]
キャベツは、伝統野菜の数が少なく、今日の資料は1枚にまとめてあります。
最初のキャベツは結球しておらず、野生のケールのような状態のものから、だんだん葉が大きくなり、巻いたキャベツに変わってきました。アブラナ科アブラナ属という性質上、交雑を繰り返しています。おそらく、野生種がたくさんあるところが起源と考えられ、地中海沿岸やヨーロッパの大西洋沿岸に自生する野生種から進化したもの、とされています。
伝統野菜プロジェクト 領家彰子氏
明らかな記録として残っているのは、13世紀にイギリスで結球したキャベツです。それがカナダやアメリカに伝わり、品種改良が進んで栽培種のキャベツができました。
オランダから17世紀に中国に、日本(長崎)には18世紀の初めに入ってきました。長崎に伝わったのは、非結球性、赤紫色、ちぢれ葉で、食用というよりも鑑賞用でした。それが花物として葉牡丹になりました。
食用のキャベツは、安政年間(江戸時代後期)に種が入ってきましたが、定着しませんでした。その後、明治初期に、開拓使によって北海道で「札幌大球」が作られるようになりました。非常に大きく、冬場に貯蔵しておいても中までは凍らないので、野菜が不足する時期に重宝されました。また、ニシン漬けという漬けものに適していたため土着化し、「札幌大球」の栽培はいまも続いています。
明治政府は欧米からさまざまなキャベツの種子を取り寄せて、栽培を奨励しました。洋食が日本に入り、キャベツは揚げもののつけあわせや煮込み料理などに適していたため、次第に定着していきました。ヨーロッパでは、長期間貯蔵ができる「ザワークラウト」と呼ばれる酢漬けで定着しました。
キャベツは、自家不和合性という性質を持っており、同じ株同士では種ができず、異なる系統のかぶと出合うことで種ができます。その性質を逆に利用して一代雑種を作り出し、秋播きや夏播きといったさまざまな作型が開発され、日本の中で重要な野菜になっていきました。
「いわて春みどり」は、戦前、「南部甘藍」として知られていました。岩手は、北海道、長野に次ぐ一大産地でしたが、病害虫で大打撃を受けました。それが、1984(昭和59)年に岩手町のブランド野菜として復活、今また夏場のキャベツとして栽培されています。
北海道は開拓使によってキャベツ栽培が盛んになったのですが、長野で高冷地のキャベツ栽培が根づいたのは、外国人の避暑地に選ばれたことが影響したのではないかと考えられています。
愛知も一大キャベツ産地で、大正時代に育種された「野崎中生キャベツ」が未だに残っています。
「彦島夏蒔甘藍」は山口県の伝統野菜です。彦島は、下関の先、関門海峡のところにある島です。昔は船の需要なども多くあったといいますが、いろいろな他の品種が出てきたためすたれ、その後、山口県が伝統野菜として復活させたものです。
広島の「広甘藍」は、アメリカから入ったとされる「サクセッション」と「バンダーゴー」の自然交雑によって誕生したキャベツです。広島も一大産地として発展しましたが、食味の面や、スーパーでの扱いが大変などの理由ですたれてしまいました。ただ、種が保存されていたので、復活しています。
アブラナ科のキャベツは交雑を繰り返すので、元の形が残りづらい作物です。伝統野菜がとても少ないのですが、今日は、「野崎中生キャベツ」や「愛知大晩生」が揃い、とても良かったと思います。
◇「キャベツ」について
[東京青果(株) 遠藤涼也氏より]
大田市場でキャベツの販売をしています。本日の勉強品目についてご説明します。
「寒玉キャベツ」は愛知県産。今が最終盤です。比較的かためで、水分量の多くない品種。この出荷が終わると、7月頭ぐらいに長野県産が始まるまで、かための品種は出てこなくなります。
「春系キャベツ」は、現在最盛期の神奈川県産、品種は「金系201」です。栽培されるキャベツの中で最もやわらかい品種。3月中旬ぐらいから出荷が始まり、5月の頭まで。やわらかいために傷みやすいのですが、食味は一番いいと思います。関東以北のエリアではこのキャベツが好まれます。ところが、関西エリアに持っていくと、巻きが甘い、やわらかすぎる、外葉が多いなどといわれ、全く売れません。
「高原キャベツ」は、長野、群馬など高冷地で栽培されているキャベツをひとくくりにした通称です。寒玉系と春系を掛け合わせたような性質で、一般的にはかためのキャベツとして販売されますが、「寒玉キャベツ」よりは水分量が多く、食味もいい。夏場は、「高原キャベツ」が一般流通の7〜8割を占めます。先ほど、伝統野菜のお話の中に登場した「いわて春みどり」も、夏場、「高原キャベツ」と同時期に出荷されます。こちらは1〜2割。お客さまの好みによって棲み分けがされていますが、気温が高い時期に春系を作るのは非常に難しいので、「いわて春みどり」の流通量は多くありません。
「タケノコ型キャベツ」は、背が高く、頭が尖がったタケノコのような形をしています。大量に流通はしていません。一般的なキャベツと違い、栽培する上で、管理作業に非常に手間がかかります。甘みがあり、歯ざわりもいいのですが、やわらかいために店もちがよくありません。作付け量や流通量がなかなか増えず、私も実際、市場で販売する中で取り扱ったことはありません。
「グリーンボール」は形状が球体で、関東エリアでは一般的ではない品種。食味は「タケノコ型」に近く、甘みがあってやわらかい。管理作業が難しいため、作付けが少なく、流通量は多くありませんが、リレー出荷されています。見かけたらぜひ買ってみてください。今日の「グリーンボール」は兵庫県淡路島産、5月いっぱいで終了です。夏場は長野にリレーして、12月くらいからまた兵庫県が始まります。
「紫キャベツ」は紫色のキャベツです。作付け量は「グリーンボール」より少し多いくらいですが、特徴的な色を生かしてサラダの彩りなどに使われるので、周年出荷できるように作付けされています。
「サボイキャベツ」は、別名「ちりめんキャベツ」。加熱料理に向いており、ロシア料理のボルシチなど、スープ系の料理に使われます。作付けは「グリーンボール」より少なく、国産の周年出荷は難しいため、夏場はフランスなどから輸入されています。輸入品は価格が高くなりますが、どうしても使いたいという要望はあります。
「ケール」は、青汁の原料です。調理して食べるのはなかなか難しいのですが、青汁の流行から、市場に出荷され始めた印象です。健康食品に近い形で売れていましたが、最近はサラダ用に改良し食べやすくした「カリーノケール」も出荷されています。「カーボロネロ」も、「ケール」の一種です。
「芽キャベツ」は現在、出荷がありませんが、ピンポン玉ぐらいの小さなキャベツです。畑では軸に「芽キャベツ」が鈴なりについており、なかなか独特です。静岡県からの出荷が多く、出回り時期は12〜3月頃。加熱して食べるとホクホクとした食感でおいしいです。
「プチヴェール」も、今の時期、国産の出荷はありません。「ケール」と「芽キャベツ」を交配したもので、非結球型。葉が花びらのように開いて丸くならないのが特徴です。
「コールラビ」は、愛知県産。茎が肥大して丸くなり、カブのようなサイズに育った部分を食べる野菜です。キャベツの親戚です。少しずつ認知されてきているとは思いますが、まだ一般的ではないかもしれません。洋食屋さんなどで主に使われています。
◇「
キャベツ
」の写真
寒玉
(愛知)
春キャベツ
(神奈川・三浦)
みさき
(埼玉)
グリーンボール
(兵庫)
紫キャベツ
(愛知)
サボイキャベツ
(愛知)
カリーノケール
(千葉)
カーボロネロ
(千葉)
コールラビ
(愛知)
愛知大晩生
(愛知)
【八百屋塾2023 第1回】
挨拶
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講演「これからの八百屋の可能性」
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