■2023年11月19日 第8回 きのこ・みかん 〜 勉強品目「きのこ」 東京青果(株) 白井翔太氏
◇「きのこ」について
[東京青果(株)  白井翔太氏より]
  • 今年の4月あたりから、きのこが高くなりました。その理由は電気代、資材費、菌床ブロックの原材料などの高騰。一方で、昨年の夏は野菜もきのこも安く、赤字になるのでやめてしまう生産者さんが増え、大きい企業では生産量を調節して減らす方針に切り替えました。今年は野菜が高く、きのこの需要があったため、逼迫して単価が高くなりました。

  • ホクトさんのマイタケは、売り場のシェア3割ぐらい。二重包装なので、1番の強みは店持ちです。先ほど、冷蔵庫で1週間が目安というお話でしたが、実際は2週間ぐらいもつと思います。マイタケの香りは少ないのですが、逆に、いろいろな調理に使えるのではないでしょうか。ポット栽培の株採りで、カットされていないのも、店持ちを上げる要因のひとつです。
東京青果(株)  白井翔太氏
  • 雪国さんのマイタケはシェアの4割ぐらい。スーパーで最も売られています。大きな株をカットしたパック詰めで、強みは、カットしてグラム数を変えられることです。たとえば、100グラムは今の相場で100円を超えるので、98円売り70グラムの規格にするなど、お店の売価にあったアイテムを選んで販売できます。大パックで売りたいときは200グラム、140グラムもあります。食味に関しては、店もちさせるため水分を減らしているそうで、マイタケのパリッとした食感がかなり強く出ています。

  • 一正さんのマイタケはシェアの1割ぐらい、3番手です。先の2社に比べて、うま味や香りは強いようですが、店もちがあまりよくない。置いておかずに売り切るのがいいと思います。

  • メーカーからスーパーへの直接販売なので、市場の優先度はやや低く、不足する状況に陥ることがあります。今年はエリンギなど、全体的にきのこが足りないことが多く、今後、販売の仕方や契約等も含めて検討するいい機会になったかもしれません。

  • その他のきのこについて。アワビタケは、名前の通りアワビのようなコリッとした食感が特徴です。油とも相性がよく、鍋や汁物というより、ガーリックバター炒めなどがいいと思います。

  • バイリングは、白アワビタケともいわれるエリンギの仲間です。こちらもコリッとした食感で、おいしい。フライにしても食感がいいアクセントになります。

  • 「天恵磨iてんけいこ)」は大きなしいたけです。しいたけ好きにはたまらない歯ごたえがあり、ステーキやフライなどがおすすめです。高価格ですが、料理屋の納めなどで人気があります。今入荷が少ないのは、生産者さんが農協に出さず、自分たちで売り始めたことも影響していると思います。需供のバランスで相場が上下するので、作り手には難しいアイテムでしょう。

  • ジャンボなめこは、一般的ななめことは全く違う、大きななめこで、炒めものなどにすると非常においしい。秋冬になると生産量が減り、欲しいときにないとか、高いことはあります。

  • ハナビラタケは、コリッとした食感とザラザラの舌触りが特徴的です。味にクセはなく、おしゃれなサラダや火鍋の具などにおすすめです。生食不可なので、サラダにも湯がいて火を通してください。

  • 大黒しめじは雪国さんのきのこで、他のきのこに比べうま味を強く感じます。やや高価ですが、すき焼き、天ぷらなど、ちょっとぜいたくな感じが味わえます。

  • ヤマブシタケは、アンチエイジングやアルツハイマー予防で注目される成分、ヘリセノンが唯一とれるきのこ。個人的には食味はよくないと思いますが、老人ホームや病院食の納めによく使われています。

  • 先ほど話に出たエルゴチオネインが1番多く入っているきのこは、タモギタケです。クセとにおいがかなり強いきのこで、薬のように扱われています。火を通すと色は変わります。

  • キクラゲは、コリッとした食感とクセのない味で、中華の炒めものなどに使われます。販売は伸び、生産者さんも増えています。夏が旬ですが、きのこの季節である秋冬にも扱いをおすすめします。

  • 白キクラゲはキクラゲの仲間です。成分など、詳しくはわかりませんが、美容効果があるといわれています。デザートにしてもきれいなので、結婚式場の料理などにもよく使われます。

  • トキイロヒラタケは炒めると黄色っぽい色になります。かなりクセが強く、きのこ好きにおすすめです。

  • 茶エノキは原種に近いエノキといわれています。シャキシャキとした食感が特徴で、鍋の具など普通のエノキダケと同じように使っていただけます。ふつうのエノキより甘みを強く感じると思います。

  • ヤナギマツタケは、マツタケに似た食感。クセは強くはなく、比較的、食べやすいきのこです。

  • 新潟のひらたけは、自然栽培に近い形で秋冬だけ生産しており、り、かなり味が強い。天ぷらや炊き込みご飯におすすめです。

  • 雪国の白マイタケは、まったく違う菌だそうです。白マイタケは、普通のマイタケのように料理しても黒ずむことがなく、他の食材や料理に影響しません。雪国さんが今年1番力を入れて生産しているので、ぜひ、販売してください。

  • 黒マイタケは、大平きのこ研究所のきのこで、去年、工場を設立し、増産しています。色が黒く、味が強いのが特徴で、しっかりとマイタケの味がします。マイタケ好きにはおすすめです。
◇質疑応答より

    Q:原材料等の高騰で今年きのこが少し高いということですが、12月や1月に入って下がりますか?
    A:年末商材のエノキダケ、しいたけなどは、年末は高騰します。その他のきのこは、他の野菜の出方にも大きく左右されますが、おそらくそのままか上がるという形だと思います。

◇「きのこ」等について補足説明
[(株)果菜里屋 高橋芳江氏より]
  • マイタケは、島根の奥出雲、檜原村、群馬からも仕入れました。このあと食べくらべてみてください。

  • いずれも菌床です。例年栃木からいただく原木のマイタケは、食感がシャキシャキで香りもあり、本当においしいのですが、去年と今年は気候のせいで全部ダメになってしまったそうです。原木栽培はむずかしい面が多く、菌床が増えているのだと思います。

  • 群馬のマイタケは箱入りです。
(株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 檜原村は東京都、青梅のずっと奥に位置する地域です。東京でもきのこを栽培しているんですね。小さいのが特徴かもしれません。

  • 奥出雲は、現地の方からぜひ紹介してほしいといわれました。傘が大きくて立派なマイタケで、しっかりした味だそうですが、だいぶ日にちが経っているので、その点はご了承ください。

  • 島根にはさまざまな名産品があります。有名な「出雲そば」のほか、お米も、マイタケタなどきのこもおいしい。伝統野菜も多く、私が大好きなのは、「津田かぶ」です。曲玉の形をしたツートンカラーのかぶで、甘酢漬けにするととてもおいしいです。出西生姜、島根大学の先生が開発したからみ大根、ほおずき、イチジクといった果物も豊富です。奥出雲のマイタケを持ってきた方はカレーの開発もしていて、じゃがいも、玉ねぎなどとカレーを売ると、その野菜も一緒に売れるのでは、と言っていました。なたね油も持ってきてくださったので、今日はその油を食べくらべや試食に使っています。
◇「きのこ」「みかん」の写真
マイタケ
(ホクト/静岡)
マイタケ
(ホクト/静岡)
マイタケ
(雪国まいたけ/新潟)
マイタケ
(雪国まいたけ/新潟)
マイタケ
(一正/新潟)
マイタケ
(一正/新潟)
マイタケ
(奥出雲/島根)
乾燥マイタケ
(奥出雲/島根)
マイタケ
(群馬)
マイタケ
(檜原村/東京)
黒マイタケ
(埼玉)
黒マイタケ
(埼玉)
白マイタケ
(雪国まいたけ/新潟)
白マイタケ
(雪国まいたけ/新潟)
あわちび天
(徳島)
あわちび天
(徳島)
あわび茸
(長野)
あわび茸
(長野)
かきの木茸
(長野)
かきの木茸
(長野)
きくらげ
(茨城)
きくらげ
(茨城)
コプリーヌ
(長野)
コプリーヌ
(長野)
ジャンボなめこ
(長野)
ジャンボなめこ
(長野)
ジャンボマッシュルーム
ジャンボマッシュルーム
たもぎ茸
(山形)
たもぎ茸
(山形)
とき色ひら茸
(長野)
とき色ひら茸
(長野)
なめこ
(岐阜)
なめこ
(岐阜)
はなびら茸
(静岡)
はなびら茸
(静岡)
ぶなしめじ
(長野)
ぶなしめじ
(長野)
ブナピー
(ホクト/長野)
ブナピー
(ホクト/長野)
マッシュルーム
(千葉)
マッシュルーム
(千葉)
ヤマブシタケ
(山形)
ヤマブシタケ
(山形)
黒あわび茸
(長野)
黒あわび茸
(長野)
山えのき
(新潟)
山えのき
(新潟)
霜降りひらたけ
(ホクト/新潟)
霜降りひらたけ
(ホクト/新潟)
大黒本しめじ
(京都)
大黒本しめじ
(京都)
丹波しめじ
(京都)
丹波しめじ
(京都)
天恵
(徳島)
天恵
(徳島)
白きくらげ
(愛知)
白きくらげ
(愛知)
柳まつたけ
(長野)
柳まつたけ
(長野)
ひらたけ
(新潟)
原木しいたけ
(群馬)
真穴みかん
(愛媛)
西海みかん
(長崎)
 

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