■2023年12月17日 第9回 青菜・きんかん 〜 食べくらべ
◇「青菜」「きんかん」の食べくらべについて
[タナカトウコ氏より]
  • 青菜の食べくらべ、1番から3番は小松菜で、今回ブラインドでチェックしていただきます。茹でて、めんつゆとお醤油の出汁にさっと浸してあります。4番と5番は、ベカナ(東京)、ゆき菜(宮城)。これも同じ出汁に浸してあります。味は、素材の味がわからなくならないように、薄めになっています。

  • キンカンは、1番が宮崎。「たまたま」ではなく普通のキンカンです。2番が鹿児島(入来)のハウスキンカンです。
タナカトウコ氏
小松菜の食べくらべ
青菜の食べくらべ
漬けもの試食
きんかんの食べくらべ
◇レシピの説明
[石井玲子氏より]
  • 今月のレシピは、冬至七種がテーマということで、けんちん風のうどんと、さまざまな野菜をゴマドレッシングで和えたもの、2つをご用意しました。

  • うどんは、冬至七種といえばこれが定番メニュー、となってほしいと思います。

  • お客さまにも、けんちん風うどんだったらお家で作りやすい、と思っていただけるのではないかと思います。

  • 今日は醤油ベースのお出汁で、かぼちゃ、れんこん、にんじんのほか、鶏のつみれ団子、油揚げ、ネギを使用しています。

  • かぼちゃは、煮崩れないように別に加熱しました。他の野菜と鶏のつみれ団子、油揚げ、ネギは、鍋の中でごま油で炒めてから、出汁で煮込んでいます。

  • 味噌味、カレー味など、さまざまなアレンジが効くと思います。

  • 東京のかたはうどんよりそば文化だと思うのですが、私は、東京生まれ東京育ちで、うどん派です。保育園の給食でも、うどんは登場するので、食育の面でも、使いやすいレシピではないかと思っています。
けんちん風うどん


ゴマドレッシング和え


  • ゴマドレッシング和えは、かぼちゃ、れんこん、にんじん、ぎんなんを使いました。今日は市販のゴマドレッシングを使い、調理班の黒津のアレンジで、すりゴマを加えて、ゴマの香りをより強めています。簡単に作れるのでお客さまにも説明しやすいと思います。

  • 今日の野菜は、ごま油でじっくり加熱して柔らかさを出しています。会社では、このようにじっくり油で火を通した野菜を、バルサミコ酢とオリーブオイルで和えて、スペイン風の前菜として、ビュッフェ料理でお客さまに出すこともありします。いろいろなアレンジがきく調理法だと思います。

  • 今日はクリスマスも近いので、グラタンという案もありました。「冬至七種」というと和風な感じがしますが、食材はグラタンにもアレンジできます。じっくり茹でる、焼くなどして火を通し、市販のホワイトソースの缶詰とチーズを使って焼けば、グラタンになります。にんじんを星型に抜いたり、れんこんは周りの縁の部分を逆に型で取って雪の結晶みたいにして、アレンジを楽しんでいただければ、と思います。

  • 詳しいレシピは、調理班が後ろにいますので、どうぞお声がけください。
 
◇食べくらべと試食の感想
  • 小松菜は、最初に緑のシールのものから食べて、それを標準としました。2番目は少し柔らかく感じて、3番目は繊維をやや強く感じました。好みは、赤が1番、緑が2番、黄色が3番でした。ベカナは単純においしく、小松菜よりも軽いというか、食べやすい気がしました。ゆき菜はぬめりを感じ、個人的にあまり好きではないです。料理は両方ともおいしくいただいて、特に、ゴマドレッシング和えにすりゴマが入っているのがすごく良かったと思いました。どれぐらい入れればいいのかなと思ったら、適当に混ぜながらでいいんですね。すごく勉強になりました。

  • 小松菜は緑の野菜の中で1番好きじゃないんです。買うたびに出来上がりを想定して調味料を確定するのが1番難しい野菜で、前回この小松菜を使った時においしかったからといって、次も同じ分量で同じにできるかというと違った感じになるので、調理する人間としては困るからです。今日食べて自分が好きだと思ったのは3番。あまり小松菜っぽくない、という感想です。今日は軸のところがちょっと少ないせいもあるかもしれません。2番はすごく小松菜っぽくて、私としては1番使いたくない食材でした。1番が普通というか、よく出会う味かなっていう感じがしました。ベカナはとても食べやすくておいしく、ゆき菜は緑の野菜の主張がけっこうありました。山形からもゆき菜という名前で、ちょうどこの時期に出ると思うのですが、それとは違う味でした。きんかんは、緑色のものが柑橘らしいというか、きんかんらしい苦みがあって、私は好きでした。黄色いシールの鹿児島のきんかんは、多分、今がベストじゃないのかもしれないのですが、ちょっと味が薄いと思いました。

  • 個人的に好みだったのは、緑のシールの小松菜です。いわゆる小松菜という味で、繊維が割としっかりしていて、茎がシャクシャクしていた。黄色いシールの小松菜は、ちょっと葉っぱにぬめりを感じて、繊維が少なめで、水分を多く含む味で、薄いなという感じがしました。3番目の赤いシールの小松菜は、繊維や味ともに食べやすくて、バランスがいいと思いました。私は、ベカナが個人的に苦手な食感で、とろんとしているのがやや気持ち悪く感じてしまいました。ゆき菜は甘みがあって、食感もシャキシャキで、私は好きでした。
 
◇終わりに
  • 小松菜の食べくらべは、1番が江戸川小松菜、2番が茨城、3番が後関晩生小松菜でした。(タナカトウコ氏)

  • 小松菜の食べくらべ、味の判断というのは難しいものですね。個人差もありますし、伝統種だからといってみんながおいしいと思うのかというと、そういうわけでもない。そうしたことが感じられた食べくらべだったと思います。みなさまもこれをご参考に、ご自身のお仕事に役立てていただけたら、と思います。また、冬至七種の周知のほうもぜひよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。来月の八百屋塾は1月21日です。(実行委員長 柴田)