■2018年3月11日 第12回 修了式 〜 茶話会
 最後は恒例の茶話会です。八百屋塾元実行委員長、安蒜俊夫さんの音頭で乾杯。調理の先生方に感謝状と花束の贈呈が行われ、古川恭子さんからご挨拶をいただきました。その後、テーブルに並んだパーティ料理やフルーツをいただきながら、親睦を深めました。
八百屋塾元実行委員長 安蒜俊夫さんのご挨拶
みんなで乾杯!
調理の先生方へ感謝状の贈呈-1
調理の先生方へ感謝状の贈呈-2
[古川恭子氏より]
 私たち調理スタッフ4人は、女子栄養大学の関係者です。八百屋ではないのに、この八百屋塾で長年調理し続けてきたのはなぜか、少しお話します。

 野菜には、植物、商品、食べものとしての3つの顔があります。八百屋さんは主に商品、私たちは食べものとして野菜にかかわっています。「食べものとしての野菜」の中にもいろいろな面があって、私はたとえば何と何を組み合わせて食べたらいいのか、どうやって食べるのか、だれと食べるか、ひとりで食べるのはどうしておいしくないのか、そんな視点からも見ています。
古川恭子氏
 今から40年前、江澤正平先生が女子栄養大学の上田フサ先生のところにいらっしゃいました。江澤先生は、「私は商売として野菜を扱ってきて、野菜のおいしさについては考えなかった。気がついたら、おいしい野菜が消えてきている。自分の残りの人生は、おいしい野菜を残すこと、広めることにささげたい。おいしい野菜をほしがる消費者を増やし、本当の価値が分かる八百屋を育てるために、協力してもらえないか」ということでした。このとき、江澤先生は70歳くらいだったと思います。

 そこから食べくらべが始まったわけですが、学校の中だけでやっているのではもったいないということで、みんなに声をかけるようになり、18年前にはやっぱり八百屋がやらないとダメだ、ということで、現在のこの場所でやるようになりました。そのときからずっと女子栄養大学のメンバーが調理をお手伝いしてきました。

 残念ながら江澤先生は95歳で亡くなりましたが、先生の志を受け継ぎ、その思いに共感したみなさんがここまでつなげてきてくださったのだと思っています。私も江澤先生に共感したひとりで、13年間、お手伝いさせていただきました。

 異常気象、農家の高齢化、海外の野菜の輸入、働く女性の増加で料理をする人が減ったことなど、野菜を取り巻く環境は変わってきています。今後、八百屋塾がどこへ向かっていけばいいのか、みんなで考えなければならない時期に来ているのではないでしょうか。

 野菜は生き物ですから、あらかじめ用意はできません。八百屋塾は日曜の午前中なので、みなさんに食べていただくものを整えるには、朝の早い時間から準備しないといけません。また70人分を用意するのはかなりの肉体労働なので、このあたりで若い方にバトンタッチしたいと思います。幸いとても優秀な方が後を継いでくれるので、バトンはしっかり渡します。長い間、本当にありがとうございました。

 最後に、江澤先生の言葉をみなさんへプレゼントします。
 「八百屋は効率の悪い商売で、現状の企業体質では置いていかれがちな商売だけど、客をひとりひとりよく知っているからこそできるきめ細やかなサービスや、店頭での会話、食材の正しい知識を伝えること…。心のこもった楽しい買い物ができるのは八百屋じゃなきゃできないから、みんながんばれ!」

 以上です。ありがとうございました。
茶話会のようす
茶話会のテーブル
茶話会のお料理-1
茶話会のお料理-2
茶話会のお料理-3
茶話会のお料理-4