■2017年5月21日 第2回 メロン・えんどう豆 〜 講演「メロン」について 農研機構 野菜花き研究部門 野菜育種・ゲノム研究領域 ウリ科・イチゴユニット 杉山充啓氏
◇はじめに
  • 農研機構の正式名称は、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構といいます。

  • 農研機構が育成した代表的な果物としては、「シャインマスカット」、桃の香りがするいちご「桃薫」、輸送性にすぐれた果実の大きないちご「恋みのり」などがあります。

  • りんご「ふじ」、いちご「おいCベリー」、「とよのか」、「さちのか」、くり「ぽろたん」、はくさい「あきめき」などの育成や、農業全体の研究も総合的に行っています。

  • メロンでは、萩原農場と共同育成した「アルシス」や、「フェーリア」という品種を作りました。
農研機構 野菜花き研究部門
野菜育種・ゲノム研究領域
ウリ科・イチゴユニット
杉山充啓氏
◇メロンのプロフィール
  • メロンはウリ科キュウリ属に含まれます。学名は「Cucumis melo L」、英名は「Melon」。染色体数は12本。一年性草本で、樹木ではありません。雌雄異花で両性花雄花同株あるいは雌雄同株、基本的に3心皮、子房下位の偽果、主な可食部は中果皮といわれています。

  • 日本の品種は、基本的に両性花と雄花をつけます。両性花にはめしべとおしべがあります。一部の品種は、雌花と雄花をつけます。

  • 果実には中央に胎座があり、可食部は中果皮と呼ばれます。果実断面をよく見ると3つに分かれているのがわかります。果実によっては4つや5つに分かれるものもあります。

  • 基本的に側枝の第1節に雌花を着生します。
◇メロンの栽培
  • 栽培は基本的に、立体栽培と地這い栽培の2種類です。

  • 立体栽培は、1株に1〜2果。ガラス温室やビニールハウス等の施設を使用し、露地で栽培をすることはほとんどありません。加温設備が必要で、苗のコストは高くなります。「アールス」、アールス系、「肥後グリーン」などが立体栽培されています。

  • 地這い栽培とは地面を這わせる方法で、1株4果の2本仕立てになります。ビニールハウス、トンネル、露地などによる無加温栽培で多重被覆、苗のコストは低く抑えられます。「アンデス」、「タカミ」、「プリンス」、「クインシー」などが地這い栽培されています。

  • 最近はつる割病、えそ斑点病の防除が主な目的で、一部、台木として共台(メロン)を使用することもあります。「プリンス」等の一部ではカボチャ台木を使用しますが、メロン以外の台木では果実の品質や食味が低下することがあります。

  • メロンは、播種・育苗が2週間〜1か月。定植〜開花期が1か月〜2か月で、今はミツバチ交配が主流です。その後、幼果肥大期〜硬化期、ネット完成期〜果実肥大期、糖度上昇期〜収穫期と、花が咲いてから45〜60日で収穫できるようになります。ノーネット系など、早い品種では35日くらいで採れるものもあります。

  • メロンのネットはどうやってできるかというと、果皮の表面にヒビができ、このヒビを修復することでネットになります。ヒビの入り具合が品質に大きく影響します。必ずしもネットがきれいに入っているメロンのほうがおいしいとはいえません。糖度上昇期に適切な管理が必要です。
◇メロンの起源と日本への伝搬
  • メロンの起源には、アフリカ説と、インド・中近東説があります。メロンはキュウリ属(Cucumis属)で、「Cucumis melo」がメロンです。アフリカ原産のキュウリ属に、「Cucumis africanus」、「Cucumis metuliferus(キワノ)」、「Cucumis myriocarpus」、「Cucumis zeyheri」などがあることから、メロンもアフリカ原産なのではないかという説。一方、 インド、ネパール、中国原産のキュウリ属に「Cucumis sativus(キュウリ)」、「Cucumis hystrix」があること、インドに行くと雑メロンのようなものが道ばたにゴロゴロあることなどから、インド原産という説もありますが、アフリカ原産説のほうが有力といわれています。

  • 日本への伝搬は、縄文、弥生時代に、雑草メロン、マクワ、シロウリが入ってきたとされています。明治時代初期には、耐病性素材として、赤肉の「キャンタロープ」がアメリカから入ってきました。明治時代後期になると、ヨーロッパから「アールスフェボリット」等が入ってきました。
◇世界のメロン
  • メロンは、学術的には、栽培されているもの「Cucumis melo L. subspecies. melo」と、昔からあるようなもの「Cucumis melo L. subspecies. agrestis」の2つに大きく分けられます。

  • 栽培されているもののうち、「Cantalupensis Group(疣メロン)」の代表格がフランスの「シャランテ」という品種です。「Inodorus Group(冬メロン)」は、スペインの「Piel de Sapo」、「ハネデュー」。「Reticulatus Group(網メロン)」は、「アールスフェボリット」、「アメリカンキャンタロープ」。その他、「Flexuosus Group(ヘビメロン)」、「Dudaim Group」、「Chito Group」などがあります。

  • 昔からあるものとして、「Makuwa Group(マクワウリ)」に分類されるのが、「黄金9号」、「ニューメロン」。「Conomon Group(シロウリ)」には、「漬けウリ」。「Momordica Group(モモルディカメロン)」、「 Chinensis Group(セイカンマクワ)」、野生メロン、雑草メロンなどもあります。

  • 中央アジアでは、 メロンはフルーツの王様といわれており、「ameri」、「basvaldy」、「zurbek」、「cassava」、「chandalak」、「kalaysan」、「zard」、「guliabi」、「cantaloupe」など、さまざまな種類があります。

  • 中近東のヘビメロンは長さ1メートルを超える細長いメロンで、成熟果をデザートとして食べるのではなく、未熟果をカレーなどに入れて食べるそうです。
◇日本における品種と育種
  • 品種を育成するためには、たくさんの品種、系統、野生種を保有していることが重要です。できるだけ多くの材料(遺伝資源)がほしいので、農研機構では、国内・世界各国からメロンを集めています。メロンは基本的に栽培種なので、海外の国の森に入って持ってくるのではなく、スーパーや農家などで入手します。ラオスの少数民族は独自の品種を持っているので、わけてもらいます。

  • メロンの育種目標は、第一に高品質であること。具体的には、高糖度、食感、棚持ち性がいいことなどです。次に、高収量。つまり、低温肥大性や秀品率がいいこと。病害抵抗性も重要で、アールス系では特にえそ斑点病が課題です。うどんこ病、つる割病(レース1、1,2y)など、タイプごとに抵抗性のある品種を育成します。効率的に育種するためにDNAマーカーも利用します。
◇メロン育種の歴史
  • メロン育種の歴史は、欧米諸国からのメロンの導入が最初です。1925年にイギリスから「アールスフェボリット」が導入されたのが非常に大きなできごとで、今の品種のもとになりました。

  • 戦前にマクワとメロンのF1が作られ、温室メロンと欧米系露地メロンのF1に発展しました。

  • 1939年、「夕張キング(「アールスフェボリット」×「スパイシー」)」が発表されました。「夕張キング」は78年も前の品種ですが、現在も作られています。

  • 戦後、「アメリカキャンタロープ」を主な素材として、病害抵抗性の付与(うどんこ病、つる割病)が積極的に行われました。

  • 以上の品種を利用して育成された系統・品種が、「久留米2号」、「ふかみどり」で、アールス系メロン育成のための素材として利用されました。「久留米2号」は、神奈川県三浦半島で栽培されている「久留米交配4号」の片親として、現在も利用されています。

  • 1962年、「プリンス」が登場しました。これによって、マクワウリが姿を消したといっていいと思います。1968年「キンショー」、1974年「アムス」、1977年「アンデス」、1977年「ホームランスター」、1980年「南海アールス」、1983年「アールスセイヌ春T」。このあたりからアールス系が広まりました。1988年「アールスナイト夏1」、「夏2」。1989年「クインシー」、1990年「タカミ」、1995年「雅春秋系アールス」、2000年「オトメ」。「オトメ」は、茨城県で多く栽培されています。なお、「プリンス」「キンショー」「ホームランスター」はノーネット系、「アムス」「アンデス」「クインシー」「タカミ」「オトメ」はネット系ハウスメロン、その他はアールス系です。
◇日本における代表的な品種
  • 日本の代表的な品種の筆頭は、1925年にイギリスから導入された「アールスフェボリット」です。春系、夏系、秋系、冬系等のさまざまな系統があり、果実の肥大性が違います。冬系のほうが大きくなるので、これにより年中同じような大きさのメロンが供給できるというわけです。静岡県温室農業協同組合クラウンメロンは純系アールスへのこだわりを持って栽培しているところとして有名です。隔離ベッド栽培で、1株ごとに手灌水しています。

  • よく出回っているアールス系のメロンは、「アールスフェボリット」に棚持ち性、病害抵抗性(うどんこ病、つる割病)を入れたもので、ほかの血が入っているので、アールス系といわれます。春系、夏系、秋系、冬系の品種があり、通年栽培されています。代表的な品種は、「雅」、「ソナタ」、「妃(赤肉)」、「ミラノ」、「ベネチア」、「セイヌ」、「ナイト」、「モネ」など。ほとんどが立体栽培されています。

  • 1939年に発表された「夕張キング(「アールスフェボリット」×「スパイシー」)」は、夕張限定です。同じ品種でも夕張以外は「札幌キング」と呼ばれます。香りがよく、上品な味わいですが、棚持ちが極端に短いメロンです。

  • みかど協和育成の「ルピアレッド」は、1990年に発表された赤肉品種です。北海道(富良野、共和町)での栽培が多いのですが、果皮に近い部分の緑色の果肉が厚いため、最近は「ティアラ」等の品種が増えています。

  • サカタのタネが育成した「アンデス」は1977年発表、ハウスメロンの概念を変えた画期的な品種です。「アンデス」の登場により、庶民でも手軽に「アールスフェボリット」のようなネットメロンが食べられるようになりました。全国的に普及しましたが、発酵果の問題もあり、現在では山形等の一部の産地で栽培されています。その他、熊本で栽培されている「アンデス2号」、茨城の「アンデス5号」も「アンデス」として出回っていますが、初代の「アンデス」とはまったく違うものです。

  • 横浜植木育成の「クインシー」。1989年に発表された赤肉ネットメロンの代表的な品種です。茨城、千葉等で栽培されています。山形などでは「夏のクインシー」が主流で、その他に「初夏のクインシー」、「春のクインシー」もあります。

  • 園芸植物育種研究所育成の「タカミ」は、1990年に発表されました。果皮がやや濃い緑色で棚持ち性がよい、栽培しやすく、果実の肥大性がよい、などの特徴があります。アムスと同様に特色ある品種で、私は「タカミ」はカットメロンにも向くと思います。

  • サカタのタネが育成した「プリンス」。1962年発表で、メロンの概念を変えた画期的な品種です。全国的に普及しましたが、現在では、熊本など、一部の産地で栽培されています。病害抵抗性を付与したのが「プリンスPF」、「ニュープリンス」などです。

  • 小林種苗育成の「ホームランスター」は1977年に発表、白皮ノーネットメロンの代表的な品種です。ハネデュー系で店もち性がよく、熊本、青森等で栽培されています。
◇マスクメロンとは?
  • 熟すと麝香(musk)の香りがするメロンのことをマスクメロンと呼びます。「仮面」を意味するマスクではなく、また、マスクメロン=高級メロンというわけではありません。アメリカの「キャンタロープ」もマスクメロンです。アメリカでは、スイカはウォーターメロン、メロンはマスクメロンと呼びます。日本の代表的なマスクメロンは、「アールスフェボリット」、「夕張キング」ですが、海外の品種に比べると、香りが弱い。日本人には香りが強すぎるものは好まれなかったのと、日持ちをよくするために香りが弱くなった、ということもあると思います。
◇メロン生産の現状と産地について
  • 野菜・果樹の産出額ランキング(2014年)では、メロンは野菜では第11位、果物では第6位。現在も主要な果物だといえます。

  • 過去10年の産出額をみると、2005年は800億円超、2014年は600億円超と、かなり減少しています。果物のなかではメロンが最も減少しましたが、2010年以降の減少は比較的緩やかになっています。

  • 都道府県別の収穫量ランキングは、1位茨城県、2位北海道、3位熊本県、4位山形県、5位青森県。輸入はメキシコから「ハネデュー」が多く、最近は香港への輸出が急増しています。

  • 作型の基本は、促成・半促成・早熟・普通・抑制の5つです。アールス、アールス系は周年栽培されています。促成栽培は1月〜3月収穫で加温が必要、主にアールス、アールス系。半促成栽培は3月〜7月収穫、無加温が基本。早熟栽培は5月〜8月収穫、無加温が基本。半促成と早熟は、ネット系・ノーネット系の主流作型です。普通栽培は6月〜9月収穫、主にアールス、アールス系。抑制栽培は9月〜12月収穫、主にアールス、アールス系です。

  • アールス、アールス系の主な産地は、静岡、高知、愛知。露地・ハウスメロンの主な産地は、茨城、北海道、熊本、山形、青森です。

  • 静岡の主要品種は、「アールスフェボリット」を用いて育成された系統のF1で、純系の「アールスフェボリット」へのこだわりが感じられる産地です。

  • 茨城、愛知、高知、熊本は、アールス系。「雅」、「ソナタ」、「妃(赤肉)」、「ミラノ」、「ベネチア」、「セイヌ」、「ナイト」、「モネ」といった品種がありますが、同じような形状のため、品種名で売られることはありません。土壌伝染するえそ斑点病抵抗性があるものが増えています。

  • 茨城、北海道、熊本、山形、青森、千葉は、ネット系ハウスメロン。「アンデス」、「クインシー(赤肉)」、「オトメ」、「タカミ」、「アムス」、「肥後グリーン」、「ルピアレッド(赤肉)」、「レノン(赤肉)」などの品種があり、なかでも「アンデス」が主流です。北海道の赤肉メロンで多少品種の変遷がありますが、その他の産地ではそれほど変化はありません。これらは特徴があるため、品種名で売られています。

  • 熊本、茨城、愛知は、ノーネット系ハウスメロン。「ホームランスター」、「キンショウ」、「エリザベス」、「イエローキング」、「パパイヤ」、「プリンス」など、品種の変化はあまりありません。特徴があるため、品種名で売られています。

  • 熊本におけるメロン栽培は、大型連棟ハウスが多く、大規模です。促成、抑制で「アールス系ミラノ夏T」、半促成栽培(3月〜6月)で「アンデス2号」、「肥後グリーン」、「クインシー」、「ホームランスター」、「プリンス」などが作られています。

  • 茨城におけるメロン栽培は単棟ハウスが多く、多重被覆、一部トンネルもあります。抑制でアールス系、無加温半促成栽培(5月〜7月)で「オトメ」→「アンデス5号」→「タカミ」。赤肉では、「クインシー」、「レノン」。茨城県のオリジナル品種「イバラキング」というメロンも作っています。

  • 北海道におけるメロン栽培は単棟ハウス、トンネルが主流です。半促成〜早熟栽培(7月〜10月)で「夕張キング」、「ルピアレッド」、「レッド113」、「夕張メロン」、「らいでんメロン」など、赤肉メロンがメインです。つる割病防除対策が重要視されており、メロンといっしょにネギが植わっていることがあります。
◇甘さや食味について
  • メロンの糖の組成は、果糖(Fructose)、ショ糖(Sucrose)、ブドウ糖(Glucose)の3つで、ショ糖が多く、品種によって糖組成に若干の違いがあります。ショ糖の蓄積は収穫期に近づくにつれて急激に上昇するので、収穫期を間違えると甘さ不足のメロンになってしまいます。

  • 糖度の分布を可視化できる装置にかけたところ、メロンは中心部ほど甘く、果皮にいくほど糖度が落ちることが確認できました。

  • メロンの食感と甘さについての研究(平井ら(2007)園芸学研究(別2)P652)によると、糖度が同程度であれば果肉がやわらかいほうが官能評価で甘いと判定され、かたさが同程度の場合、一般の消費者が識別可能な糖度の差は1.5%程度。消費者が知覚する甘味は、糖度よりも追熟程度により強く影響される、とのことで、適切な追熟がメロンの食味に重要です。食べ頃がわかりにくいのがメロンの一番の問題で、追熟日数は品種によっても異なるため、大変むずかしい問題です。

  • メロンには、カリウム、β-カロテンが含まれています。赤肉メロンには特にβ-カロテンが豊富です。また、温室メロンにはギャバが豊富に含まれています。
◇質疑応答より

    Q:贈答に使うようなアールス系の高級メロンで、追熟度に関係なく、スポット的に傷んでくることがあるのですが、見分ける方法はあるのでしょうか?
    A:病気にもいろいろあり、たとえば、この時期に作られたものは傷みやすいとか、一概にいうことはできないと思います。保存状態や温度によって傷みが出やすい、ということはあるかもしれません。

    Q:メロン農家さんのところに行ったらここを見てくるといいよ、というポイントはありますか?
    A:できるメロン農家さんは病気を出さないし、きれいに作っていると思います。

    Q:メロンはほかの果物に比べて減少額が大きいということでしたが、その理由は?
    A:単価の問題ではなく、あきらかに量が減っているためです。5年ほど前、一番減ったのがメロンだといわれています。メロンはスイカのように暑くなると食べたくなるというものでもありませんし、カットなどの加工も多くはないので、消費が伸び悩んでいます。安いメロンもたくさんあるのですが、食べ頃を外してしまうことが多いというのが一番の問題です。品種もあまり変わっておらず、画期的な品種が生まれていません。

    Q:いちごは品種がすごく変わっているのに、メロンはなぜ変わらないのですか?
    A:いちごの場合は県が主導でブランド化を図ったりして、戦国時代といわれるほど品種開発が盛んです。メロンは種苗会社が品種を出していて、バブル期を境に減少しました。「クインシー」や「レノン」など、いい品種を出しても、従来の品種とそれほど差がないといった理由で、農家さんが一気に変えてくれる、ということにはなっていません。

    Q:メロンはギフトで使われることが多かったのに、あまり使われなくなったことも減少の原因として大きいのではないでしょうか?
    A:ギフト用の果物としての座をマンゴーにとって変わられたというのはあるかもしれません。

    Q:メロンを食べると喉がかゆくなるという人がいますが、何かアドバイスできることはありますか?
    A:たんぱく質分解酵素が含まれているためなのですが、品種によってかなり違います。また、同じ品種でも個体によって違うこともあるので、「このメロンなら大丈夫」とは言えないと思います。

■メロンの保存について

 当日、受講生からメロンの保存について質問があり、講師の杉山さんは、メロンの保存について研究していた研究員の方にお問い合わせくださいました。その回答を下記の通り紹介します。

メロン陥没病は、いったん冷やしたメロンを常温に戻した時に発生します。

根本的な解決法は、栽培時に、陥没病の原因となる、Phomopsis cucurbitae やDiaporthe melonis(大沢ら)、また似た病徴のBotrytis cinereaによる灰色カビ病(窪田ら)が、表面に付着することにあるので、まずは、栽培中にこれらの菌(胞子)が付着しないように栽培管理と薬散を適切に行うことが重要でしょう。

アールス系ネットメロンの貯蔵条件としては、「メロンの品質保持期間は20℃では7〜10日間、10℃では2週間、4℃では3〜4週間程度と考えられた。また、低温で保持後常温に移したときの日持ちは2〜3日と予想以上に悪かった。」ということで、うまくいけば、4℃で3〜4週間程度貯蔵できますが、徐々に果肉は柔らかくなり、香りは常温で追熟したものに比べて明らかに弱いと思います。また、常温に戻すと2〜3日以内に陥没病が発生するので、冷やしたものは、陥没病が出る前に消費する必要があります。

 

【八百屋塾2017 第2回】 挨拶講演「メロン」について勉強品目食べくらべ