Q:さといもを切ると断面に赤い点々が出てくることがありますが、理由は何でしょうか?
A:時間が経つと切り口が赤みがかるのはある程度は仕方のないことなのですが、あまり赤かったりするのは、寒さの影響や、病気の可能性も考えられます。
Q:2倍体、3倍体の違いを教えてください。
A:動物は両親から半分ずつ染色体を受け継ぐので、染色体のセット数を2つ持っています。植物の場合はそのセットをいくつも持っていることがあります。偶数であれば分けられますが、奇数では分けらないので、3倍体、奇数のさといもは子供が作れません。「媛かぐや」は2倍体同士なので交雑できましたが、通常、2倍体のものはなかなか花が咲きません。なお、中国大陸を通ってきた子いもタイプには3倍体が多く、黒潮ルートの親いもタイプには2倍体が多いです。
Q:「石川早生」の水晶症を防ぐことはできないのでしょうか? もしくは、出荷の際にはわからないのですか?
A:症状が軽いとわからないこともあり、完全に除くのはむずかしいと思います。孫いもがついているものに多く、掻くと半透明なので、新鮮な掻き傷を見ればある程度選別はできます。ただ、1日経つとわからなくなるので、流通品(販売品)を見るときの目安としては、掻き傷の大きさと、縞模様の数でしょうか。たとえば、子いもは親いもについていた部分の掻き傷が小さいものほど、早い時期にいもができています。いもが大きければ古いとは限りません。「石川早生」の子いもは、早くできたいもほど水晶症になりやすい。特に、玉が小さい、掻き傷が小さい、三角のような扁平のいもは水晶いものリスクが高いです。また、さといもは、1つの株に、さまざまな生育期間のいもが混在しています。子いもと孫いも間の違いだけでなく、特に子いもは一つ一つ肥大しだす時期が異なります。孫いもを含め、縞模様の数が少ないほど、収穫時までの生育期間が短く若いと考えられ、若いいもを利用するほうが、水晶症のリスクが減ります。水に入れると水晶症状のさといもは浮く、という論文もありましたが、いもを濡らすとそのあと傷みやすくなるのでご注意ください。
Q:市場でさといもを買うとき、箱の中のさといもを触って、土が湿っているものを選ぶようにしているのですが、正しいのでしょうか?
A:市場関係者がそう言っているのをよく聞きますが、生産者からみると疑問です。流通での管理は乾きすぎない方がいいのでしょう。でも、収穫作業は、晴れたときに行うのが、基本ですし、収穫後は、湿気があると、掻き口の部分がとろけてきたり、いもの全体的にカビが生えたりするので、一度しっかりと、掻き傷やいも全体を乾かすことが必要です。
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