■2010年2月21日 第11回 〜 勉強品目「葉物」について 東京青果(株) 野原秀司氏
◇勉強品目「葉物」
  • 「小松菜」「ほうれん草」「菜の花」などについて、主に大田市場での価格を中心に、東京青果(株)の野原秀司さんにお話を伺いました。

  • 一部、高広青果の高橋芳江さん、杉本青果店の杉本晃章さんからのご説明も含め、以下、ご紹介します。
東京青果(株) 野原秀司さん
◇勉強品目「小松菜」
ちぢみ小松菜
ハウス小松菜
露地小松菜
江戸の小町
  • 近年、「ちぢみ小松菜」は、茨城でも群馬でも、かなり大量に作っている。量販店は、年末、束ものの小松菜をおいていたのが、こういった商品にとって変わられるようになっている。わりと作りやすい、という話を聞いている。

  • 「江戸の小町」という小松菜は、江戸の伝統野菜。練馬で、練馬大根を作っている渡戸さんという方が作っている。この時期はもう終わり頃。

  • 江戸川の生産者が作っている、「江戸菜」という江戸野菜がある。自分で種取りをして、育てている。江戸菜は、軸のところが非常に甘く、シャキ感もあっておいしい。

  • 小松菜も、ほうれん草も、種屋さんはグリーンの強いものの開発に力を入れている。種屋さんのカタログを見ると、葉っぱの青さと、軸の張りを強調したものが多い。昔は、小松菜は、現在のような青さではなかった。色の濃さは、品種や肥料により変わってくる。
◇勉強品目「ほうれん草」
赤根ほうれん草
ハウスほうれん草
露地ほうれん草
サラダ赤茎ほうれん草
  • 山形の在来種「赤根ほうれん草」については、商品情報を参照のこと。

  • 露地のほうれん草は群馬産、品種は「まほろば」。かなり葉っぱがきれいなので、ハウスと露地の中間かもしれない。群馬では、きゅうりやなすの栽培がメイン。資材や暖房費が高騰し、その対策ということで、行政あげて、ほうれん草の栽培の推進に取り組んでいる。

  • 本場の「ちぢみほうれん草」は、収穫期を遵守し、畑の中に何日間おく…、といった取り組みをきちんとしている。量産するために、早めにとってしまうと、「ちぢみほうれん草なのに、全然甘くない。おいしくない」という評価になってしまう。茨城の行方辺りでは、ちゃんとしたチェック体制をとって生産している。
◇勉強品目「菜の花」
ハナナ(京都)
かき菜
菜の花(徳島)
紅菜苔
  • 「ハナナ」は京都産。京野菜は値段が固定化、高く設定されている。品揃えの一環としてしかおけず、売りにくいのが現状。

  • 福岡はかき菜を「おいしい菜」という名前で出している。
◇勉強品目 その他の野菜
つぼみ菜
花わさび
雪下にんじん
  • 「つぼみ菜」は、ブロッコリーやキャベツと同じアブラナ科の新顔野菜。一見、ふきのとうみたいに見えるが、食べると、からし菜のような味がする。生でも、煮たりスープに入れたりして食べてもおいしい。

  • 「雪下にんじん」は秋田産。大曲の少し下にある横手が生産地。生産者が4名ほど。品種は「ライム」。雪の中から掘り上げて、きれいに洗った状態で出荷。かつて、泥にんじんで取り寄せた経緯もあるが、関東の泥質とは違い、“泥まみれ”になっている。今年は、掘り上げると、だいたいMサイズが4割、Lサイズが3割、Sサイズが3割。
■2010年2月21日 第11回 〜 勉強品目「中晩柑」について 橋本氏
◇勉強品目「中晩柑」
  • 「ひめのつき」は、アンコール×日向夏。全農愛媛の交配種。見た目はあまりよくないが、味はいい。親がどちらも種の多い品種なので、「ひめのつき」も種が多いが、じょうのうは薄い。サイズは大中小各種あり。3月に入ると出てくる。

  • 「はるみ」と「デコポン」は兄弟。「デコポン」に比べると、「はるみ」のほうが、じょうのうが薄くて食べやすい。今年は、酸のキレがよい。
中晩柑の説明をする橋本さん
  • 「デコポン」のデコのあるなしについては、「まだ木が若いうちはデコが出るが、だんだん木が古くなってくると、デコがなくなる」という説や、「雄と雌で違う」という説などがある。必ずしも、デコがあるからおいしい、というわけではない。一般に、デコがあるほうが、皮が厚くてかたいようだ。

  • 平成5年の5月頃、初めて大田市場に来た露地の「デコポン」は本当においしかった。それを超えるデコポンがなかなか現れない。

  • 今年は、「はっさく」、「伊予柑」の味がいい。ただ、最近は、みかんの皮をむくのが面倒という子どももいるようで、年々売れなくなってきている。特に「伊予柑」が低迷しているのは残念だ。
中晩柑各種
  • 熊本産の「パール」柑。おいしいが、売れ行きは残念ながらあまりよくない。

  • 「土佐文旦」など、さまざまある文旦の中でも、いちばん高いのが、「水晶文旦」。どこの産地で作ったものでも、水晶文旦というと、ちょっと高い。

  • 今日の3Lの「水晶文旦」は愛知産。大田の仲買でも1〜2軒しか扱っていないもので、競売場には出てこない。確かに味はいい。

  • 「紅甘夏」、「紅はっさく」といったものは、すべて枝変わり。見た目がいいので、みんな飛びつく。昔あった「ダイヤ伊予柑(大谷伊予柑)」も枝変わりで、結局なくなった。今、主流の「宮内伊予柑」も枝変わり。

  • 愛媛の「はるか」は、「日向夏」の枝変わり。日向夏よりも断然美味で、価格も安い。種は多い。

  • 「ポンカン」は、かつては鹿児島の大里ポンカンがいちばんだったが、最近は、愛媛の宇和島とか、その辺りの太田ポンカンもおすすめ。外観はそれほどきれいじゃないが、味はよく、お客さんの評判もよかった。

  • 「甘平(かんぺい)」は、愛媛県の試験場で品種登録された、まだ比較的新しい柑橘。

  • 「せとか」は、[清見×アンコール]×マーコット。マーコットはもともとにおいが強い柑橘だから、中には、においがイヤだという人もいる。「せとか」より「甘平」のほうが食べやすくて好きだというお客さんがいる。

  • 「ネーブル」は、これから、3月になると出てくる愛媛の「デリッシュネーブル」がおすすめ。完熟して出てくるネーブルで、毎年、出始めは高いが、確かにおいしい。ちなみに、中晩柑というのは、ほとんどが2月頃までに収穫され、貯蔵してある。隣に傷みが移らないように、1個1個ビニール袋や紙袋、ロウ紙、和紙などに入れて、昔なら木箱に、今はコンテナに詰めて、貯蔵しておく。それを、時期を見て出す。ネーブルの収穫はだいたい11月頃。木からとってすぐはすっぱくて、売り物にはならない。

  • かつては、ちょうど今頃、みかんにいいものがなくなり、奄美、屋久島の「タンカン」に変わったりした。ところが、最近は、今でもいいみかんが出ているから、中晩柑の売れ行きがにぶい。

  • 今年、ちょっと変わった中晩柑を売りたいなら、「ひめのつき」、「はるか」あたりを扱うと面白いと思う。「まりひめ」も美味。

  • 中晩柑も、今までのように、「伊予柑」、「はっさく」、「甘夏」だけではなくなってきた。いろいろなものを見て、自分で試食して、それをお客さんにすすめてもらいたい。
 

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