■2010年1月17日 第10回 〜 勉強品目「ねぎ」について 東京青果(株) 野原秀司氏
◇勉強品目「ねぎ」
  • 「ねぎ」は以下の13品種が並び、主に大田市場での価格について、東京青果(株)の野原秀司氏にお話を伺いました。

  • 皮が赤い「赤ねぎ」は、むいたり加熱したりすると色が抜けてしまうため、酸を加えて色止めをするなど、お客さんにどう説明して売っていくかがポイント、とのことでした。
東京青果(株) 野原秀司さん
◇勉強品目「ねぎ」
根深ねぎ
千寿ねぎ
下仁田ねぎ
九条ねぎ
品種:夏扇三号(サカタ)
産地:千葉 JA山武東葛
特徴:関東地域では、主に白い部分(葉鞘)を食べる習慣があり、ねぎの成長にともない土寄せを繰り返す深植え栽培にて作るねぎ。関東ねぎの総称。(千住群)

品種:元蔵(武蔵野種苗)
産地:埼玉 葱茂商店
特徴:江戸期より続く関東根深ねぎのブランド商品。合黒系、純一本太葱。(千住群)

品種:下仁田(在来種)
産地:群馬 JA甘楽富岡
特徴:群馬県下仁田町の特産。丈が短く生では辛味が強いが、煮ると柔らかくなり、まろやかな甘味がでる。(加賀群)
品種:九条太(在来種)
産地:京都 JA全農京都
特徴:葉肉が長くて柔らかい葉ねぎを代表する品種、青ねぎともよばれる。京都九条地域の産地が有名である。(九条群)
赤ねぎ(ひたち紅っ子)
平田赤ねぎ
越津ねぎ
リーキ(洋ねぎ・ポロねぎ)
品種:(長悦×在来種選抜種)
産地:茨城 JAひたち野
特徴:茨城県園芸研究所が育成したオリジナル商品。鮮やかな濃い赤紫色。味は辛みが少なく、甘みが強い。加熱すると、さらに甘みが増す。
品種:在来選抜種
産地:山形 JA庄内みどり
特徴:山形庄内地域の砂質土壌地帯で栽培される、江戸時代から続く一本葱系の名物ねぎ。葉鞘部の外側が赤紫色で、辛みが少なく、柔らかい。
品種:越津(在来種)
産地:愛知 JA愛知西
特徴:愛知県津島市越事が発祥。軟白用栽培に適し、白根を特に長くすることが出来る。葉部も柔らかで葉ねぎとしても利用される。(九条群)
品種:リーキ
産地:オランダ グールナリ
特徴:地中海沿岸産の野菜。太くて重く、形状は下仁田ねぎに似ている。葉はかたく平らにつぶれており、食用にはならないが、ブイヨンの風味付けなどに使用される。白い部分は柔らかく、甘みと芳香がある。サラダやスープ煮に使用する。
シブレットハーブ(チャイブ)
上州ねぎ
なべねぎ
ちゃんこねぎ
品種:シブレット
産地:千葉 上総ベジテック
特徴:かすかにオニオンの香りがする、ニンニクやニラ、エシャロットの仲間。料理としては、オムレツ、サラダ、サーモンのリゾットなどの薬味に使用。
特徴:トキタ種苗。「下仁田」より耐寒・耐病性に優れ、作りやすい。下仁田と根深一本ねぎのF1品種。草丈80cm前後、軟白部の太さ2.8〜3.5cm、長さ20cm以上。分けつなし。光沢あり肉質柔らかくなべ物に最適。

 

特徴:トキタ種苗。下仁田ねぎと一本ねぎを交配したもの。 特徴:トキタ種苗。通常の中小ネギと比べて、葉身、葉鞘部ともに太く生育しながら軟らかで、加熱調理時の自然な甘みは絶品。一本ネギと比べ細身なので、火の通りが早く、軟らかさと甘みのある食味を鍋料理、炒め物、おひたし、バーベキューなど多くの料理でいつでもおいしく楽しめる。
分けつ赤ねぎ
特徴:トキタ種苗。独特の風味と軟らかさがあり、5〜6本に分けつする赤ねぎ。草丈はやや低く、土寄せと低温が軟白部を鮮かな赤紫色にする。すき焼き、煮物、生食(サラダ・薬味)などで美味しい。葉先から葉身まで全体が軟らかく甘みがありおいしい。
   
 
■2010年1月17日 第10回 〜 勉強品目「いちご」について 杉本 晃章氏
◇勉強品目「いちご」
  • いちごは野菜ですが、果物として捉えられており、これを「果実的野菜」といいます。一応、果物のようだけど、実は野菜。農水省の分類ではそうなっている。ちなみに、これの逆が、ゆず、すだち、かぼすなどの「野菜的果実」。

  • いちごは、多年生草木。普通の野菜は一年生草木で、ほうれん草でも小松菜でも、一年でみんな終わる。いちごの場合は、何年も、ひとつの株で作ることができる。ただし、植え替えなければダメ。
いちごの説明をする杉本 晃章さん
  • 栃木県では、夏の間、平地のいちごを清涼な場所に移す。秋になると、また暖かいところに持ってきて、早く開花させ、11月から市場に出回るようになっています。

  • 昔は、12月のクリスマス頃になっても、なかなかいちごが出てこなかった。そういう時代が長く続いたが、品種改良などによって、11月から市場に出回るようになった。

  • 一番果のピークは12月中心。特徴としては、非常に大玉が多くつくのですが、形状が悪い。M、Sは非常に少ない。大きすぎるので、ケーキの需要にはあわない。

  • 今現在出ているいちごは、二番果。2月に入ると、三番果になる。

  • このところ、野菜の値段の動きと同じで、いちごが高い。暮れから2回ほど寒波が来て、年が明けてからも2回ほど寒波が来た。特に九州地方の降雪がきいてきて、着色状態があまりよくない。

  • これまで、市場を席巻してきたいちごの品種としては、戦前戦後は、「マーシャル」、「福羽(ふくば)」があった。それから、「宝交(ほうこう)」、「ダナー」、「麗紅(れいこう)」、「はるのか」、「とよのか」、「女峰」。品種はこのほかにもまだ何十種類とあるが、主にこれらが、実際市場に出回って、一般の人がたくさん食べてきた品種。

  • 「マーシャル」、「福羽」は超高級品で、限られた人しか食べていなかった。「宝交」、「ダナー」の出現によって、いちごが一般でも食べられるようになった。「宝交」は甘いが、非常にやわらかい。日持ちが悪い。「ダナー」は逆に、かたくて日持ちがいいが、すっぱい。「麗紅」は、ピカピカ光っていて、素晴らしいいちごだった。でも、味は薄くて寝ぼけていた。「麗紅」は、品種の親としてよく使われている。「とよのか」は「宝交」と近い、非常に甘い品種。「女峰」は栃木県が作った傑作。男体山の隣にある女峰山から名前をとった、といわれている。「章姫」は、静岡の「紅ほっぺ」の親。

  • 今の主流は、大きくいって「とちおとめ」、「ほのか」、「あまおう」、「紅ほっぺ」、「さちのか」。この五大品種が、市場の大半で、70〜80%はこれらの品種。

  • 県別にはっきりと分かれており、「とちおとめ」は栃木県、「ほのか」は佐賀県、「あまおう」は福岡県、「紅ほっぺ」は静岡県、「さちのか」は長崎県。品種をちゃんと県で登録申請していますから、門外不出ということになっている。

  • ほかに、「アイベリー」とか、去年マスコミでさかんに話題になった白いちご「初恋の香り」、「ももいちご」など、いろいろなブランドのいちごがたくさん出回っている。
さちのか
ももいちご
紅ほっぺ
あまおう
ゆめのか
さがほのか
さちのか
やよいひめ
ひのしずく
とちおとめ
 

【八百屋塾2009 第10回】 実行委員長挨拶理事挨拶講演「ねぎ」勉強品目「ねぎ」「いちご」商品情報食べくらべ