■2009年12月20日 第9回 〜 商品情報 「だるまレンコン」「甚五右衛門サトイモ」

 2009年9月25日〜26日、「野菜と文化のフォーラム」主催の新潟県長岡野菜視察研修会に参加して、旧中之島町の「だるまレンコン」の圃場を見学してきました。

 「だるまレンコン」は、10月下旬あたりから出回る晩生種のレンコンで、きめ細かくシャキシャキとした歯触りで定評がある長岡の伝統野菜です。

 稲作がダメになってしまい、「じゃあどうしよう?」ということで、水田を泥田に切り替えて栽培しているそうです。

高広青果の高橋芳江さん
 すごくおいしいレンコンで、長岡の人たちはほとんどこれを食べている、と聞きました。県内でまかなえてしまうので、なかなか東京には出荷されないそうです。

 確かに、私たちが関東で普段よく食べている大量生産されたレンコンとは、パリパリ感がまったく違います。大量生産の場合、肥料の弊害など、いろいろな問題があって、においがするとか、いろいろありますが…。

 今日は、ぜひ、「だるまレンコン」とその他のレンコンを食べ比べていただきたいと思います。

 それから、山形の伝統野菜研究会というのに参加して出会ったのが、「甚五右衛門」というサトイモです。門外不出で、山形にしかありません。こちらもとてもおいしかったので、今日は、ぜひ、みなさんに食べていただきたいと思っています。

 
■2009年12月20日 第9回 〜 商品情報 山形産干し柿「紅つるし」「蔵王つるし」

 山形県東京事務所の佐藤と申します。正月用の商材ということで、本日持ってきたのは、「干し柿」です。

 山形は上山の干し柿で、「紅つるし」といいます。材料は、「紅柿」という柿を使っています。

 もうひとつは、「蔵王つるし」。こちらは渋柿のメジャーな品種、「平核無(ひらたねなし)」を使って作った干し柿です。

 どちらも上山産ですが、紅柿のほうがオレンジ色でやわらかい感じになっています。

山形県東京事務所の佐藤さん
 11月頃から干し始めて、11月いっぱいくらいまで、約1ヵ月干して作っています。ぜひ、食べ比べてみてください。

 先ほど、高橋さんからもお話のあった「甚五右衛門」というサトイモは、山形の新庄とか、最上地域の産地で作っているものです。11月末に山形で商談会をしたときに、「甚五右衛門」を作っている佐藤さんという方がいらっしゃって、お目にかかりました。私もそのときに初めて食べたくらい、本当にまだ流通していない伝統野菜です。食べた感じは、非常にやわらかい芋だな、と思いました。これから増やす方向にいくのか、門外不出で閉ざされた形でこだわって作っていくのか…。まだどうなるか分かりませんが、よろしくお願いします。

 それから、サトイモの講義の際に、山形の「からとりいも」の話がありました。酒田のほうが産地になっており、唐芋系ということでした。山形の内陸のほう、村山地域では、「からとり」というと「ずいき」のことなんです。で、芋がついた切り株の部分を、「からとりいも」といってます。芋煮会で、芋っこ汁にして食べたりします。「いもがら」ともいいますが、それについては、皮をむいて、干して、冬場、納豆汁などに入れて…。保存食みたいな形です。同じ名前でも、場所によってちょっと違うんだな、と感じましたので、説明させていただきました。以上です。

 
■2009年12月20日 第9回 〜 商品情報 「新理想白菜」「浮島大根」

 茨城県の種苗の小売り会社、「ハナワ種苗」から来ました来栖といいます。

 今日は、2品ほど飛び込みで持ち込ませていただきました。まずひとつめは、白菜の「新理想」です。ご存じの八百屋さんも多いと思います。最も味がいい白菜ということで、昔はかなり出回っていた、と聞いています。

 特徴としては、形が丸いというか、てっぺんがとがっていないのと、繊維がとてもやわらかくて、甘みがある。特に、漬物屋さんにはすごく評判がいい白菜です。

ハナワ種苗の来栖さん

 私どもの資料に、「日本一おいしい幻の白菜」と書いてあります。「幻と言うけれど、結構出回っているじゃない?」という声も聞くのですが、今、出回っているものの多くは、「新理想」の系統で、「スーパー新理想」というものと、「新理想めぐみ」というものです。

 もともとの「新理想」がとても病気に弱いものなので、生産が少なくなってしまった。収率も悪いので、見合う価格が取れないとなかなか生産できない。それで、今は、ほとんどの農家さんが自家用に作られているだけとなってしまったようです。

 「新理想めぐみ」は、耐病性を強くしたものなのですが、味は昔の「新理想」より劣る、とされています。「スーパー新理想」は、根こぶ病の耐性をつけたものです。「新理想めぐみ」よりは「新理想」に近いということなのですが、根こぶ病の耐性をつけたものというのは、基本的に、ちょっと、芯のところがかたくなる傾向があるそうなんです。

 市場に出回っている「新理想」としては、「スーパー新理想」と「新理想めぐみ」、あと、もともとの「新理想」も一部混ざっているかもしれませんが…。全部ごっちゃになっている、という話を聞いています。

 茨城県は白菜の生産量が日本一なのですが、一度作るとなったら1反で4000玉とか、大規模になってしまう。それぐらい扱ってくれる方がいないと、なかなか生産には至らないということだったので…。これから、八百屋さんたちで、ぜひ「新理想」を売っていきたいと、団体になっていただければ、今後栽培していただけるかもしれないので、みなさん、よろしくお願いします。

 「新理想」には“ごま”(黒い斑点)が出やすいとか、そういう面もあるのですが、対面販売の八百屋さんでしたら、「ごまが出ても食べるのはまったく問題ないし、味がいい!」と言って売っていただけると思いますので…。ぜひ、ご協力いただければ、と思います。

 それから、もう一点。ほとんど知られていないと思いますが、数少ない茨城県の伝統野菜のひとつで、「浮島大根」というものです。

 レンコンの一大産地でもある稲敷市の浮島地区というところで、昔から作られている大根です。首のところが細くて、お尻のところがネズミのような愛嬌のある形をしています。肉質は、とても水分が多くてやわらかく…。あと、横縞が入るのがこの大根の特徴なんです。

 現在、自家用として、10数軒の農家のお年寄りが作られているだけになってしまっています。漬物や煮物など、昔ながらの食べ方で食べられているそうです。

 本当に貴重な茨城県の伝統野菜なので、「浮島大根復活プロジェクト」を立ち上げました。まだ立ち上げたばかりなので、みなさんに味わっていただくとともに、復活プロジェクトのアイデアなどもいただけるとありがたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 今日は、杉本さんが、「新理想」白菜と「浮島大根」を漬物にしてくださったので、召しあがってみてください。以上です。ありがとうございました。

 
■2009年12月20日 第9回 〜 商品情報 「山東菜」等の漬物

 今日は、「山東菜(さんとうさい)」の漬物を試食してもらいます。現物は持ってきませんでした。なぜなら、重くて、でかくて、邪魔だから、持って来なくていい、と言われましたので…(笑)。

 12月10日に漬けた山東菜を、漬け返してちょうど3日目くらいなので、若干早いかな、とは思いますが…。若干早いとはどういうことかというと、塩がちょっとかれてないのではないか、ということです。のちほど、試食してみてください。

 東京市場では、山東菜も、ずいぶん少なくなってしまいました。

杉本青果店の杉本晃章さん

 現在、北足立だけ、特別開市を1週間限定でやっていますが、生産者が非常に少なくなってしまった。今年の場合、だいたい、10人〜12人くらいでしょうか。以前、多いときは、100軒以上出た。束数にして、4万束。それが、今年は、1回に10軒。1軒200束くらいだから、2000束ぐらい。それが1週間しか出なかったわけです。あと5年か10年経つと、生産者が2〜3人になってしまうのではないか…と危惧している次第です。

 うちの店では、かつて、「山東菜」の現物を売っていました。そのころは、1軒の家で2〜3束漬けてくれていましたから、よく売れた。また、「山東菜」の漬物も樽で売っていた。でも、だんだんお客さんが高齢化してきて、自分で山東菜を漬けなくなってしまった。

 5年前ぐらいからは、インターネットで「山東菜」の漬物を売っています。非常によく売れている。今年は、今現在、注文が75束入っています。もう発送も始まっています。値段は、送料込みで5000円。地方から注文が来ると、送料が高いからほとんど儲からないけれど、遠いから高いっていうのもおかしいので、全国一律5000円で売っています。

 もし、「山東菜」を漬けてみたい、という人がいれば、そのノウハウは教えますので、どうぞ、聞きに来てください。

 それから、先ほどお話のあった茨城の「浮島大根」は、浅漬けで、塩を薄くして、ぬかみそに一昼夜漬けました。それも試食してみてください。

 

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