■2010年1月17日 第10回
 〜 講演「“ねぎ”について」 トキタ種苗(株) 大利根研究農場 吉田昌美氏
◇ねぎの歴史や分類を知ろう!
  • ねぎの原産地は日本ではありません。中国の北、真ん中、南から、それぞれ、日本に入ってきました。

  • 北のほうの寒い地域、日本海側は、休眠性のねぎ「松本ねぎ」など、加賀群のねぎ。寒いところでも、ちゃんと育つ。本来の旬である冬場は葉っぱがなくなりますが、また春先に伸びてきたいちばん若いところを食べる、という使い方もされています。非常にやわらかくて、越冬性があるねぎです。
トキタ種苗(株) 大利根研究農場 吉田昌美氏
  • 今、主流になっているのは、中国の真ん中辺りから、関東近辺に入ってきた千住系のねぎ。代表銘柄として、千住黒柄(くろがら)、千住合黒(あいぐろ)、千住合柄(あいがら)、千住赤柄(あかがら)がある。今の品種というのは、ほとんどが、千住の合黒系の中の黒柄に近いタイプ、もしくは、合柄に近いタイプです。

  • 黒柄というのは、非常にしまりが強いねぎ。首が詰まって、横にしっかりしまるタイプのものを、総称して「黒柄」といいます。反対に、首が斜めになっていて、しまりが悪いようなものを、「赤柄」とか「合柄」といいます。

  • 現在は、首が斜めにしまるようなものと横にきっちりとかたくしまるものを掛け合わせた品種、もしくは、F1品種が主流です。ほとんどのねぎが、首はしっかりとしまっている。

  • 今の市場の規格は、「葉っぱ3枚残し」。ところが、品種改良で、葉枚数がどんどん増えている。今の時期、畑に行くと、葉っぱが5枚ぐらい残っています。農家は、それを、わざわざ3枚にむいて、ゴミとして捨てている。本来は食べられるのに、もったいないですよね。今の時期でも5枚、もっと状態のいい10月〜11月は、7〜8枚葉っぱがある。それを3枚にしている、というのが現状です。「葉っぱ3枚残し」が、本当に、今の時代のニーズに合っているのか…。

  • 南のほうでは、西日本を中心に、京都の「九条ねぎ」、博多「万能ねぎ」といった葉ねぎの産地が形成されています。ねぎは、土寄せをしないと白くはなりません。もともと、関東から北は、耕土が深い。関東ローム層とかで、土の層が深いんです。ところが、西日本は、下のほうに石が出たりとか…。土寄せする土がない。ですから、一本ねぎではなく、葉ねぎ文化が育っています。例外もあります。西のほうでも、鳥取県のねぎは大きい。鳥取砂丘で知られるように、砂地なので、いくらでも砂がある。あと、大分、豊後高田のねぎも干拓地なので…。そういった限定的なところにしか産地がありません。

  • 10数年前の話ですが、石川県の金沢に行ったら、ねぎ畑に土がない。15cmぐらいしか土が寄せられないんです。上には支柱を立てて、ひもを張って、倒れないようにしていました。今も同じかどうかは分かりませんが…。その頃は、そうして一本ねぎを出していた。耕土によって、当然、白いところの長さは変わってきます。

  • ねぎの白いところは、冬ねぎだと普通30cmなければいけない、といわれます。場所によっては40cmというのもある。業務用とか、使い方にもよるのでしょうが…。一般には、本当に、今、30cmも必要なのか? 個人的には、白いところは20 cm程度で、葉っぱの部分を食べてもいいのでは…、と考えています。
◇ねぎの栄養と効能
  • 白いところと緑のところでは、緑のほうが栄養価は高い。やはり、光合成をしている部分のほうが、ビタミンAやビタミンCなどの栄養価は圧倒的に高い。

  • いちばん体にいいのは、ねぎの辛み成分。ツーンとくるようなにおいです。あれは、硫化アリル、アリシンという機能性成分で、風邪予防、がん予防などに有効とされ、ねぎのいちばん優れている点です。硫化アリルは白いところのほうが多い。

  • 一般的に、葉ねぎは、品種改良では、かたくて色が濃く、味がないほうがいい、という育種方針でした。ただ薬味として使うだけなので、あまり主張するねぎはよくない。刻みの加工適正とか、そういった点が優れていればいい、と。そういうものには、硫化アリルが少ない。硫化アリルが多いのは、「下仁田ねぎ」です。今の時期、「下仁田ねぎ」を鍋に入れて食べるとすごく甘くておいしいのですが、実は、生で食べるといちばん辛い。機能性成分がいちばん高いのは、「下仁田ねぎ」などの味の濃いねぎです。
◇上州ねぎ「なべちゃん」
  • 「なべちゃんねぎ」は、トキタ種苗が一本ねぎと下仁田ねぎを交配した品種です。

  • 本場の「下仁田ねぎ」は、年内から今ぐらいがピークで、あとは葉っぱが枯れてしまい、見た目が非常に悪くなります。ですから、値段も右肩下がり。1月下旬から2月になると、値段が出ません。群馬の碓氷安中農協で、「下仁田ねぎ」生産者は330名ぐらいいる。ところが、出荷期間が短く、差別化が図れない。そこで、今、「上州ねぎ」ブランドで展開しています。一本ねぎの血が入っているので、白いところも長く、葉っぱの枯れが少ない。

  • 「なべちゃんねぎ」を入れる袋も、トキタ種苗で作っている。1〜2軒とか、小口では袋は作れない。八百屋さんのように対面販売ができれば全く問題ないのでしょうが…。それでも、名前が入っていると売りやすいのではないか。袋の裏にはレシピも入っています。

  • 「なべちゃんねぎ」を販売して、もう10年ほど経っています。当初は、市場関係者に、「下仁田と一本ねぎの交配なんか売れないよ」と言われていたのですが…。時代の流れや、産地間の競争もあって、今、ニーズが高まっている。味に特徴のあるもの、産地独自のもの…。それらを実際に食べて、味の濃さ、よさを分かっていただきたい。
◇茨城の「なべねぎ」
  • 「なべねぎ」は、トキタ種苗の「なべちゃんねぎ」。茨城県のいわい農協で、もう5〜6年前からやっています。

  • いわい農協は、夏ねぎでは日本一。4月、5月、6月、7月、9月に出すねぎでは、日本でNo.1の産地です。ところが、冬ねぎでは、「深谷ねぎ」、「千寿ねぎ」、千葉のねぎなどに、ブランドで負けてしまう。冬ねぎをどうするか、というので、この、「なべねぎ」を作っています。一本ねぎと下仁田ねぎを掛け合わせたねぎですから、白いところは長くて太くて、葉っぱもしっかりしている。収穫は、2月半ばぐらい、ちょうど、サラダ商材に切り替わるぐらいまで。11月から2月まで、安定的な出荷ができるので、お客さまもついてくる。機能性成分の硫化アリルが多く、しかも、食べるところも多いというねぎです。
◇「小ねぎのあんちゃん」&「ちゃんこねぎ」
  • 深谷の業者さんが独自に全国展開をしている「小ねぎのあんちゃん」という名前のねぎは、トキタ種苗の「ちゃんこねぎ」です。

  • 「ちゃんこねぎ」にも、下仁田の血が入っています。通常、これぐらいの大きさだと、「九条ねぎ」に近く、味もマイルドで、あまり主張しないのですが…。「ちゃんこねぎ」は、生で食べると辛い。でも、炒めたり、鍋に入れたりすると非常においしい。薬味に使うとパンチが強い。

  • 一昨年、あるスーパーで試食販売をしたところ、1日400束ぐらい売れた。食べ方は、だししゃぶ風の鍋にしたものと、浅漬け。2〜3cmの斜め切りにして、浅漬けの素に漬けて、すぐに出した。ピリ辛感があって、非常においしいと評判でした。

  • 最初、10cmぐらい土寄せをした。そのためには、畝幅を取らなければいけない。そうすると、生産性が落ちる。で、試験的に、土寄せをしないで、畝幅を狭くして、植えっぱなしにした。それをスーパーで売ったんです。結果、白いところが10cmであろうが、3〜4cmしかなかろうが、全然関係なかった。春でしたから、首の分岐部から、ねぎ坊主が顔を出していたんですが、1cm前後のこの大きさだと、かたくない。ですから、坊主が出ていても、全く問題なく売れました。

  • 「ちゃんこねぎ」のように、味の主張があるねぎは、機能性に優れた硫化アリルなどの成分も高い。こういったものは、メーカーとしても、積極的に消費者にPRしたい、と考えています。

◇ねぎの市場動向
  • 昨年、価格的には、ねぎはまずまずだった。大根、白菜、キャベツ、レタス、ブロッコリーなどは、かなり厳しい値段もついていたが、ねぎに関しては、そこそこよかった。年明け以降は、高め。

  • ねぎは12℃〜22℃ぐらいで、いちばんよく育つ。だから、関東地方の7月〜9月頭ぐらいまでは、ねぎにとって非常に厳しい環境。ただ、去年は冷夏だったので、育ちがよく、夏越しぐらいまでは、非常に豊作だといわれていた。ところが、一部で、その後の雨や台風の影響を受けてしまった。

  • 埼玉・深谷の隣にある、熊谷では、去年は雨が多くなかった(年間降水量1115mm)から、深谷のねぎは、まずまず豊作。

  • 千葉の海岸線沿いの大産地では、年間降水量1800mm以上と、去年は雨が多かった。特に台風以降、非常に雨が多く、ベト病などが大発生し、出荷量が相当減った。東北、北海道でも、ベト病などの病気が非常に多かった。

  • ベト病とは、葉っぱに黄斑のようなものがついて、かびが出る病気。ねぎの生育にいちばん重要なのは、葉っぱ。ここで光合成をするので、葉っぱがないと育たない。葉っぱが病気になると、生育が止まってしまい、ねぎがどんどんやせていく。ものが少なくなる。

  • 関東の千葉、埼玉が、日本全国No.1、No.2の作付面積なので、どちらかが転べば、ねぎの値段は上がる。

  • ほかの野菜と決定的に違うのは、ねぎは、収穫まで8ヵ月〜1年かかるという点。レタス、白菜、キャベツなどは、2〜3ヵ月でとれる。一方、ねぎは1年かけてとる野菜なので、普通は、それほど値段の乱高下がない。

  • 中国からの輸入量は、2006年までは年間7万tぐらいだったのが、2007年のギョーザ事件を機に激減。2008年、2009年は、だいたい3万tちょっと。

  • 輸入は減少しているが、国産の作付はほぼ横ばい傾向。
◇ねぎ農家は新規参入が難しい
  • 平均では、農家1人につき、5kg箱で20ケースぐらい出す。今の時期は、いちばん値段もいいので、ある深谷の農家さんでは、ピーク時、3人で100ケースぐらい出すらしい。そうなると、睡眠時間が4〜5時間になり、とにかく体が資本。

  • ねぎは、特に、収穫後の調整が大変。根を切って、皮をむいて、箱詰めする、という労力が全体の8割方かかる。種をまいて植え付けをして…、というのは、機械化がだいぶ進んでいる。

  • 新規で入ってこようと思っても、機械に投資が必要。ねぎの土寄せ、種をまく、収穫する、皮むきをする。みんな機械だから、なかなか新規参入ができない。そこで、作付面積も、それほど増減がない。
◇葉ねぎ産地に変化あり
  • 去年10月8日の台風で、一本ねぎの被害はそれほどなかったが、西日本からずっと、葉ねぎ産地を縦断していった。葉ねぎは、ハウスだけでなく、露地栽培もある。強い雨風が来ると、葉っぱが全部折れてしまう。台風のあと、業者さんから、関東から北で、葉ねぎや中ねぎを作っているところを紹介してくれないか…、という問い合わせがずいぶんありました。

  • 今後、一本ねぎの産地というのはそれほど変わらないが、葉ねぎ産地は、関東から北が間違いなく増えていく。今は西に偏りすぎている。

  • 現在は、食文化の交流があるので、関東から北のほうでも、葉ねぎを食べる習慣が出てきている。この間も、業者さんを茨城の方と結びつけ、新たに葉ねぎを作ろう、という動きがあった。

  • 東北のほうでは、宮城のみどりの農協が葉ねぎを出している。みどりの農協では、20年ぐらい前と比べると、葉ねぎの売上げが2倍になっています。

  • 北海道の大規模な生産者には、直接、西日本の業者さんが、夏場の葉ねぎ、中ねぎを作ってくれ、と…。そういう話が増えている。今まで西日本だけで作られていた葉ねぎが、だんだん全国に展開しています。これには、気候の影響がある。ねぎは夏の暑さには弱い。雨風にも弱い。それで、西日本だけでは、対応ができない。今後、産地が変わってくるのではないかと思います。
◇雨に弱いねぎ&農家の苦労
  • 2008年の8月、台風が大雨を降らせた。トキタ種苗の大利根研究農場の種取り用の畑では、1日に100mm単位の雨が連日降ったあとの8月30日、畝と畝の間に水が貯まっていた。こういった状態が、ひと晩、ふた晩続くと、窒息状態になり、ねぎは腐ってしまう。それから3〜4日経った9月3日に同じ場所を見てみたところ、植わっていたねぎが消えてなくなっていた。

  • 2008年は、全国的に、8月頃雨が多かったので、市場からのクレームが非常に多かった。段ボールの底が全部濡れているとか、開けたら葉っぱが黄色くなっていたとか…。畑で抜くときはいいのですが、輸送中やお店に並べるときに傷みが出てしまう。農協の出荷場では、1日100ケース持ってくる農家でも、10ケースの農家でも、基本的に、1箱チェックするぐらいだが、2008年は、全部中を開けてチェックしたり…。そうしてクレームを最小限に止めよう、としていた。

  • ねぎは、天候の影響を非常に大きく受けるので、生産者の苦労も半端ではない。

  • ねぎ農家は数が多いので、農協が指導しても、なかなか、品質の平準化がむずかしい。

  • 特に関東近辺の優秀な方は、地元の市場や直接販売というかたちをとっていることも多い。埼玉・深谷には、ねぎ専門の市場がいくつかあって、そこでは、1箱2500円の人から、1000円の人までいる。いい方のものは、間違いなく、いつもいい。

  • 個人のいいものは高く売れる。共選になると、全部混ざってしまうので…。現場サイドにも、正直、ジレンマがある。

  • 農協で全部皮むきをしている産地もある。鳥取の農協では、大きな共選場に農家がねぎを持ってきてベルトコンベアに乗せると、機械で根っこを切って皮をむいて、光センサーで等級を分けて…。結束、箱詰めは手でやる。農家のレベルはいろいろでも、機械で選別をするので、ものが揃い、まずまずの単価がとれる。
◇深谷地域のねぎの植え付けは「さし苗式」
  • 深谷地域は、利根川沿いにある。トキタ種苗の農場は大利根町にあり、夏ねぎの大産地であるいわい農協も近い。千住ねぎも近くですから、利根川沿いは、ねぎの産地といえます。地力があるので、いいねぎがとれる。地力があるということは、粘土分を含んでいる、ということ。

  • 昔は、溝を掘って、ねぎの苗を植え、土を削りこんで平らにし、30cmぐらい土寄せをしていた。ところが、最近の異常気象、ゲリラ豪雨などで、雨が降ると、粘土質では水が逃げない。そうすると、ねぎが腐ってなくなってしまう。そこで、溝を掘らないで、穴を開けて、そこにねぎを差し込む「さし苗式」が主流になった。深谷は親子3代ねぎをやっているという人もいる歴史のある産地だが、さし苗が当たり前。自然に、こうした方法が生まれてきた。

  • 水はけの悪い畑ではなく、もっと中のほうに、赤土で水はけのいい土壌の畑を借りて、桑畑を開墾し、そこに作付けをする…という農家も増えている。異常気象に対応して、いろいろ工夫をされており、農業経営も大きく変わっている。
◇対面販売への期待
  • 八百屋さんが大型スーパーと違うのは、対面販売ができるということ。大型スーパーは、多少虫が食っていたり、色が悪かったりすると、扱ってくれない。見た目重視。「下仁田ねぎ」は、休眠性のねぎなので、今の時期だと、葉が枯れるのが当たり前。枯れるということは、白い部分に栄養分が蓄積されている、ということで、食べてみると、葉が青いものより、枯れたほうが味はいい。それをきっちりと消費者の方に伝えていただきたい。

  • 見た目が悪いのがダメであれば、下仁田と一本ねぎをかけた品種もあるので、使い分けをしていただければ…。

  • 青い葉っぱも食べていただきたい。普通の一本ねぎでも、炒めたりすると、結構おいしい。ラーメン屋さんなどでは、肉や魚のくさみ消しに上の葉っぱも全部使っている。それから、「ちゃんこねぎ」をしゃぶしゃぶ風に食べるとか…。ぜひ、みなさまのおちからで、どんどん食べてもらえるようなかたちを考えてほしい。

  • ねぎは、昔は薬といわれていたほど、体にいい野菜。また、今が旬で、いちばんおいしい時期。消費者の方に、「見た目は悪くてもおいしいねぎだよ」と、ぜひ、対面販売で売っていただきたい、と期待しています。
◇その他、質疑応答より
  • 富山の「ねぎたん」は、全長40cmほど。60cmあると買い物袋に入らないということで、富山では短いねぎを積極的に展開している。2〜3本結束で、白いところは15cmぐらいしかない。葉っぱを食べないと、食べるところがない。「葉っぱを食べよう」と、どこまでPRされているのかが分かりませんが…。買い物袋に入るのがいい、と消費者が思えば、ありかもしれない。

  • ねぎの茎のことを「盤茎(ばんけい)」という。ちなみに、白いところは葉っぱ。茎ではない。ねぎの成長にとって、茎の部分がいちばん重要。ここが傷ついてしまったりすると、病気が入る。ねぎの定植には、ねぎ苗を植えるやり方のほか、ペーパーポット栽培といって、小さなポットに種をまく方法もある。ポット栽培は、根っこや盤茎にダメージを与えないので、スムーズに育つ。茎を守る、というところから生まれてきた方法のひとつ。

  • ねぎの本来の姿は、「リーキ」のようなかたち。もともと乾燥したところで作られていた野菜なので、特殊なかたちをしている。関東でリーキが作れないのは、雨が多いから。雨を受けると、中に入ってしまい、全部腐ってなくなってしまう。

  • 千葉の「海っ子ねぎ」は、台風がたくさん来たときに、一回海水をかぶってしまい、ほかの野菜は全滅したのですが、ねぎにはそれほどダメージがなく、できたものを食べたら、結構味もよかった、と。それで、九十九里のほうでブランド化された。品種が決まっていない。規定は、海水を3回以上かけたもの。ほかの産地との差別化は図れるし、狙いとしては面白いと思うので、品種の統一や出荷時期の限定などがされていけば、もっと付加価値がつくのかな、というのが個人的な見解です。

  • 「せんじゅねぎ」には、「千住」と書くものと「千寿」と書くものがありますが、「千寿」のほうは業者さんがつけている名前。品種ではなく、ブランド名。

  • 今の一本系のねぎは、ほとんどがF1品種。異常気象や病気の問題があり、在来種を作ろうと思っても、なかなか作れない。どこの産地もF1品種の比率が、7〜8割ぐらいになっている。

  • 「坊主知らず」という千葉のほうで作られているねぎは、基本的には、坊主が出ない。株を1本ずつ植えると、15本とか10本くらいに分蘖(ぶんけつ)するねぎです。今は、作り手が減少している。

  • 白い部分がまっすぐではなく、ふくらみかけているねぎは、素直に育っていないと考えられる。普通、一本ねぎは、まっすぐ育つ。ところが、生育中にストレスがあると、成長点を守るために、栄養分を蓄えてしまう。そうすると、ふくらんでしまう。味的には、ほとんど差はないのではないか。ふくらんでいる部分は、若干、濃度が濃いかもしれない。

  • ねぎは、成長点に近い部分が最も甘い。ほうれん草の根っこの部分を食べるのと同じこと。やはり、成長点のあるところが、いちばん濃度が濃くなる。冬場、凍ってしまうと、成長点がやられてしまうので…。

  • 青い部分の農薬を気にしている方もいるようだが、登録農薬をきっちり守って使っている限り、全く問題はない。今、トレーサビリティも含め、産地としても徹底しています。市場を通じてちゃんと流通しているねぎは、チェックもされていますし、大丈夫です。

  • 本当の「下仁田ねぎ」は、2年かけて収穫する。1年目に上が枯れたら、また植え替える。今はほとんどが1年で出荷しているが、2年ものは太さが違う。

  • 「葉たまねぎ」というのは、ねぎではなく、たまねぎの系統です。
 

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