■2009年7月26日 第4回 〜 食べくらべ
◇かぼちゃの食べくらべ
  • 「みやこかぼちゃ」(神奈川・三浦市農協)、「ETかぼちゃ」(茨城・Nマーク)、「きぬ名栗かぼちゃ」(茨城・北つくば結城)、「ほっとけ栗たん」(茨城・行方)、「坊ちゃんかぼちゃ」(熊本・JA熊本市北部)、日本かぼちゃ「黒皮」(千葉・いんば農協佐倉)の6種類を蒸して食べくらべた。

  • 未熟果「コリンキー」(神奈川・三浦市農協)は、生をスライスしてサラダで試食。

  • 蒸しかぼちゃにもした「みやこ」は、スープも試食。

  • ズッキーニは、緑と黄色の2種類を、卵の衣をつけて焼く韓国の「ジョン」風の料理で食べくらべた。
かぼちゃの食べくらべ
[かぼちゃの感想]
  • 蒸した「みやこかぼちゃ」の感想は、「ホクホクしていて甘い」、「甘みが強く、おいしかった」というものもあれば、「けっこうたんぱくだった」というものもあった。

  • 「ETかぼちゃ」は、「ちょっとしっとりしていて、甘みもあり、おいしい」、「栗の味がしていい」、「食感がいい」、「食べたときに、栗のような香りがふわーっと広がる」、「全体的にバランスがとれていて好き」、「思っていたよりおいしいな、と思った」など。

  • 「きぬ名栗かぼちゃ」は、「名前ほど、“口溶け”は感じられなかった」、「正直、今日食べたのはあまり…」など。
  • 「ほっとけ栗たん」は、「栗っぽい味がした」、「ETと似ていたが、ほっとけ栗たんのほうが、ややホクホク感が落ちる。甘みもちょっと少ない」、「甘みがなく、水っぽい」など。

  • 「坊ちゃん」は、「もとは粉質だが、時期のせいか、やや粘質もあるかな、という感じ」、「甘さは非常に強い」、「普通の家庭だと、大玉かぼちゃは、どうしても腐らせてしまうが、坊ちゃんは食べきりサイズで残さず食べられる」など。

  • 日本かぼちゃの「黒皮」は、「久しぶりに食べたのですが、けっこうおいしかった。一度調理してみたい」、「どんなふうに料理したらおいしくなるのかが知りたい」など。

  • 「コリンキー」のサラダは、「非常に独特で興味深かった。また食べてみたい」、「シャキシャキしていて、おいしかった」、「生で食べられる、ということにビックリした。かぼちゃというと、調理しなくてはいけないイメージ」、「生でそのまま食べられるので、ドレッシングの味つけ次第」など。これらの意見に対し、講師の飯野氏より、「かぼちゃには、完熟したかぼちゃと、若いかぼちゃがある。コリンキーは、生で食べられるように売り出している若いかぼちゃ。普通のかぼちゃも、若いうちにとれば、漬物やサラダなど、生で食べられる」という補足説明があった。

  • かぼちゃ全般について、講師の飯野氏より、「かぼちゃには、粘質と粉質、甘みがないものとあるものがあり、非常に好みが分かれる。また、品種が同じでも、作った時期や場所等で、若干差が出るもの。ここで食べたものだけを基準にして、この品種がおいしい、まずい…と差をつけないでいただければ」。

  • ズッキーニについては、「とてもおいしかった」、「黄色とグリーンでは、黄色のほうがちょっとやわらかかった。食感が違った」など。
[荒井慶子先生より、調理について]
  • ズッキーニの料理は、上田フサ先生から教えていただいた、韓国風のジョンに似た料理にしました。輪切りにしたズッキーニに小麦粉をまぶし、ムニエルのように両面を焼き、あとで卵を流します。韓国料理では、もう少しズッキーニを薄く切って、粉と卵液をつけて焼くのですが、これがなかなか難しいんです。ですから、先に粉だけで焼いておいて、あとで卵を流しました。小さい子どももよく食べる調理法です。

  • コリンキーを使ったサラダのフレンチドレッシングの割合は、お酢30tに、サラダ油70t。それに、塩1.5グラム(小さじ約1/3)と、こしょう少々です。
荒井慶子先生
◇えだまめの食べくらべ
  • 「サヤムスメ」(青森・田子町農協)、「湯あがり娘」(秋田・全農あきた県南園芸)、「茶豆」(新潟・新潟みらい農協)、「味緑」(群馬・ 沼田利根蔬菜出荷組合)の4種類を塩ゆでで食べくらべた。
[えだまめの感想]
  • えだまめは、4種類すべて「おいしい」との感想があったが、なかでも、特に、「味緑」の評価が高かった。具体的には、「風味がものすごくいい」、「豆の香りがすごく強く出ていて、手に取った瞬間から香りを感じることができる」、「産者さんがすごく努力しているのが分かる」など。

  • その他、「えだまめは、収穫時間によってすごく味が違う。とれたてを畑で食べたらもっとおいしいのだろう」、「いろいろ条件が違うと思うので、今回だけで評価しないようにしたい」など。

  • また、束で売られる枝付きのえだまめと、袋入りのえだまめについての意見が多数出された。その一部は次項の通り。
[枝付きえだまめと袋入りえだまめについて]
  • 今の人は、枝付きをむくことに拒絶反応を示す(冷凍えだまめを食べている人は特に)。うちの店では枝付きはほとんど売れない。袋入りのほうが売れ行きがよく、すすめやすい。

  • 枝付きと袋入りでは、出荷までにかかる日数が1日違うという。作業場で全部カットして袋に詰めるまで、1日かかる。 当然、その1日分の味の違いが出るはず。

  • 枝付きは、発泡スチロールに水を張って、そこに立てておくと、次の日も比較的鮮度が保てる。

  • うちの店では、20年ぐらい前に、束のえだまめは売らないことに決めた。一般の消費者は面倒だというし、飲み屋の人が買いに来ると、「八百屋さん、もいでおいて」と言われる。また、枝付きは、特定の品種を市場で買うことができない。昨日売ったえだまめがおいしいといわれても、次の日、必ずそれを手に入れることができない、という難点がある。豆というのは、とったらどんどん劣化する。温度管理をきちんとして、立てて管理すればいいが、ただ表に出しておくだけだと、朝、真っ青だった豆が、夕方にはひどい見た目になってしまう。

  • うちは、農家が多い地域で八百屋をしている。市内でも300軒の農家がいて、そのなかでも、明治屋や伊勢丹に並ぶような野菜を作っている生産者から、枝付きのえだまめを、仕入れている。普通だと、今日収穫したえだまめが明朝大田市場に並ぶわけだが、うちはその前に店頭に出せるので鮮度が落ちないうちに売ることができる。近所の居酒屋さんで、枝付きえだまめを、わざわざ毎日買いに来てくれる人もいる。たまたまうちの地域は、生産者がたくさんいて、恵まれているともいえるが、農家が直売所を持っているので、枝付きえだまめが、そこらじゅうで、いくらでも安く売っている。それと同じものを売ったら、「直売所のほうが安くておいしい」と言われてしまう。差別化するために、その中でもよりすぐれた生産者に絞っている。それもひとつの商売の仕方だと思う。
[荒井慶子先生より、調理について]
  • えだまめのゆで方について。ゆでるお湯はひたひた、やっとかぶるぐらいの量です。それに対して、塩は0.5%。ほとんど感じないぐらい。沸騰したらおだやかな火にして、ちょうどいい具合までゆでました。

  • かたさを比べるという意味からいうと、3分なら3分、4分なら4分と決めて、ゆでたほうがいいのかもしれませんが…。それぞれ、やわらかくなるまでということで、ちょっとずつ時間が違います。

  • これまで、食べくらべの勉強会などで、いろいろな方法でやってきましたが、故江澤正平先生が、今日のようなゆで方がいちばんいいのではないか、とおっしゃっていましたので、この方法にしました。
◇その他
  • 山形の伝統野菜「民田なす」の塩漬けを試食。

  • モモはこの場では試食せず、ひとり1個ずつ持って帰ってもらった。
 

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