ダイコンの葉の話が出ましたが、私が子どもの頃は、母親が捨てずに料理してくれていました。
私の兄が長野でりんご農家をしており、毎年2箱送ってくれるのですが、最近はりんごを生で食べる人が減っています。りんごの年間消費量は3.4kg、20代になると1.7kgだそうです。わが家では、りんごをレモンスカッシュで煮て、冷やして食べています。ちょっとぼけたりんごでも高級デザートのようになり、子どもも喜んで食べています。また、それをアップルパイにして楽しんだりもしています。
梅は、梅酒にしてもなかなか減りませんが、梅シロップにすると、子どもたちも喜んで飲みます。保護者のみなさんに梅シロップ作りの講習会を開くと大変好評です。このように、ちょっとした工夫でガラリと変わるので、口コミというのは非常に大事だと思います。商品知識も大事ですが、食べ方を伝えることも重要です。
今日のテーマ、ナバナは、ゆで加減が最も大切で、煮すぎるとおいしくありません。でも、その加減がわからない人が多い。いま、料理ができない人が多いので、手軽にできる料理や、産地での食べ方を教えてあげるといい。市場でも紹介していますが、食中毒などの問題からいろいろと制限があります。量販店でも危ないから包丁は使えないとか、熱いスープは出せないとかがあって、現場でもなかなかおいしさを伝えることができない現状がありますが、八百屋塾のような勉強会からの口コミが大事なので、いっしょになってがんばっていきたいと思います。
今日は、いろいろな産地からナノハナが来ています。千葉県、安房農協の「菜の花」は、ベテランの高齢者が1ケース作るのに2時間もかかります。それだけ手間を掛けている商品です。千葉県も徳島県も香川県も高齢化で、生産量が半分以下になっています。ダイコン、キャベツのような重量野菜は5町、10町とか、かなりの面積でやっている人が多いのですが、ナバナを生産する方は、1〜2反歩とか、その1/10とか、細かい面積でやっている場合が多く、ナバナだけで生計を立てているところはまずないと思います。ちなみに、1町歩(1ha)は1万平米(100m×100m)です。1反は1町の1/10です。
7〜8年前にポジティブリストができて、農薬が制限されました。ダイコン、キャベツのような主要な品目にはいろいろな農薬が使えますが、ナバナのような細かい品目には使える農薬がありません。いままで使えていた農薬も使えなくなりました。冬場にはあまり虫はいませんが、春になると出てきて、収量が下がり、生産者が減ってしまった、ということもあります。
ナバナはほとんどが露地栽培で、春しか栽培できません。主要品目のように、旬ではない時期にも野菜を作る技術がすすんでいません。人間は、山菜、ナバナなどの野菜をその季節に食べて春を知るという面があると思います。苦みはポリフェノールの一種で、体にもいい作用があるといわれています。こうしたことも消費者の方にもっと伝えていくべきだと思います。
ナバナには連作障害が起きることも、生産を続けられなくなる原因のひとつです。
「つぼみ菜」、「ミウラーゼ」、「オータムポエム」などは認知されていないので、単価も出ず、やめてしまう人が多い。「チーマ・ディ・ラーパ」は栃木県で作っていますが、生産者が2人しかいないので、欲しいときにものがないなど、なかなか安定しません。遠州中央の「油菜心(ゆさいしん)」は一年中出ていますが、量的には不安定な部分があり、なかなか浸透しません。
消費者に食べ方などをどう伝えていくかが一番重要ではないでしょうか。みなさんといっしょになって考えていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
【八百屋塾2013 第11回】 挨拶|講演「菜の花と新しいダイコンのお話」|勉強品目「ナバナ」|食べくらべ