■2013年8月18日 第5回 〜 商品情報「みおぎピーマン」
  • JAしおさいは、茨城県の東の外れ、神栖、鹿島地域にあります。

  • 代表的な作物は、ピーマンとメロンです。砂丘地帯で水はけがよく、気候条件もピーマン栽培に適しています。これまで40年栽培を続けており、ピーマンの生産量全国1位を誇っています。

  • ピーマンの品種は、「みおぎ」に統一しています。「みおぎ」は色がよく、肉質はやわらかで、生でもおいしいピーマンです。

  • 平成17(2005)年度から、養液土耕栽培に取り組み、土の上で、点滴チューブを使って、毎日、適量の水と肥料を送り、栽培しています。ピーマンは肥料に鈍感な作物なので、肥料を多くやりがちなのですが、コンピュータ制御による自動化システムで、生育ステージにあわせて肥料、水を管理し、従来よりも、肥料(特に窒素成分)を30%減らすことが可能になりました。収量は逆に10%ほどアップしています。

  • 10年ほど前から、害虫防除の目的で、天敵昆虫を利用した減農薬に取り組んで来ました。天敵昆虫を2種類と、フェロモン剤を使用することにより、農薬散布が劇的に減少しました。殺虫剤は、ほぼ散布しません。うどんこ病などの予防のための殺菌剤は、1作につき数回にとどめています。平成22(2010)年度より、全部会員で天敵昆虫を導入しています。

JAしおさい 青果物生産部会
青年部 副部長 菅野弘行氏


みおぎピーマン
  • こうした環境にやさしい栽培技術の取り組みのを進めてきた結果、平成23(2011)年、JAしおさい青果物生産部会全員が県の特別栽培の認証を受けることができました。

  • 平成20(2008)年の夏より稼働した集出荷場は、現在、1日60トンの出荷能力があります。集出荷場では、農家が収穫をすると荷受けをして、人の手で選別し、重量計測をして、箱詰め、出荷しています。農家は、選別、箱詰め作業が大変なのですが、この出荷場ができたことにより、朝収穫したものが翌日には店頭に、より鮮度の高いピーマンが出荷できるようになりました。万が一、不具合が生じた場合でも、袋にQRコードがついており、追跡調査が可能です。

  • 「みおぎ」は生でもおいしいピーマンなので、加熱しない調理にも向いています。量販店さんでの消費宣伝で、試食を出すことがありますが、子どもたちからの評判もいいです。火を使わないおすすめのレシピは、「ピーマンとさきいかの和え物」と「ピーマンの塩昆布和え」。どちらも、生のピーマンを細かく刻んで、さきいかや塩昆布と和えるだけです。ぜひお試しください。
 
■2013年8月18日 第5回 〜 商品情報 「イタリアのアーティチョーク」
  • 3月末から4月にかけての2週間、イタリアに行き、アーティチョーク栽培の現場を見てきました。

  • 場所は、イタリア中部、ローマのちょっと上にある、ラディスポリで、イタリアの中でも避暑地として知られています。ラディスポリの特産は、アーティチョークとそら豆です。

  • アーティチョークには、尖った形と丸い形の2タイプがあり、ローマあたりで作られているのは、「ロマネスコ」という丸いタイプです。

坂本晶子氏
  • ローマ近郊では、アーティチョークの樹が私の背より低いくらいの大きさで収穫します。特別な道具ではなく、ごく普通のナイフで切っていました。

  • 収穫して集めたアーティチョークをサイズで分けて、コンテナに入れ、運んで箱詰めをして、最高級のLサイズのもので1箱に10〜15個詰め、最終的に、農家さんの名前の入ったセットにします。

  • イタリアの農家では、1株につき5〜6個のアーティチョークを作ります。日本では10〜15個つけるので、栽培環境は違うにしても、肥料の行き渡り方などが違ってくると思います。

  • イタリアでは、葉をたくさんつけたまま市場に送ります。邪魔だと思われるかもしれませんが、これは鮮度の証明です。朝とって、その日のうちに持って行って、極力新鮮なうちに売り切る。遠いところに送るとしても、最低2〜3日で売り切る、というのが基本的な考えでした。

  • アーティチョークの食べ方は、日本では、ボイルしてオリーブオイルで食べるぐらいだと思います。イタリア全土でポピュラーなのは、アーティチョークを切って、中にこしょうとパセリを入れて煮る食べ方です。卸に持って行く段階では、アーティチョークはトゲトゲの形のままですが、街のメルカートなどでは、家庭に持ち帰ってすぐ調理できるように切って、酸化しやすいので、レモン水につけて売られていました。大きなアーティチョークの下のお皿の部分だけを食べることもあり、これは北部のベネト州の伝統的な食べ方です。

  • 私は、4年間で30軒ぐらい、日本でアーティチョークを作っている農家さんを回ったことがあります。そのときのことを思い出すと、育て方がいけないのではなく、収穫する時期が遅い。アーティチョークを切ると、中にフワフワとした羽のようなものができます。その段階では、もう遅いんです。とる段階ですでに遅いから、調理してもおいしくない。そういう残念な状況があるので、農家さんや市場さんがもっとアーティチョークについて知っていただいて、消費者やレストランに受け渡しをしていただきたい、と思います。

  • 日本では、アーティチョークのおいしさを知らない人が多いと思います。かつては私も好きではありませんでした。でも、イタリアで食べたら、すごくおいしかったんです。イタリアでは、アーティチョーク20個で3,000円くらいで買えます。日本では、安いファーマーズマーケットなどでも1個600円ぐらい、百貨店では1,000円を超えてしまいます。しかも、食べられない部分が多い。でも、きちんと作ったものは本当においしいので、ぜひ、適期に収穫したアーティチョークを食べてもらえるよう、八百屋さんにもがんばっていただきたい、と思います。

  • 日本では、4月〜5月下旬が旬で、神奈川の三浦、千葉、福岡、高知などから出てきます。イタリアでは、1月下旬〜5月下旬までがシーズンです。

  • イタリアと日本では、土壌の環境がまったく違います。イタリアは赤土で粘土質。土を触ると、質感がまったく違います。

  • 品種は、日本の種苗メーカーがいろいろな名前をつけているようですが、イタリアでは、尖ったタイプと丸いタイプ、あとは緑か紫か、それぐらいしかありません。

  • 日本の農家は、タネからアーティチョークを育てるのですが、イタリアではタネからは育てていませんでした。また、周囲の雑草もまったく抜いていませんでした。環境もあるとは思いますが、日本でおいしいアーティチョークが広まってくれることを願っています
 
 

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