■2013年11月17日 第8回 〜 勉強品目「だいこん」について 東京青果(株) 吉井正人氏 |
◇勉強品目「だいこん」 |
- 昨年1年間の東京都中央卸売市場への入荷量は、だいこん全体で、13万3,379トン。そのうち、千葉県が約4万9,000トン、神奈川県が約3万トン、北海道が約2万4,000トン、青森県が約1万8,000トンで、この4県で全体の2/3以上を占めています。
- 11〜6月まで、千葉県が平均して多い産地で、三浦、横浜を中心とした神奈川県は11〜3月。北海道と青森県は7〜10月と、大産地が重なっているので、豊作であれば相場は低くなります。今年は台風や雨の影響で、今のところ重ならずに商品が入ってきています。千葉県が遅れており、三浦も出始めましたが、関東近辺のものは例年より少ないようです。
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- 西の産地では、徳島県の「里浦だいこん」が、関東ではおいしいだいこんとして有名です。11月後半から出始めると思います。長崎県、鹿児島県、和歌山県なども大きな産地ですが、あまり関東には入ってきません。千葉県、神奈川県などが少ないときは引っ張ってくることもありますが、価格はやや高くなります。
- 群馬県、佐波伊勢崎農協の「辛みだいこん」は、名前の通り辛みが強く、主に薬味に使用されます。
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神奈川県、三浦の「レディサラダ」。三浦だいこんと外国のだいこんのタネから作られたもので、赤い皮が特徴。女性をイメージした商品だそうです。
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「紅しぐれだいこん」は、皮も中も赤いだいこんです。酢漬けにすると、より赤みが増してきれいになります。白いだいこんが多いので、料理のアクセントに使うといいのではないでしょうか。
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静岡県の「紅芯だいこん」は、外は白と緑、中は赤いだいこんです。中華料理の飾りなどにもよく使われます。
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千葉県の「青首だいこん」、これがごく一般的なだいこんです。
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千葉県の「葉つきだいこん」は、白い部分と葉の部分のバランスをとるのが難しいそうです。
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神奈川県、三浦の「味一番だいこん」は、青首の短いだいこんです。店に並べやすく、お客さまも持って行きやすい。また、味がしみこみやすいので、大手の焼き肉店のカクテキにも使われています。煮物にしてもおいしい。三浦のほか、千葉県、群馬県などでも作られています。
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加賀野菜のひとつ、「源助だいこん」。愛知県の井上源助という人が、石川県金沢市打木町の松本佐一郎さんに頼まれて栽培したのが始まりだといわれています。肉質はやわらかいのですが、煮崩れしにくいのが特徴で、金沢の料亭などでよく使われています。
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東京都、葛飾の「もみな」。葉を食べるもので、炒め物や漬け物に。
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神奈川県、三浦の「三浦だいこん」。今日の「三浦だいこん」はまだ小さいほうです。市場には、12月25日か26日から3日間だけ入荷します。1本3キロぐらいになり、それを5本まとめてビニール袋に入れ、競売にかけます。活気溢れる競売で、市場の年末の風物詩になっています。
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「桜島だいこん」は、12月25日頃、鹿児島で競りにかかります。それを、われわれ荷受けが注文してとります。巨大で見た目にインパクトがあるので、食用だけでなく、店のディスプレイなどにも使われます。1月いっぱいぐらいまでなら取り寄せ可能です。
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◇だいこんの写真 |
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■2013年11月17日 第8回 〜 その他の勉強品目 (株)果菜里屋 高橋廣道氏・高橋芳江氏 |
◇その他の勉強品目 |
- 今日は、長野県や大阪府に伝わる伝統野菜のだいこんなども持ってきました。長野県は山に囲まれた土地なので、外に出ないで、ずっと残ってきただいこんが多く見られます。
- 地方野菜に関する本を読むと、だいこんには長い歴史があり、人間にとって大切な野菜だったことがよくわかります。全国各地に地だいこんがあり、神社仏閣のお供えものにしたり、食文化としては、たくあんなどの漬け物にして飢えをしのぐのにも役立ってきました。みなさんも、ただ売るだけではなく、そうした背景、歴史、文化などにも触れると、また野菜が違って感じられると思います。
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- 江戸野菜の「亀戸だいこん」は、江戸川区の農家さんが作っているものです。
- 長野の「ビタミンだいこん」は、中まで緑色をしただいこんです。
- 「田辺だいこん」は、なにわ野菜のひとつです。知り合いの先生に急遽送っていただきました。
- 「大鰐温泉もやし」は、青森県の伝統野菜のひとつで、めったに食べられないめずらしいもやしです。昨日から、渋谷のヒカリエで食のサミットが開催されており、伝統野菜のコーナーに出ています。時間があればぜひヒカリエにお立ち寄りください。
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◇その他の勉強品目の写真 |
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