F1は、自分の花粉がかかったタネが混ざると、弱いものが出現してきてしまうので、2つの親の間でしか交配できないようにして、良いタネを採ります。そこで利用するのが自家不和合性と雄性不稔性という性質です。
自家不和合性とは、自分のめしべに自分の花粉がかかっても種子ができないという性質です。その種子のできない程度には、タネが全くできないもの、少しできるものまで巾がありますので、ほとんどできないものを親に使って、2つの親の間からしかタネが採れないようにします。
もう一つの雄性不稔性とは、タネを採るほうの親に利用する、花粉ができないという性質です。Aの親からタネを採るためには、Bの親の花粉が必要になります。
F1品種を採種するには、親の系統をそれぞれ維持する必要があります。また、親を揃えすぎると弱くなってしまうので、それを回避するために、親に対してもまたF1を作ることがあり、その場合には、F1を採るためには、4つの系統が必要になります。
かつて、三浦半島で作られていた三浦だいこんは、あっという間に青首だいこんにとって替わられました。昭和54年(1979年)の台風20号で大きな被害を受けた三浦だいこんの畑に青首だいこんを播き直したことがきっかけで、約3年ですっかり青首だいこんが主流になりました。青首だいこんは片手で抜くことができ、箱詰めも出荷もラクだったこともあると思います。ちなみに、台風20号はものすごい勢力で、未だに中心気圧の記録を持っているそうです。
中が青かったり黒かったりするのは遺伝的なものが関与し、品種により出やすさに違いがあり、今、解析を進めているところです。
レディサラダ、紅芯だいこんなどには赤い色素のアントシアニンが含まれています。ポリフェノールの一種なので、さまざまな機能性が考えられます。
【八百屋塾2013 第8回】 挨拶|講演「だいこんの品種、特性、魅力と可能性」|勉強品目「だいこん」|食べくらべ