■2013年5月19日 第2回 トマト 〜 食べくらべ
◇トマトなどの食べくらべ
  • トマトは3種類、愛知・JAひまわりの「桃太郎ヨーク」、茨城・JA竜ヶ崎の「レディーファースト」、栃木・JAはがのの「麗容」を生で食べくらべた。なお、A:桃太郎ヨーク、B:レディーファースト、C:麗容として、ブラインドで食べくらべを行った。

  • 福岡・八女の「桃太郎はるか」、佐賀の「光樹トマト」、茨城・NKKの「アグリドリーム」、長崎・雲仙の「ソプラノ」も生で食べくらべた。

  • 「桃太郎ヨーク」を使ったソーストマト、「レディーファースト」を使ったサルサソース、「桃太郎はるか」を使ったトマトソテーのひき肉のせも試食した。
トマト3種(桃太郎ヨーク、
レディーファースト、麗容)
桃太郎はるか
(福岡・八女)
光樹
(佐賀)
アグリドリーム
(茨城・NKK)
ソプラノ
(長崎・大雲仙)
ソーストマト(左)と
サルサソース(右)
トマトソテー
トマトソテーにのせた
牛ひき肉の炒め物
トマトソテーひき肉のせ(手前)と
皮付ベビーコーン(奥)
 
◇調理について
[古川恭子さんより]
  • 今日の料理は、ソーストマト、サルサソース、トマトソテーです。ソーストマトには「桃太郎ヨーク」、サルサソースには「レディーファースト」、トマトソテーには「桃太郎はるか」を使いました。

  • ソーストマトは温かいソースで、サルサソースは冷たいソースです。

  • ソーストマトはパンにつけてお召し上がりください。作り方は、たまねぎを炒め、トマトを加えて煮込んだだけです。ポークソテー、ハンバーグ、オムレツなどによく合います。オレガノを加えれば、おいしいピザソースにもなります。
古川恭子さん
  • サルサソースは、粗く切ったトマトに、たまねぎ、ピーマンが入っています。たまねぎを入れすぎないのがポイントです。今日はピーマンを使いましたが、アメリカやメキシコではハラペーニョという唐辛子を入れます。また、サルサソースの特徴としては、チリパウダーが入ること。今日は控えめにしましたが、もっと辛いほうがよければ、カイエンヌペッパーやタバスコを入れてもいいと思います。このままクラッカーのディップになるほか、ホットドック、冷しゃぶ、蒸し鶏などにかけたり、サラダのドレッシング代わりにもなります。色味にパクチーを添えましたが、刻んで中に入れると、とたんにエスニックな風味になります。サルサソースは、作りたてよりも、冷蔵庫で半日ぐらいおいたほうが味がなじみます。

  • トマトソテーは、トマトに小麦粉をつけてフライパンで焼きました。塩、こしょうはしていません。小麦粉をつけて焼くと、トマトから水が出ません。強火で焼くのもポイントです。皮もつけたまま焼きます。トマトだけでは物足りないので、牛ひき肉を炒めて、トマトケチャップを入れたものを上にのせました。パセリのみじん切り、タバスコ、塩、こしょうも少々加えています。タバスコを入れるとちょっとピリッとしておいしくなります。若い人向けでしたら、もっとタバスコを入れてもいいと思います。

  • こんな簡単な食べ方もあるということを、ぜひ、消費者の方に伝えてください。
 
◇食べくらべ、試食の感想
  • フルーツトマトは食べますが、普通のトマトはタネのところやザラッとした食感が嫌いで、あまり食べません。Aのトマトは熟度が進みすぎているのか、やわらかく感じました。Bは味もそっけもない印象で、Cは比較的酸味があったと思います。昔のトマトと比べると、酸味が少ない気がしました。

  • Aが比較的甘いと感じました。Cは少し酸味があると思いました。Bは粉っぽかったです。

  • グループで話したところ、佐賀の「光樹トマト」、「アグリドリーム」、「ファーストトマト」が好評でした。生で食べるのと調理したものでは一概に比較できませんが、この3つはおいしかった。個人的には、「アグリドリーム」がおいしかったです。甘くて子どもにも受けるのではないでしょうか。

  • うちの店では、昔はいろいろなフルーツトマトを売っていましたが、「アグリドリーム」が出てから、これが8割ぐらいになりました。今、24玉ぐらいが主流で、大きいトマトが好きな方にも喜んでもらえます。今日の「アグリドリーム」はちょっと酸味が強いと感じましたが、鮮度がよすぎるのかもしれません。私の場合、3〜4日おいてからのほうが味が落ち着いておいしい、とお客さんに伝えています。

  • 「アグリドリーム」は、酸味もしっかりあって、おいしかった。「麗容」は初めて食べましたが、これもおいしかったので、うちの店でもすすめていきたいと思いました。「ファースト」は子どもの頃に食べたイメージがあるので、懐かしかった。

  • 一番好みだったのは、フルーツトマトの「麗」。味が濃くておいしかった。長崎の中玉系も食べやすく、お客さんに受けるのではないかと思いました。フルーツトマトは皮がかたいのですが、甘みとうまみが凝縮されています。そういう話をしながらお客さんにすすめると、おいしいといっていただけるので、これからも自分の舌で確かめておいしいと思ったものをお客さんにすすめていきたいと思います。

  • それぞれにみんな個性があって、面白かった。個人的に驚いたのは「サンロード」。葛西市場には入っていないと思うのですが、探して売ってみたい。「アグリドリーム」の評判がすごくいいようですが、私は「サンロード」のほうが好きです。

  • 私は子どもの頃からトマトが嫌いで食べられなくて、今日、初めて生でトマトを食べました。味の違いは細かくはわかりませんが、「サンロード」、「アグリドリーム」など、値段が高いものはすごく甘くて、おいしかった。「ソプラノ」は不思議な食感で、トマトによって食感も違うのが面白かったです。「ファースト」は、酸味が強い気がしました。トマトソテーのひき肉のせは、こんがりしていてすごくおいしくて、自分の人生で一番おいしいと思ったくらいです。今日で、トマトを嫌いではなくなりました。

  • トマトの料理というと、定番はサラダやミートソースだと思うのですが、トマトソテーのひき肉のせはおしゃれでよかった。こういう料理であれば、冬場でもトマトをすすめられる。勉強になりました。

  • サルサソースはすごくさっぱりしているのに、トマトの味が濃く出ていておいしかったです。ソーストマトは、甘みも酸味も両方感じられておいしかった。トマトソテーは斬新でした。粉をつけて焼くなんて考えたこともなかった。牛ひき肉ものっているのでコクがあり、すごくおいしかったです。

  • 今日の料理は、全部、トマトの風味が生かされていておいしかったです。トマト自体に、グルタミン酸といううまみ成分が含まれているので、そのまま食べてもおいしいですし、イタリアなど、ヨーロッパでは調味料としても使われています。私は去年、トマトのレシピ集を出版しました。普段、料理をしない人でも作れる簡単なレシピを紹介していますので、お店でのトマトの食べ方提案にお役立ていただけるのではないかと思います。おすすめは、ミニトマトをお肉で巻いてオーブントースターで焼く料理。子どもと一緒に準備ができるので、すごく好評でした。食べたときに、中からトマトのうまみが出てくるのも、おいしいといっていただけました。男性から好評だったのは、牡蠣とトマトを塩麹で和え、ホイルで包み、オーブントースターで蒸し焼きにする料理です。個人的におすすめなのは、これから、暑くなって素麺が食べたくなるので、ミニトマトとめんつゆをミキサーにかけてトマトめんつゆを作り、オクラをトッピングして素麺を食べるというレシピです。本には全部で60レシピぐらい載せていて、すごくハードなスケジュールで徹夜続きだったのですが、トマトを食べていたおかげですごく元気で、トマトの抗酸化パワーはすごいと実感しました。

  • うちの店では、5月のゴールデンウィークに、店の一画にオープンキッチンを作りました。飲食の許可を取り、そこで料理やジュース、スムージーを作って出しています。私は、「2040年には7割の人が中食(なかしょく)を食べる時代が来る」という記事を目にして、これからは加工の時代だと思っています。トマトはフルーツに近い野菜なので、原体でも売りやすいとは思いますが、限度がある。今後は、お客さんが食べやすく購入しやすいものを作って売りたい。オープンキッチンは外からもよく見えるので、お客さんから、山菜の天ぷらをしてとか、きんぴらを作ってとか、たけのことふきを煮てとか、いろいろリクエストが来ます。オーダー式でやっているわけではないのですが、そうして興味を持ってもらえています。これからは、実績を積み重ねるのみなので、気合いを入れてがんばりたい。

  • ベビーコーンは、ヒゲも食べられるそうです。先ほど、ソースをかけて食べてみたら、結構おいしかった。むくみがとれるという効能もあるそうで、またひとつ勉強になりました。

 
 

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