■2013年6月16日 第3回 〜 食べくらべ
◇しょうがなどの食べくらべ
  • 葉しょうが2種(茨城と千葉)、根しょうが6種(高知のパックもの、オガワウマレ、黄金虚空蔵、熊本の八郎しょうが、高知の三州しょうが、中国産のしょうが)の食べくらべを行った。

  • しょうがを使った料理は、新しょうがの佃煮、新しょうがの韓国風ナムル、しょうがの炊き込みご飯、しょうがのマーマレード和えなど。

  • 茨城のスティッキオも試食した。
スティッキオ(中央)と
葉しょうが2種
根しょうが6種の
食べくらべ
新しょうがの佃煮
しょうがのマーマレード和え
新しょうがのナムル
しょうがごはん
 
◇調理について
[古川恭子さんより]
  • しょうがごはんは、しょうがの香りを楽しんでいただきたかったので、あえてしょうがと油揚げしか入れていません。サンマ、アジ、シーチキン、牛肉の佃煮などを入れてもおいしくできます。お茶漬けにすると体がポカポカと温まります。時間が経つと色が茶飯のようになってしまうのでご注意ください。

  • 佃煮は、ぜひ伝えてほしい、なくしたくない料理です。レシピをお配りしましたので、作ってみてください。
古川恭子さん
  • しょうがは甘酢漬けや、味噌をつけて食べる、マヨネーズをつけて食べるなどが一般的ですが、韓国の和え物、ナムルにしました。こういう食べ方もある、という提案です。

  • オレンジマーマレードで谷中しょうがを和えたものは、相性がとてもいいんです。思いついたときは嬉しくなりました。朝、パンにのせて食べるとき、マーマレードだけとはまたちょっと違う味わいが楽しめます。6月ならではの食べ方だと思います。ただ、しょうがにはたんぱく質分解酵素が含まれているので、食べる直前に和えないと、水っぽくなってしまいます。加熱すれば酵素は失活するので、サッとゆでてから和えれば大丈夫だと思います。
 
◇食べくらべ、試食の感想
  • 中国産と国産のしょうがは、明らかに違うのがわかりました。中国産は味がしている時間が短いというか、食べた瞬間に辛みがきて、すぐに消えてしまう。国産は余韻が長かったと思います。その中でも、個人的には、三州しょうががやわらかい味で、余韻が長かったので、好みでした。また、バイカラー系のトウモロコシ「ミルフィーユ」は、もちもち感が新鮮でおいしかった。

  • 最初に谷中しょうがを食べてしまい、その強烈な辛みが口の中にずっと残っていたので、食べくらべは難しかった。でも、国産と中国産の味の違いは明らかにわかりました。ごはんや佃煮はおいしかったです。

  • しょうがの味がずっと口の中に残っていて、難しかった。しょうがとマーマレードと和えた料理を見て、こういう食べ方もあるんだな、と思いました。ふだんは、何となくイメージで、高くても国産のほうがいい、と思って買っています。実際に食べくらべたのは初めてで、味が違うのはわかりました。

  • 葉しょうがを2種類食べくらべて、白いほうは香りが強く、赤いのは食感がよかった。

  • 個人的に、ガリなどが苦手なので、しょうがの食べくらべは、とにかく辛いのが印象的でした。それでも、産地によって、味も食感も見た目も違いがあるのがよくわかりました。ふだん、根しょうがは買いますが、谷中しょうがを買うことはないので、今回、いろいろな種類を味見できて、いい機会になりました。
 
◇グループ討議後のコメント
  • 「もの余りの野菜」の新聞記事を読んで、産地の高齢化で生産者が減少しているのに、野菜が余っているというのはどうなのかな、と思いました。

  • 日本はいろいろな野菜を輸入しています。例えば、外食などで原産地をすべて表示するとなると、どういう影響があるか、気になりました。今、外食では、どこのものを食べているかわかりません。国産がいい、という方もいるのではないでしょうか。

  • 流通、消費の観点から、「カット野菜」の新聞記事が気になりました。自分は八百屋ではないので、八百屋さんに聞いたところ、カットして売ることはあるけれど、スーパーのように細かく切ってパックして売ることはしない、ということでした。細かくしてしまうと、あまり新鮮そうに見えないため、高齢者の方に好まれないことが多いそうです。この記事でのカット野菜は、若い人が買っているのではないか、という印象を受けました。

  • スーパーに勤務していますが、カット野菜は、仕事帰りの会社員、働いている女性、一人暮らしの方などが買って行かれます。夕方以降によく売れます。

  • 八百屋は、自分の買ったものがお客さまに評価される、というのが面白い。5年やれば天職かどうかわかると思います。

  • うちの店でもカット野菜を販売しています。客層にもよるかもしれませんが、ものによっては細かく切ったほうが売れる場合もあります。皮をむく程度のものも売っていて、さまざまな売り方をしています。お客さんの中には、「カボチャの種をとって」とか、「もっと細かく切って」という方もいるので、その場でやる場合もあります。例えば、「ささがきごぼうにして」といわれると、時間があれば目の前でやります。ささがきは置いておけませんし、薄いほうがいい人と厚めが好きな人がいるので、注文があれば、やっています。

  • 消費者代表として、自分が思っていたカット野菜のイメージは、「買ってはいけないもの」でした。でも、いろいろな方の意見を聞くと、カット野菜であれば買って料理をするとしたら、いいのかもしれません。売るほうと買うほうの折り合いが、どこでつくのか。簡単に調理ができるようになっていて、消費者のニーズに合わせられるのなら、いろいろな段階があってもいいのかな、と思いました。

  • 今、スーパーやコンビニでも野菜を取り扱っている中で、あえてお客さんが八百屋さんに向かう動機は何なのか、と考えました。それには、旬や値段だけではなく、八百屋で働いている人の人間性もかなり大きな要素なのではないか、と感じました。品目や旬を教えてあげるのも大切ですが、その教え方というか、接客技術もこれから大きなファクターになってくるのではないでしょうか。
■2013年4月21日 第1回 開講式 〜 農林水産省 食料産業局 食品小売サービス課長 池渕雅和氏のお話

 今日は盛りだくさんのしょうがを食べくらべて、見た目も味もそれぞれずいぶん違うのがわかり、驚きました。この違いを、実際のご商売に生かしていただきたいと思います。

 私どもは、国産のものを消費していただきたいという立場なので、国産のしょうががもっと売れるようになればありがたいと思います。

 しょうがごはんや佃煮、マーマレード和えもユニークでおいしかったので、家でも作ってみたいと思います。

農林水産省 食料産業局
食品小売サービス課長 池渕雅和氏

 消費者の声を、卸売市場などを通じて生産者に届け、よりよいものを販売していくのが、「バリューチェーン」です。今、ネット販売やコンビニなどでも野菜を売っていますが、コンビニの野菜売り場を見るとまだまだ寂しいというか、冷たい感じがします。八百屋さんは、接客を通じて、食べ方やレシピなど、いろいろなことを伝えられます。ぜひ、野菜のおいしさや素晴らしさを伝えていっていただきたいと思います。

 
 

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