■2013年4月21日 第1回 開講式 〜 食べくらべ
◇たけのこなどの食べくらべ
  • たけのこ6種、熊本産(上益子)、福岡産(八女)、静岡産(両河内)、千葉産(長生日吉)、京都産(物集娘)、京都産(長岡京・春の香)を食べくらべ。木の芽味噌も添えられました。

  • たけのこごはん、土佐煮、田せりのおひたし、雪下にんじんも試食しました。
たけのこ(熊本)
たけのこ(千葉)
たけのこ(京都・春の香)
たけのこ(京都・物集娘)
木の芽味噌
 
◇たけのこの調理や選び方について
[矢長謙三さんより]
  • 私も元八百屋塾の塾生で、横浜の青果塾では調理を担当していました。新富町で「潤菜どうしん」という野菜が主体の和食のコースを出す店を開いています。コースは6800円。料理教室なども主宰しています。

  • うちの店では、たけのこは、朝堀りのものを次の日にもらっています。向こうでゆでてもらってもいいのですが、私は揚げて使うので、少しえぐみがほしい。そこで、掘った翌日の朝に届いたものを自分でゆでています。今日は、刺身でご用意しています。少しえぐみがあるので、しょうゆと合わせたり、油で揚げるとおいしい。
矢長謙三さん
  • 京都のたけのこは、糠でゆでても、私は水にさらしません。水に漬けたまま冷まして、それをラップに包んで冷蔵庫で保管します。

  • えぐみの強いたけのこは、水に漬けておいたほうがいい。うまみも逃げてしまいますが、同時にえぐみも逃がさないと食べられません。もし、えぐみを逃がさない場合は、たっぷりの出汁で煮るとか、濃い味で煮るなどの方法で、えぐみを中和する工夫が必要です。

  • 京都のたけのこは伸びるのが早いので、節から節までが長い。それは、ものが悪いのではなく、土の中でどんどん長くなっているためです。ただ、他の産地のたけのこで節が長くなったものは、おそらく、頭が外に出てから伸びているので、かたいです。

  • 京都と他の産地のたけのこを比べると、他の産地はまん丸く仕上がってくるものが多い。理由はわかりませんが、私は経験上、平べったいもののほうがおいしいと思っています。また、すごく微妙なのですが、たけのこを切ると白い線があるのがわかりますか? ここに糖が多いようで、揚げるとこの部分が焦げます。切ったあと、白い線のあるところを選ぶとおいしい。

  • 時期によって採れたり採れなかったりするのですが、私はいつも白子(しらこ)系統と呼ばれる白いたけのこを買っています。
 
◇食べくらべ、試食の感想
  • いろいろなたけのこを食べましたが、部位によっても違うし、えぐみがあるほうがいいという人もいれば、まったくないほうがいいという人もいました。それぞれ、好みがありますね。福岡のたけのこは甘みが感じられて、おいしいと思いました。

  • 個人的に、福岡のたけのこはにおいが強いと思いました。えぐみが強いのは千葉。京都の長岡京市のたけのこは一番食べやすかった。食べくらべは難しいです。

  • 京都のたけのこは食べやすくて歯切れもよかった。

  • 静岡のたけのこはえぐみが強くて、一番印象的でした。京都のたけのこは、肉質がやわらかく、まったりしていて、甘みがあると思いました。福岡、熊本、千葉は、食感も味覚も中間的で、特徴が表現しにくい気がしました。

  • 京都の「物集女(もずめ)」のたけのこは、赤土で、えぐみが一番少ないといわれています。

  • 京都の「物集女」は、おいしいのですが、やわらかい。すごく上品で、関東の人が家庭のお総菜としてたけのこを煮るときにはどうかな、と思いました。矢長さんのたけのこは、京都のよりややえぐみが残っていて、これはこれでおいしかった。私は千葉県人なので、擁護するわけではありませんが、今日の千葉のたけのこは、おいしくないほうだと思います。千葉でも、大多喜とか、真っ白できれいで、おいしいたけのこがあります。目からウロコだったのは、熊本のたけのこ。これまであまり好きではなかったのですが、思ったよりおいしかった。

  • 静岡が平均という感じで、京都はとてもやわらかくておいしい。でも、たけのこのえぐみとかにおいはなくて上品な感じがしました。千葉、熊本はえぐみが強かった。なので、京都のたけのこは、刺身、吸い物など、薄味の料理に向いていて、えぐみのあるたけのこは家庭料理に向いているのではないか、と思いました。

 
■2013年4月21日 第1回 開講式 〜 農林水産省 食料産業局 食品小売サービス課長 池渕雅和氏のお話

 私は、農林水産省の食品小売サービス課で、消費者に一番近い八百屋さん、スーパー、レストランなどの振興を担当しています。

 日頃から、野本理事長に大変お世話になっており、1月に初めて八百屋塾に参加しました。今日の開講式にも若い方がたくさんいらしていて、非常に熱心で、驚きました。

 杉本さんの講演も、大変勉強になりました。「昔に戻る」というお話がありましたが、これまではスーパーに買い物に行くのが普通だったのが、逆に、お店から消費者に配達する商売も復活しています。

農林水産省 食料産業局
食品小売サービス課長 池渕雅和氏

 改めて言うまでもありませんが、野菜や果物は健康にいい食材です。私どもとしても、これからの高齢社会に向けて、野菜や果物の持つ健康にいいという機能を消費拡大などの施策に結びつけていきたいと考えています。

 また、今日のみなさんのご挨拶の中で、情報が分断されているという話もありました。私どもも、産地の情報を消費者まで分断せずに届け、消費者が何を求めているかを産地に届けてるようにしたいと思います。

 これだけ多くの種類のたけのこを食べくらべたのは初めてでした。産地によって、味も食感もさまざまで、参考になりました。1年間、できるだけ八百屋塾に参加し、みなさんと情報交換できれば、と思っています。

 

【八百屋塾2013 第1回】 挨拶|講演「八百屋はなぜ勉強が必要か」|塾生より実行委員|勉強品目「たけのこ」「メロン」|食べくらべ