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■2017年2月19日 第11回 産地視察 in 茨城 〜 白菜圃場
むつみ農園から、結城市にある(有)山下商事の白菜圃場へ移動。
【柳澤俊宏さんより】
今日の白菜農家さんとは、趣味のクルマつながりで以前からの知り合いです。茨城では1番の白菜農家さんだと聞いていたので、紹介させてもらいました。今の時期は青々とした白菜が畑で育っているわけではなく、上を縄で囲っている状態です。日々、4玉と6玉の白菜を2000ケース出荷している農家さんで、そのうちの半分が有名キムチ屋さんへの納品、3割が大田市場、あとは地元のJAに出荷しているそうです。出荷も配送もすべて自社で行っている、と聞きました。
柳澤俊宏さん
まずは畑を見て、社長さんの話を聞き、作業場を見学します。できれば、社長さんのスーパーカーも見せてもらいたい、とお願いしてあります。そのあと食事になります。社長はさまざまなノウハウを教えたりと、組織作りの力添えも行っており、彼を見習って回りの農家さんも伸びているそうです。ぜひみなさんもいろいろなお話をしてみてください。
【白菜圃場の見学と山下英一社長のお話】
白菜畑
山下英一社長
白菜畑の見学
山下英一社長のお話を聞く塾生
出荷される白菜-1
出荷される白菜-2
この白菜は、タキイの「509」です。中の黄色がすごく鮮やかで、やわらかく、食べてもおいしい品種です。これだけ寒いと、かたい白菜でないと、今頃までもたせるのは大変なのですが、これはそれなりにもちます。以前は「初笑い」という品種が主流でしたが、2月20日を超えると、高温で中が黒くなり売り物にならなくなってしまうので、切り替えました。
黄色みが強い品種は、若干寒さには弱いのですが、おいしいし、漬けたときも見た目がきれいに仕上がります。
今年は雨の影響で定植が遅れました。4〜5日くらい、全然畑に入れない期間がありました。本当は9月20日頃に植えるのが一番いいのですが、28日に定植しました。10月に入ってから植えたところもあります。そのせいで、これだけ青いのですが、普通はこれより1〜2回り大きく作ります。
頭を縛るのは、霜よけのためです。12月になるとけっこう霜が出て、縛らないと、巻いているところが白っぽく透き通って傷みも早いし、売れなくなるので、12月中に作業をします。3万6千株を縛りました。
このあたりに見えている白菜は、明日切る予定になっています。半日かからないくらいで終わるでしょう。年内だと1人あたり100ケース以上できますが、今の時期は、手間も掛かるので、それほどはいかないと思います。
収穫は手作業です。真っ直ぐではなく斜めになっている専用の包丁があり、それを使って下のほうをすぱっと切ります。根から下はそのまま残します。本当は連作障害が出やすいのでとったほうがいいのですが、この畑だけでも7200株ですから、そこまではできません。
F
1
品種なので、タネは種苗会社から買っています。うちの場合は苗を作り、秋冬の場合はだいたい2週間で定植しています。
畑には勾配があったほうが水はけがいいのでいい白菜ができます。
収量は、水の災害などがなければそれほど変わらないと思います。一昨年は鬼怒川が氾濫するなどの災害があって、まったくダメだと思っていたら、そのあと陽気がよくて、あとから植えた白菜が全部大きくなり、そこから値段が下がりました。いままでは10月に白菜を植えて丸まったことはなかったのに、去年と一昨年がそういう傾向だったので、今年は遅く植えても大丈夫だと思っていたら、今度は雪が降ったりして、あまりに遅く植えたものはダメだったと思います。ということで、やはり、最初から最後まで同じように作るしかない、と考えています。
ゆうき農協は、茨城県の主力品種でもある「なおみ」を主に作っています。うちの農協は生産者が真面目で、みんながまとまっているのが特徴です。
切り株の太さは、大きいほうがおいしいと思います。ただ、6玉と4玉だったら、味は変わりません。8玉は陽の当たり方が悪かったとか、肥料が足りないとか、何かの障害がない限り、この畑ではほぼ出ません。白菜と白菜が離れていればいるほど大きく育ちます。
おいしい白菜は、切ったときに、中が詰まっています。そうでないものは、早く採りすぎです。ただ、去年は、しっかり結球していないものも出回ったと思います。私としては13キロにして出したいのに、市場に全然モノがなくなってしまうから早く出してください、とお願いされたこともあります。
農薬は、この白菜には3回使用しています。まず定植して開いたとき、しんくい虫がつくと全く育たなくなるので、軽い農薬を1回。巻く前に1回、巻いてから最終的に仕上がる頃に1回。年内採りの場合は、5〜6回使わないといけません。最近、問題になっているのがコナガで、農薬があっても抵抗性ができて効かなくなり、前は3回くらいだったのが、少し増えています。食べる側としては、できるだけ農薬を使ってほしくない、と思うでしょうが、日本の農薬は規格が厳しくて、翌日には害がなくなるくらいの弱い農薬です。海外では、回数が少ないといっても強烈なものを使っていることがあります。きちんと作られた国産の白菜は、安心して食べていただけます。
畑の広さは40町、1/3は自分の畑で、あとは借りています。最初は1町くらいしか持っていませんでした。うちは、もともと野菜は作っていなくて、買ったものを市場に納めていたんです。私が16歳のときに父親が亡くなり、借金が残って、それから一生懸命やりました。でも、人の野菜を扱っている限り、外から見えるところはよくても切ったら中がよくなかったりすることもありました。そこからだんだん自分で作るようになり、白菜、トウモロコシ、レタス、なすなど、いろいろな作物を作りましたが、繁忙期が重なると、作業が遅れるなどマイナスが出ます。自分は最初から最後まで白菜のほうがいい、という結論にいたりました。秋冬白菜が終わると、今度は春白菜が4月下旬〜6月中旬。7月はトウモロコシもやっています。レタスとなすはやめて、8月は夏休みにして、順番に休みをとっています。
最近は自分で全部やっている人も多いですが、うちは一回農協に伝票が流れるような形をとっています。
契約は3割くらいあります。ただ、相場がいいときだけほしいと言われ、そうでないときは1週間休んで、などという業者もいるので、そうなるとつきあうのはむずかしくなります。
漬け物屋さんにはコンテナがいい、と言われるのですが、畑に持っていくのが大変なのと煮崩れしやすいので、うちではやめました。段ボールだと、こちらを漬け物屋用にして、あとは市場に出そうというように、見極めをして振り分けができるので、私としてはそのほうがやりやすいと思っています。
【八百屋塾2016 第11回】
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