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■2016年7月10日 第4回 かぼちゃ・もも 〜 勉強品目「かぼちゃ」について 東京青果(株) 鈴木剛氏
◇勉強品目「かぼちゃ」
今、日本国内のかぼちゃの生産量は減少しています。理由のひとつは、生産者の方々の高齢化です。本州から南では、小さい畑でどう効率よく反収を上げるかが重要なのですが、お皿をしいたり、雑草を取ったり、2キロ前後あるかぼちゃを運んだりする作業は、年齢層が高くなると大変です。北海道は面積が広いので、収穫に人員がかかるのですが、労働力の確保が難しい。もうひとつの理由は、日本でハロウィンが盛んになったことです。ハロウィンで売れるのはかぼちゃのお菓子やデザートで、生食用ではなく加工用です。生産者が加工用にシフトし、輸入品も円高で原価が高くなっているため、生食用かぼちゃの流通量は減っています。
東京青果(株) 鈴木剛氏
よく、「粉質系」、「粘質系」などといいますが、特に基準はありません。
1980年代に、茨城の江戸崎農協の「えびすかぼちゃ」がおいしい、と大ヒットし、全国に広まりました。「えびす」は生産者にとって、非常に作りやすい品種です。一躍かぼちゃのスタンダードとなり、新しい品種が出ると、「えびす」と比べてどう…という表現が多い気がします。どうにか「えびす」と差をつけて販売したい、ということでしょう。
かぼちゃは着果して30日ほどで玉の大きさが決まります。そこからどれぐらい熟成させるかが大事で、産地の天候や状況により、50日のところも60日のところもあります。今はだいぶ改善されましたが、昔は、熟度がいまいちなのに、大きくなったら出荷してしまうことがありました。また、輸入品は完熟だと船で輸送する間に腐ってしまうので、7〜8割の熟度のものを運んでいました。その土地に合う、合わないもありますが、産地がどれだけ誠実に仕事をしたかでかぼちゃの味は決まると思います。
私どもは、産地に「この品種を作って」とは言いません。「こんな品種が流行っていますよ」などの提案はしますが、いろいろ試して、品質と収量が合ったものを作ってもらっています。産地によって、おいしくて収量がとれるものは違います。
小川さんのお話にありましたが、着果したときに印をし、50〜60日経ったらサンプルを1個切ってみて、検査員がOKしたら収穫、ということをしているのはいい産地です。八百屋さんは、しっかりとやっている産地かどうかを確認して、商品を取り扱うのが一番だと思います。
かぼちゃは、トマトやさつまいも同様、味が重視される品目です。粉質感のあるものや、甘みの強いものなど、ぜひいろいろな産地のかぼちゃを食べてみてください。
今日お持ちしたかぼちゃ「みやこ」は神奈川、三浦産。大きくなりにくい品種ですが、肥料にこだわっている産地で、6玉中心になるよう努力しています。
栃木の「イーティー」は、日本園芸研究所開発の「園芸」の「E」と、栃木県の「T」から名付けられた品種です。
「栗将軍」は、茨城の江戸崎。昔は「えびす」を中心に作っていた名高い産地ですが、ここ数年、夏がかなり暑くなり、外側の色が抜けやすい「えびす」から「栗将軍」に変えています。地元での消費が非常に多いのも特徴です。
鹿児島では、「くりゆたか」、「えびす」、「くりほまれ」などを栽培しています。かつては春だけで8000〜9000トンあったのが、今年は3000トンくらいに減っています。
メキシコのかぼちゃは、ナント種苗の「こふき」が中心です。11〜1月の第一期、5〜7月上旬の第二期があります。メキシコ産は昔から味がいいと評価が高いのですが、近年は徐々に面積を減らしています。
「坊ちゃん」は、小ぶりのかぼちゃです。10年ほど前はかなり多くの産地で作られていました。おいしいのですが、なかなか販売が伸びないこともあり、今はごく一部の産地でしか作られていません。
石川の「打木赤皮甘栗」や、京都の「鹿ヶ谷かぼちゃ」は、量販するものではありませんが、一部の愛好家に好まれており、なくなることはないと思います。
「コリンキー」は、生で食べられるかぼちゃ。今後、人気が出るといい、と思っています。
◇「かぼちゃ」の写真
みやこ
(神奈川)
ET
(栃木)
栗将軍
(茨城)
くりゆたか
(鹿児島)
えびす
(鹿児島)
こふき
(メキシコ)
坊ちゃんかぼちゃ
(熊本)
打木甘栗南瓜
(石川)
鹿ヶ谷南瓜
(京都)
長かぼちゃ
(千葉・小川農園)
コリンキー
(神奈川)
そうめんかぼちゃ
(岡山)
ペポかぼちゃ
■2016年7月10日 第4回 かぼちゃ・もも 〜 勉強品目「もも」について 橋本幾男氏
◇勉強品目「もも」
今日は、山梨から、ふえふきの「白鳳」、一宮西の「白鳳」、こま野の「みさか白鳳」、福島の「日川白鳳」をお持ちしました。今いちばんおいしいと思うのは、加納岩の「加納岩白桃」です。
今の「白鳳」は早生です。これが本白鳳になるとまた味が違ってきます。また、これからは、「あさま」などの違う品種も出てきます。
橋本幾男氏
今年のももは、全体的に糖度があっておいしいのですが、やや渋みが残るものが多いと思います。天気が良すぎたためかもしれません。自分で実際に食べてみて、好みのももを販売してください。
◇「もも」の写真
白鳳
(山梨・ふえふき)
白鳳
(山梨・一宮西)
みさか白鳳
(山梨・こま野)
日川白鳳
(福島)
加納岩白桃
(山梨・加納岩)
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