■2016年8月21日 第5回 なす・なし 〜 勉強品目「なす」について 東京青果(株) 野路剛延氏
◇勉強品目「なす」
  • 日本全国にはいろいろな種類のなすがありますが、市場に入ってくるなすは比較的皮がかたいものが多いと思います。 皮がやわらかいと流通には向かず、店持ちもよくありません。地方に行くとさまざまななすがあるので、現地に行く機会があれば、ぜひ食べてみてください。

  • 今日お持ちした「大長なす」は熊本産です。東京に入ってくるのは小さいほうで、地元ではもっと長いものもあります。果肉がやわらかく、焼いて食べると、とてもおいしいなすです。
東京青果(株) 野路剛延氏
  • 「赤なす」も熊本産です。周年作られており、焼きなすがおすすめです。

  • 愛媛の「絹かわなす」は、やわらかくておいしいなすです。5〜11月くらいまで入荷していますが、ほぼ注文制になっています。

  • 高知の「小なす」は、箱詰めのきれいさが特徴です。漬けものが主な用途で、周年栽培されていますが、年々、売れなくなっています。

  • 京都の「賀茂なす」は、果肉がかたくしまっており、田楽、焼きなすなどによく使われます。ブランド品はかなり高い値段で売られています。

  • 京都にある篠ファームでは、さまざまな変わったなすを栽培しています。「スティックテイストなす」はイタリア系で火を入れると果肉がとてもやわらかくなります。「ピンポンなす」は、東南アジア系の丸いなす。「パープルエッグなす」は、卵型のイタリア系のなす。「京しずくなす」は、ゼブラ模様でクリーミーなイタリア系のなす。「ピッツァなす」は、ピザの具にするとトロッとしておいしいなすです。外国から入ってきたなすは皮がかたいのですが、その分、店持ちがいいという特徴があります。

  • 大阪の「泉州水なす」。産地では周年作られていますが、関東に入ってくるのは無加温の時期のものぐらいです。千葉、群馬など、いろいろな地域で水なすを作っていますが、一番知名度が高いのは「泉州水なす」です。産地では、ぬか漬け、塩漬けなどで食べられており、包丁で切らずに手で裂いたほうがおいしい、といいます。
◇「なす」の写真
大長なす
(熊本)
ひごむらさき
(熊本)
絹かわなす
(愛媛)
小なす
(高知)
賀茂なす
(京都)
スティックテイスト
(京都・篠ファーム)
ピンポンなす
(京都・篠ファーム)
パープルエッグ
(京都・篠ファーム)
京しずく
(京都・篠ファーム)
ピッツァなす
(京都・篠ファーム)
泉州水なす
(大阪)
巾着なす
(新潟)
梨なす-白十全
(中島菜圃)
梨なす-黒十全
(中島菜圃)
畑なす
(山形)
狩留家なす
(広島)
たまごなす
(栃木)
イタリアなす
(栃木)
白なす
(栃木)
白長なす
(栃木)
味むらさき-ひもなす
(栃木)
緑長なす
(栃木)
薄紫なす
(栃木)
◇なすの補足説明 〜 (株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 今日の資料のひとつとして、全国各地の伝統野菜のなすのリストをお配りしました。こんなにたくさんある、ということを知識として覚えておいていただければ、と思います。

  • 新潟の「十全」または「梨なす」として市場で出回っているものには、「白十全」と「黒十全」の2種類があります。ヘタの後ろが緑っぽいのが「白十全」、黒っぽいのが「黒十全」です。「白十全」は、泉州の「水なす」が大阪から新潟に渡ったものだといわれます。「黒十全」は愛媛の「絹かわなす」がルーツです。
(株)果菜里屋 高橋芳江氏
  • 新潟の「巾着なす」には、「長岡巾着」と「中島巾着」があります。中島地区に300年前から伝わっていたのが「中島巾着」で、それを長岡でも作るようになり、「長岡巾着」ができた、といわれています。「巾着なす」はとてもかたいのが特徴で、日持ちがするので、みそ漬けや辛子漬けにして冬の間の保存食にしていたそうです。ただ、新潟でも若い人は漬けものをあまり食べなくなっており、蒸かしなすにして食べたりもするそうです。今日は、即席ですが、「巾着なす」の辛子漬けを作ってきました。のちほど食べてみてください。

  • 山形の「畑なす」は丸なす系で、とろけるようなやわらかさのおいしいなすです。今年は天候がよくたくさん採れたそうなので、今日味わって、よかったら、ぜひ店頭で販売してください。
 
■2016年8月21日 第5回 なす・なし 〜 勉強品目「なし」について 橋本幾男氏
◇勉強品目「なし」
  • 今日は、南信州の「幸水・太鼓判」、石川県の「幸水」、栃木の「幸水」、千葉の「幸水」、新潟の「幸水・一糖賞」、熊本の「秋麗」などをお持ちしました。

  • 鳥取の「新甘泉(しんかんせん)」はこれから出てきます。

  • 今、うちの店で売っているのは、熊本の「秋麗」。糖度が13度以上あるおいしいなしです。

  • 赤なしは、仕入れて3〜4日を目安にしてください。赤くなりすぎたものはやわらかくなってしまいます。お客さまがすぐに食べるなら、色が出ているもののほうがいいでしょう。ヘタの細いものがおすすめです。
橋本幾男氏
◇「なし」の写真
幸水
(新潟)
幸水
(石川)
幸水
(千葉)
幸水
(栃木)
幸水-太鼓判
(長野)
秋麗
(熊本)
 
 

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